■ 増上寺の歴史散歩 ■

東京の歴史散歩に出かけようと、東京の公園を中心に調べていたら芝の増上寺、芝東照宮を発見。 港区の中心部にあって芝の一帯はビジネス街、東京タワーと観光の目玉にもなっている。 昨年は浜松町に近い所の旧芝離宮恩賜公園にも歴史散歩に出かけたが歩いても目と鼻の先です。


浜松町駅から訪問しようとしたが都営地下鉄大江戸線で、光ヶ丘から電車一本で行かれるので、地下鉄を選択した。 芝大門駅で下車して増上寺の大門前にでる。現在の大門は昭和12年に作られたコンクリート製です。 休日のため交通量が少ないので信号を見計らってセンターラインの処で撮影したらファィンダー内で交通整理のお巡りさんと目が合った。

芝大門前 増上寺の総門 三解脱門(三門)

何処の寺社でも訪れるには正面から歩いたほうが、その寺社の風趣が伝わる。 大門通りを通って真直ぐに入って行く。日比谷通りに出たところで正面に豪壮な朱色の三門に到着。 三門を入ると広い空間の正面に堂々とした本堂とその後背に東京タワーが見え、この様な景観も東京らしい。

三門(1622年建立)は解脱門ともいわれ戦災を免れた建物の一部で、増上寺が江戸の初期に造営され、当時の面影を残す唯一の建造物で国重文です。 境内に入り真正面に本堂が見えるが、その前に境内を散策。境内の左手に水盤舎があり、これは将軍家霊廟建築を伝える貴重な遺構のひとつだ。

右手に巨木のグラント松(後述)

水盤舎

魚供養の碑…魚河岸の会社が建
大殿(本堂)

浄土宗吉水講の碑

仏足

グラント松は明治12年に来日したアメリカ第18代大統領が植樹したもので、同様に第41代ブッシュ大統領の高野槇も植樹されている。 本堂に向かう右手に大梵鐘があり、1673年四代家綱公により造られたもので高さ3m、重さ15tあるという。 東日本最大の梵鐘で国重文に指定。 江戸の庶民はこの鐘の音は九州まで響き渡ると自慢したそうだが、近くに九州の島津家や有馬家の藩邸があり、当時の洒落だったそうな…。

梵鐘の右手に小さな社があり行ってみると熊野神社でした。 中の境内に入ると手水舎に懐かしい真っ黒な八咫烏が記されていた。 ここは熊野三所大権現宮で御神体は熊野本宮本社、熊野那智大社、熊野速玉大社です。 増上寺鎮守として大本山増上寺熊野みこし講が祀られていた。


第41代ブッシュ大統領が植樹した高野槇

鐘楼堂



手水舎にある八咫烏

菩薩像

梵鐘

熊野神社

熊野三所大権現宮

さらに境内を散策すると「め組」と記された供養碑がある。 増上寺門前町火消しで、め組の殉難者、物故者の供養のために1716年に建立された。 因みに増上寺山内は、寺社奉行、大名火消しの管轄。 江戸っ子を歌った都々逸(どどいつ)で、「芝で生まれて神田で育ち、今じゃ火消しの纏持ち」とあるように芝一帯は江戸っ子の本場だそうです。 ここにその史跡があるとは思わぬ発見。隣には筆塚があり、子供達への学びの勤めが記してある。

広い境内をひと通りの歴史散歩も一区切り、これから本堂に向かう。 石段を上がり本堂の前に立ち、振り返ると周囲がひらけて、晴れ晴れとした眺めが見れる。 帰りに撮影をしようと前に向かうが周囲に高層ビル群が取り囲んでいるのがよく判る。 それを撥ね退ける様に高台からの境内の広い眺めが素晴らしい。これも東京らしい景観ではないだろうか!

め組の供養碑

故長谷川一夫氏が植樹した桜(左手)と寫経塔(右手)

大殿(本堂)


安国殿
筆塚

大殿(本堂)

安国殿と東京タワー

大殿(本堂)は戦災で焼失したが、昭和49年に根本道場として再建された。 本堂内は撮影できるが、「御祈祷中はご遠慮ください」の立札があり、一回りして後から撮影しようと思っていたら忘れてしまい齢をとるとこんなもんか! 安国殿には黒本尊阿弥陀如来が祀られ、入口に立つと殿内は祈祷の人々で順番待ち。仕方なく、これも映像だけになってしまった。 黒本尊阿弥陀如来は家康が幾度にも及ぶ戦に常時、持参させた仏像で、家康の守り本尊と伝わっている。

最盛期には寺領1万石以上、20万坪以上の寺域を誇った増上寺も、今は2万7000坪どまり、周りを公園や某ホテルに分割され、 江戸の遺構はひっそりと残っている。 安国殿の隣には西向聖観世音菩薩が祀られていた。 その周囲に小さなお地蔵様が幾つも連なっていた。 何だろうと端まで行くと千体地蔵尊と記された石柱があり、小さなお地蔵さんが祀ってある。 そんなにあるのかなぁ?と、思いながらお地蔵様を数えたわけではないが、連なっている方向にどんどん進んでいく。

西向聖観世音菩薩入口

ひとつとして同じものがないお地蔵さん

子育て安産の西向聖観世音菩薩




何故か?外国の観光客と一緒に歩く様になった。お地蔵様は徳川将軍家墓所まで続いてた。 とうとう行き止まりの所で向こう側は東京タワー。最後のお地蔵様の処から将軍家墓所の中がチラッと見えたので撮影。

外国の観光客が立ち去るのを待ってから撮影。鋳抜門は徳川家の南廟といわれる台徳院(第二代将軍徳川秀忠公)の遺構で、 その門扉は青銅製で徳川家の葵の御紋がハッキリと視認できる。 ここで墓所内の写真を…。其処には戦災で焼失前の第二代将軍秀忠公夫妻の霊廟の写真が掲示されていた。 多分、特別拝観の時に見られるものだったのではないか…。


東京タワーに向かってお地蔵さんが…

増上寺御霊屋(徳川将軍家墓所)の特別公開日は決められた日だけですが無料です。
オープン時間は10時〜16時まで。

徳川将軍家墓所





鋳抜門


将軍家墓所で行き止まりで、一度、西向聖観世音菩薩まで戻る。 それから一度寺域をでて、周囲の道路に沿って歩いてみた。 仕事で通ったことはあるけれど、こうしてのんびり散策しながらの東京もいいもんだ! 東京タワーが真正面に見えてきたので、これを撮影! ぐる〜っと一回りしてもう一度、裏側から寺域内に入る。 チョット休憩と一服タイム!

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