■ 都指定名勝清澄庭園 ■

清澄庭園は、江東区清澄にある庭園で池の周囲に築山や各地の名石を配置した回遊式林泉庭園。 その成り立ちは江戸時代の元禄期に豪商紀伊国屋文左衛門の屋敷があり、ある程度の庭園が造られていた。 その後、明治に入り荒廃していた屋敷を三菱の創業者岩崎弥太郎が買い取り、さらに回遊式築山林泉庭園を造園した。 関東大震災で被害を受けたが、地域の避難民を受け入れ多くの人命が救われたと伝わる。 震災後、東京市に半分を寄贈し戦後に東京都が残りの半分を購入し、現在の清澄庭園に整備された。


都営地下鉄の清澄白河駅から案内図もあるので迷う心配はない。 庭園入口は大通りから住宅地内に入った所にある。 庭園内は全面禁煙のため、入場前に一服タイムをしてカメラの準備を、余談ですが2〜3年前は一日30本も喫煙していたが、今は10本ぐらいに減った。

清澄庭園入口 入口隣に大正記念館

園内に入って太陽の位置を確認し庭園の案内図と見比べながら、どの方向が最適か撮影条件を考え、右回りか左か入場した処でウロウロ。 結局、時計回りに歩き始めたが目の前にある大きな花から撮影を始めた。



入口がミニ庭園風で情緒があり…



…日本庭園の良さを感じる


大正記念館前の広い芝生のエリアに向かう。 この芝生面に小さな花の群が開花している。 この季節ならではの春蘭、南天、フキノトウ、フキタンポポ、福寿草が春を告げていた。 私は草花の名前はよく知らず、このように名札があるのは園の心配りを感じる。 また名石と合わせて、盆栽のような紅白の梅や松などが植樹され、それぞれ開花してる。 今日は快晴で日当たりが良く、芝生に寝転びたい気分に…










大正記念館は大正天皇の葬儀殿の建物を移築したが戦災で焼失したため、貞明皇后の葬儀殿の資材で再建された。 現在の建物は平成元年に全面改築されたもので、もう一つの涼亭とも集会施設として利用できる。 庭園とこの建物がマッチして景観のアクセントになるので、いろいろな角度から撮影してみたい。 松の雪吊りや霜除けに効果のある巻きおろしは庭園の季節感を醸し出している。







大正記念館の石庭






大正記念館から離れて池に向かい散策をスタート。 まずは池の端に飛び石を配置し、まるで池を渡るように歩ける所があり、舟付石と呼ばれる平らな石は橋のように使われ、大振りな石は少しずつ、ずらして配置されているので磯渡りと呼ばれている。 磯渡りにも遊び心を感じ、家族連れの子供達が喜んで行ったり来たりしてる。

磯渡りと呼ばれる石群

舟着場
磯渡りと呼ばれる石群

中の島

涼亭は明治42年に建てられた数寄屋造りの建物で、関東大震災と戦火を免れ、昭和61年に全面改築され、今では集会所として利用されている。 池に突き出るように建てられている涼亭は、日本情緒豊かで趣があるので、写真の構図を創るのに欠かせないと思う。

涼亭



中の島

池には大きな鯉や亀がいて、さらにカルガモやメジロ、カワセミ、オナガムクドリなど、野鳥のバードウォッチングする人も見かけた。 広い池に中の島、鶴島、松島を配置して昔は隅田川の河口に近い、仙台堀川の水を引き入れた潮入庭園だったそうで、 潮の満ち引きで微妙に水面が変化する様子を楽しんだと云う。 日本庭園は日本料理と同じように、日本人の持つ繊細な感性をあらわしている。 下町にある庭園とは思えない環境で、築山を中心とした回遊式林泉庭園は全国から集められた名石を見るだけでも楽しくなる。

中の島付近


隅田川の水を引いた大泉水の周囲には名石と松、中央に島々が配置され、中の島付近から太陽光が順光になり撮影が楽になった。 中の島へは橋があり通路があったが島内の一部が工事中で入れない。
中の島を通り過ぎると池の中央の松島が目に留まる。 丁度、庭園の最奥付近で小高い山の手前にやや薄暗くなった通路があり、指標には石仏群とあり奥に向かう。 池から外れるようにして中央に法印慶光供養塔、左右に庚申塚と馬頭観音供養塔がある。

松島



高さ2.7mの十一多重塔


石仏群

築山

大正記念館の池を挟んで反対側に築山された富士山と呼ばれる小高い丘がある。 周りの樹林に囲まれて撮影したが逆光で真っ黒な映像になったが多重塔や名石群は何とか映像に残す事ができた。
岩崎家が自社の船で全国から集めた名石がアチコチ配置してある。 現在では採集禁止の名石も多くあり、一見の価値がある。 3つの島々を配置した広い池の周囲を移動すると庭園だけでなく都心に居るんだという実感が、 そして水面に島や数寄屋造りの建物、樹々の影、ビル群を映す池は庭園の要に感じられる。







菖蒲田もある自由広場
涼亭



ここにも名石群

菖蒲田

自由広場と呼ばれている処に到着!ここは菖蒲の田があり、その季節になると菖蒲群が咲き乱れる細長い池がある。 水面は緑の苔がいっぱいに水面を覆っていた。また、松尾芭蕉の句(古池や かはづ飛び込む 水の音)を刻んだ石碑があり、 撮影したが石碑面が真っ黒で何にも見えなかった!
自由広場から庭園へ戻った所で面白い景観を発見!東京スカイツリーがよく見える処を見つけた。 何枚か撮影して選んだのがこれです。…スカイツリーと庭園の松の雪吊りをセットにした。













撮影後、涼亭前に行くとグループが利用中。 涼亭の中を覗くと人影がチラチラしていて楽しそうな声が聞こえてきる。 集会所だけでなくお茶と和菓子の茶店のように営業したら、もっと訪れる人が多くなるのではないかと思った。 ただ東京都の一律管理だから他の庭園との兼ね合いがあるし無理か!
来た時、この一帯は水色のシートが張られ工事していたが、一回りする間に工事が終わったよう。 (昨年3月の東日本大震災で雪見灯篭が倒壊した)



雪見灯篭



松島


出入口前についたら急に空腹感が…。何処かで食事をしなければ!9ヵ所ある東京都庭園も6か所訪問した。 残り3ヵ所、機会を見つけて訪れてみたい。
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