■ 名勝 旧岩崎邸庭園 ■

旧岩崎邸と云われるのは他にも六義園、清澄庭園、殿ヶ谷戸庭園とあり、 土地建物の所有は国だが、東京都が重要文化財の管理団体に指定されている。 東京も寒さが厳しいが、北日本や日本海側はもっと厳しい寒さが続いてます。 暖かい日を選んで都内の散策を続けるが、東京の庭園めぐりも9ヵ所のうち6ヵ所訪問した。 今回は池之端の旧岩崎邸庭園に向かった。 地下鉄の本郷三丁目で下車し、前に湯島天神を訪問したコースを散策する。


本郷三丁目から春日通りを歩いて、湯島天神を過ぎてから、旧岩崎邸への入口を間違え通り過ぎてしまった。 以前は春日通りに面していたが、現在は通りから少し奥に入った処にある。 庭園入口前に到着して入る前に周囲の塀が気になり要所を撮影。 後で気がついたが、洋館北面袖壁、煉瓦塀は国重文でした。

旧岩崎邸庭園入口





スロープから山小屋風の建物が見える
重要文化財の煉瓦塀

二番目の入口



入口事務所

地形の関係上、門から建物まで邸宅としては長い道のりです。 入口で「料金は400円です。そして和館は工事中で、洋館の内部撮影は禁止です。」と言われいきなりガッカリさせられた。 入口門はロープがあるだけの簡単な作りで事務所も貧弱な感じです。建物は洋館、和館、撞球室がある。 この地を所有したのは三菱財閥の創業者岩崎弥太郎で、洋館は長男の久彌が1896年に建築家ジョサイア・コンドルに設計させ、岩崎家の迎賓館として使われた。



装飾が細か〜い!



木造2階建て地下室付

…洋館の内部の様子…
1階のホールの飾り柱はツルを巻くような装飾が末端まで施され、ジャコビアン様式と云われている。 灯りが電球のため暗いが柔らかさも感じる。各部屋はガラス窓が大きく開放的でした。岩崎久彌の書斎も同様です。 階段がゴシック様式のようで一段一段が重厚さを感じた。 地下への階段は非公開でロープが張ってあり、2階へ上がると洋館の壁には金唐紙と云われる豪華な新しい壁紙が使われ修復されている。



洋館前の広場

撞球室

ジャコビアン様式の装飾された各部屋にはピアノがある。 これは土曜日の午後に、東京芸術大学出身の演奏家を中心にしたミニコンサートがおこなわれている。 ベランダに出ると芝庭が開放的な景観を見る事ができ、ここでも撮影は不可と標識があり残念でした。 1、2階とも各部屋に暖炉があり、その形も材料もさまざまで大理石なども異なっている。 1階で和館への通路は耐震補強工事のため閉鎖中でした。 廊下等の順路は狭く、ガイドツアーなどの後ろに付いてしまうと、見学に思わぬ時間がかかる!

洋館と撞球室の間を通り芝庭へ…




この洋館と渡廊下で繋がって和館があるが、ここは日常生活空間として、洋館を公的な接客空間として使い分けていた。 和館で現存するのは大広間、次の間、三の間の3室で大広間は書院造りです。 そして茶室兼待合室、渡廊下、トイレだけです。 以前は、現在の敷地の3倍ほどあったそうですが、戦後、GHQに接収され、返還後、国の所有になり現在の土地だけ公園として東京都が管理することになった。



高さ2m以上の大型灯籠


後のマンションが建物の美を消してる?

江戸時代は越後高田藩邸、明治の初期に舞鶴藩主の牧野氏の屋敷であったものを岩崎氏が買い取ったが、大名庭園の形式が無くなり、 池は埋め立てられ、洋館に似合うように芝庭として、近代庭園の初期の形を残していると案内書にあったが、無教養な私には単なる広場にしか見えない!






広場の奥に向かうと大名庭園の形式が一部残り、樹木が茂り江戸時代の石碑や庭石、そして灯籠が多かった。 きっと長い年月の移り変わりを反映しているのだろう。 それと廃却できない石碑を一ヵ所に集めた感じ。
一番奥に竹で囲まれた平らな処に、…亭の跡があった。 ここに佇んでみると何となく侘しい感傷的な気分になる。 今まで江戸の昔を偲ばせる庭園を思い浮かべてきたが、今回は時代が近代へ進む過程の歴史を見れた。






庭園から洋館と撞球室…
マンションが邪魔して洋館が浮き上がってこない、と云う訳でいかにして洋館を際立てさせるか。…亭の所で考えたのが樹木です。 この樹木を上手く使って撮影できないものか考えたのが一番最初の映像です。 樹木に葉が茂ってくればもう少しよかったが…ここから見える洋館の屋根の部分にも繊細な装飾が施され素晴らしい建築物です。 レンズで覗くと一つ一つ丁寧に造られ、日本建築にも劣らない美を見れる。 そばに立つと木造の美が際立っていた。


樹木の庭から芝庭に出ても後のマンションが気になり、いかに消し去るかを考えながら位置を変えて撮影。 それらがこの映像です。とうとう側面の撮影ですが、ここは洋館内部からはテラス室があり芝庭に出れる。


洋館は北向きに建築されているので、陽が出ると逆光になり撮影条件が難しい。 しかし芝庭からは丁度良い採光でこんな感じに撮れた。




東側からの洋館は左右対称に建築され、南側に列柱の並ぶベランダが増設された。 1階列柱はトスカナ式、2階列柱はイオニア式の装飾が特徴でアメリカのペンシルヴァニアのカントリーハウスのイメージもある。



地下室の通風孔

撞球室では、和館が工事中のため、その様子がビデオで流れている。(約5分) 撞球室と洋館とは地下通路でつながっている。(右の映像)


広間前の手水鉢



撞球とはビリヤードのことです。洋館の完成後暫くして、やはりジョサイア・コンドルの設計で完成した。 洋館と対照的な雰囲気でスイス風木造ゴシック建築で芝庭に良く合う。 まるで山小屋風の建物です。撞球室内部は非公開だが表から丸見えです。 天井が無く覗いてみると屋根の裏側もしっかりと装飾され素晴らしい造りが見える。

建物に合わせて閲覧ベンチもお洒落




内部を拝見した後はカメラで外側も覗いた。 屋根の上には煙突が二つあり、それぞれ排熱による金属変化が見て取れる。 それが煙突の美しさに加わっている。採光用の上部小窓にもしっかりと装飾され外観の美しさを際立たせていた。






洋館の柱に施された彫刻美を感じた。 洋館、和館、撞球室と全く違った雰囲気で、岩崎家邸宅は3つの表情を見れる。 戦後のGHQの接収などで、庭園はかなりの部分が面積を縮小されたが、和館の工事が終了し、 桜の季節と土曜日のミニコンサートに訪れるには、和洋併置の庭園として見所ある。

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