■ 「修行の道場 (高知県)」 ■
修行(しゅぎょう)= 実践の場となる「修行の道場 (高知県)」と云われる。
弘法大師が「空海」となった修行の場(土佐)である。 阿波の第23番薬王寺から第39番札所延光寺まで、長い長い海岸線の道が続き、荒波が打ち寄せる沿岸は難所と云われる。
四国の南部一帯に位置する高知県は県内に十六寺が点在し、しかも札所間が長い道程である。


■5月15日(火)天候 雨のち夕方曇り■ 自転車 Odo 531.2-598.9km (走行キロ67.7km)

清滝寺から青龍寺へ…清滝寺の「滝」を、別文字では「瀧」とも書くが、ちなみに「清瀧寺」の文字から「さんずい」を取ると、「青龍寺」。 そうです、今日の最初の目的地は、第36番札所 青龍寺です。(ちょっと苦しかったな!)


6時47分 ホテルから見える景色は雨模様

今日は雨中の出発。 7時前にホテルの窓から見える景色は相変わらず雨模様でした。 荷物はビニール袋で包み、必要な納経道具は小さなビニールで包む。 地図はコンビニの袋で包み、必要時すぐ見られる様にする。

カッパの上に白衣の道中衣を着る。 濡れてしまうが走行中でも車両からは視認しやすいと考えている。 菅笠にもビニールを被せた。

足は踵付きのサンダルで結構使いやすく坂道でも滑りにくいのが特徴。 足むれもないから嫌な臭いがしない。 汚れたら水でジャブジャブすればよい。

今日は36番青龍寺まで12kmほどの距離です。 39号線から1000mほどの塚地坂トンネルを抜ける。 トンネル内はガードレール付きの広い歩道があり、マスクも着用します。

トンネルを抜けると間もなく宇佐漁港に出て海岸沿いに走ります。 大きな弧を描いた宇佐大橋が向こう側に霞んで見えた。

いつも菅笠は後ろの荷物に被せておき、後方から来る車両から視認しやすいようにしているが、 今日は菅笠を被っての走行で、前に2灯と後ろに1灯のライトを点灯。

1000mの塚地坂トンネル

海岸線に沿って走り、横波スカイラインの入口から宇佐大橋を渡って宇佐町井の尻地区へ入る。 大橋を渡る間、横殴りの風雨が強く自転車を押して歩く。 時々小雨になるが、雨に霞んで、折角の良い景色が見られないのは残念です!

 8時10分 宇佐大橋 明徳義塾高校の手前を右折

県道47号線の明徳義塾中学高等学校(国際学科)の手前を右折して、山道を暫く進むと左手に蟹ヶ池を見ながらさらに進むと駐車場がある。 …高知県最大の湿地の蟹ヶ池はこの時期、新緑が芽吹いて目に優しい景観を見せてくれる。 空き店舗の軒先に自転車を寄せて納経の準備をする。 8時半だがお店は1軒しか開いていなかった。 店の人に空き店舗と思われる処に自転車を置いていいか尋ねたら了解してくれた。

左側に明徳義塾校舎を見ながら進むと… …左奥に蟹ヶ池

石段の登り口に二つの門があったが、一方は奥の院不動堂への珍しい山門だった。 この山門から南へ約600m向かうと、横波半島先端に不動堂があり、石造の不動明王像が祀ってあるそうです。
納経所で納経をする時、人が少なければ必ず話しかける。 いろいろお寺の歴史や遍路情報を教えて貰うのが楽しみになります。 納経所は情報の宝庫!一つのお寺で必要時間は最小でも30分は必要。境内で本堂と大師堂では味気ない遍路になってしまう。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■第36番札所 独鈷山 伊舎那院 青龍寺■
     宗 派: 真言宗豊山派
     本 尊: 波切不動明王
     開 基: 弘法大師
     創 建: 弘仁6年(815年)
     真 言: のうまくさんまんだ ばざらだん せんだ
          まかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん
★彡 第36番札所 青龍寺の拡大映像

第36番札所 独鈷山
 伊舎那院 青龍寺
  8時31分
左に奥の院不動堂の珍しい山門 正面に仁王門への石段

弘法大師が唐で修業した青龍寺と、同じ寺名で仁王門から本堂までは長い急な石段が続き、 ようやくたどりついた境内に本堂、大師堂、薬師堂が一直線に並んでいる。 本堂の両側には不動明王が建ち、三十三観音の石像もある。

仁王門

大師堂
本堂

三十三観音像
三重塔


*豆知識*
大相撲横綱、朝青龍 明徳の四股名は、青龍寺より許可を得て四股名にし、母校名から明徳と名付けた。 モンゴルから相撲留学していた頃、明徳義塾高校近くの青龍寺の石段でトレーニングしたと知る。
また、甲子園を沸かせる明徳義塾はここでなく、野球部のある校舎は別の場所にあると知る。



…青龍寺の納経所から次の岩本寺に出発します。
37番岩本寺へは海岸線の美しい横波スカイラインを通る予定だったが雨の為変更、宇佐大橋まで戻って23号線のルートを選択した。 走り出して暫くすると小雨になって視界が少しづつ良くなってきた。

 9時7分 宇佐町竜地区からの景観

宇佐町竜地区のパーキングエリア
宇佐町竜地区からの景観

宇佐大橋から宇佐町の景観

このコースは横波スカイラインのある半島に囲まれた浦ノ内湾に沿って走ることになる。 平坦な道が多く海岸沿いに点々と集落が繋がっていました。 早朝からの雨は小雨になり天候は回復傾向にある。 浦ノ内湾の最奥で横波スカイラインと合流して須崎市内に向かう。

起伏のある23号線 歩行エリアが無い浦の内トンネル

この先56号線は1000mの歩道の狭い焼坂トンネルを筆頭に、多くの古い年代のトンネルが数多くある。 そして標高275mの七子峠越えがあり、交通事故に注意しながら雨中走行になった。 岩本寺は標高210m、JR土讃線の窪川駅近くの高地にある。 約60kmの走路行程で、道の駅あぐり窪川を当面の目標にして走ります。

 10時41分 歩行エリアが無い鳥坂トンネル

大峰橋付近
須崎港湾

ビューポイント

雨は止み、県道23号線で須崎市内に入った。 目印の住友大阪セメント工場前で右左折をして須崎港湾に出て、 大峰橋から国道56号線高架道の手前を通り市内中心部に入り、須崎署で焼坂トンネルの交通情報を聞く。
須崎市中心部を抜けて56号線に入ります。 短い距離の角谷トンネルと久保宇津トンネルの間が絶景のビューポイントで撮影と小休憩にする。 晴れていればもっと良かったと思う。雨も止み菅笠を外して頭にタオルを巻く。
喫煙もするが本数が減った。それだけ減ったら一気に止めたらといわれるが、自分の心の弱さを痛感する。

 12時1分 ビューポイント 小休憩…雨も止み菅笠を外しタオルで頭を巻く

焼坂トンネルを通過しJR土讃線の土佐久礼駅前を通過! ここは中土佐町で、山間から海岸に出た所になる。 ここから再び山間に入り、七子峠越えに挑戦! 約7kmを自転車を押して歩く。 ドライブイン七子茶屋が見えた時はほっとした。 ここから道の駅あぐり窪川までは下り坂で、蒸し暑かった身体が一気に乾いてゆく。

焼坂トンネルを通過して中土佐町へ入る
  12時36分
恐怖の焼坂トンネル(約1000m)

標高290mの七子峠越えを目指す
JR土讃線の土佐久礼駅

七子峠まであと5km

…古いトンネルの恐怖感  -------------------------------------------------------------------
古いトンネルは歩道が無く、側溝には水や落ち葉が溜まって滑りやすい処がある。 四国だけではないが、自転車や歩行者が側道のない処を通るのは命懸けと考えて間違いない! 車の旅を多くしてきたが、運転席から見る状況とは全然異質の世界である。 今後続く旅で、運転者として大切なことを学んだ!

緩やかに確実に標高が上がる。
  13時29分

久礼坂第四トンネルは208mあり、車両の流れが途切れるのを暫く待ちました。 途切れた頃合いを見計らって、助走をつけてトンネル内に突入!

  全速力で走りきった!
  「ゼイゼイ、ハーハー!」
  60才を過ぎるとキツイね!

JR土讃線と並走して走るようになり精神的に楽になった。 そして四万十町に入り道の駅あぐりを見つけて岩本寺までもう少し!頑張ろう!

久礼坂第四トンネル

岩本寺の2kmほど手前で、自転車のスタンドが荷の重さに耐えかねて曲がって、自転車は転倒してしまった。 スタンドが折れてブラブラの状態になり、仕方なくゴム紐で縛り上げ、機会がくるまでそのままにした。 カッパを脱ぎ自転車後部に括り付け半袖になる。 蒸れた体温を冷ましながら岩本寺に到着。 17時ぎりぎりの納経でした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■第37番札所 藤井山 五智院 岩本寺■
    宗 派: 真言宗智山派
    本 尊: 不動明王 観世音菩薩 阿弥陀如来 薬師如来 地蔵菩薩
    開 基: 行基菩薩
    創 建: 天平年間(729年〜749年)
    真 言: 不動明王: のうまく さんまんだ ばざらだんせんだ
               まかろしゃだ そはたや うん たらた
               かんまん
         観世音菩薩: おん あろりきゃ そわか
         阿弥陀如来: おん あみりたていぜい から うん
         薬師如来: おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
         地蔵菩薩: おん かかか びさんまえい そわか
★彡 第37番札所 岩本寺の拡大映像

岩本寺は元々福円満寺というお寺でした。 弘法大師は仁井田明神の御神体を5つの社に別け、各社に不動明王像、観音菩薩像、阿弥陀如来像、薬師如来像、地蔵菩薩像を本地仏として安置した。

福円満寺は、天正時代に兵火等で衰退したが、再建の際、この地域の神社を管掌下においていた岩本寺に継承された。 明治に神仏分離の政策で、仁井田五社と分離され、五尊の本地仏と札所が岩本寺に統一され、御本尊が五体ある珍しいお寺になった。


第37番札所 藤井山
 五智院 岩本寺
  15時9分
岩本寺の付近は商店街で賑わう

本堂
仁王門

鐘楼

…遍路道中で何処かで体験したい事があった。 それは宿坊と通夜堂を体験することだった。

17時近くなり、納経所で宿泊所のことを聞くと宿坊があると云われ、初の宿坊を経験することになった。 昨日は清滝寺の通夜堂を利用できなかったので、今日こそはの意気込みでした。 町中にあるお寺らしく立派な宿坊がありました。 そして翌朝6時にお朝事があると知ります。 団体は参加するそうですが、個人客は出発時間の関係で不参加でも構わないと言われた。 当然、私は参加しますと話したが…

 16時54分 大師堂(正面)と歓喜天(聖天堂)(右側) 寺坊、宿坊、納経所

自転車を宿坊前に移動して、荷物を部屋に運ぶ前に素泊り料金4000円を支払い、宿帳に記帳する。 団体の人達が談笑しながら廊下を行き来していた。 案内された部屋は16畳の和室でテレビは無く、布団が1組置かれ広すぎると思った。 テレビは談話室で観れるそうです。

建物が新しく設備も整っている 16畳の和室は私一人

荷物を整理して、手ぶらで商店街を歩き近くの食品店で食料を購入して町中を散歩した。好物のカツオの刺身も購入、 30分位散歩して宿坊に戻り、お風呂に入る。 広いが飾り気のない質素なお風呂である。身体を伸ばして筋肉マッサージを丹念におこなう。 ノンビリした湯船の時間を楽しみ、着替えはコインランドリーでまとめて洗濯。

 16時57分 広い廊下

部屋に戻ってテーブルに惣菜を並べ、冷えたのどごしを一気に流し込む。「アァ〜〜!」 胃袋に流れ込んだ冷たいアルコールが身体中に沁みわたるのを実感する。 一段落してデジカメを起動させ、映像と時間を見ながら今日の遍路日記を書きながら食事をとる。 記録に夢中になると時間の経過も忘れて、気が付いたら22時を過ぎていた。
ゴミを分別、片付けして明日の準備。廊下は静まり返っていた。…おやすみなさい。

     …四国自転車遍路 TOPへ…
inserted by FC2 system