■ 「修行の道場 (高知県)」 ■

修行(しゅぎょう)= 実践の場となる「修行の道場 (高知県)」と云われる。
弘法大師が「空海」となった修行の場(土佐)である。 阿波の第23番薬王寺から第39番札所延光寺まで、長い長い海岸線の道が続き、荒波が打ち寄せる沿岸は難所と云われる。
四国の南部一帯に位置する高知県は県内に十六寺が点在し、しかも札所間が長い道程である。


■5月17日(木)天候 晴れ■   自転車 Odo 714.0-790.1km (走行キロ76.1km)

翌朝6時に起床。久しぶりに暖かい缶コーヒーを2個買ってお世話になった人に渡して、私も2週間ぶりに飲んだ。 彼は今日、金剛福寺に向かうそうです。西側は道路工事で片側通行の所が2ヵ所あることを教える。 別れ際に昨日買った物だけどと草餅を一つ戴き、途中で会うかもしれないと話して別れた。

 7時20分 道の駅めじかの里土佐清水 出発前に記念撮影

道の駅めじかの里土佐清水を出発して竜串の美しい海岸線を楽しみながら39番延光寺まで走ります。 今日は最後の修行の道場で、土佐から伊予に入ります。 延光寺に向うには山間と海岸ルートの2ルートあり、また打ち戻りのルートもある。私は海岸ルートを選択した。 距離は長いが海岸線の眺めを楽しみながら身体の痛みを忘れたい! 山間ルートは標高650mの峠越えがネックになった。

 7時26分に出発 宿毛、竜串海岸に向かう



城山地区を通過

長く伸びた雑草を擦りながら走り、気が付いたら苦手な毛虫が右足の白トレパンに5匹ほどついていた。
慌てて停止し1匹ずつ雑草に帰してやる。 遍路中は虫を殺すなと云われる。 太いミミズも嫌になるほど数多く見てきたが自転車では避けて走ってきた。 でも前輪で避けても後輪で轢いたかもしれない。 アスファルトの割れ目から出てきた太いミミズは陽光に当って逃げ場が無くなり干からびていた。

 7時46分 この先の城ノ岬の下川口トンネルを抜けると…

片粕トンネル(片粕地区)
城ノ岬の景色が美しい

貝ノ川地区

 叶崎地区の景観



321号線は海岸線で高所を走ることが多くなる。 緩やかな登り下りの道路から見える海岸岩礁の眺めは身体の痛みを和らげてくれる。 途中、下川口、片粕、歯朶浦トンネルを抜けながら海岸線を走った。 トンネルは比較的新しく歩道があるので安心して通行できます。 貝ノ川トンネルを抜けると叶崎黒潮展望台のあるパーキングエリアがあり、ここで大休憩する。

叶崎トンネルの先に…

…大休憩…足摺岬に近い太平洋の黒潮を見て、修行してきた土佐の遍路を思い出した。 阿波を出発して、とうとう四国の反対側に到着した。 長い長い海岸線を走った思い出、急峻な坂道もあったし、雨の遍路も経験し、自転車転倒で左背を痛打し、 遍路道で迷子になったり、宿坊でのお朝時の体験、自転車の破損と思い出は次々と出てくる。 自分でも数少ない札所の土佐路をよく走ってきたもんだと思う。

 7時54分 叶崎黒潮展望台 展望台からの眺望

叶崎黒潮展望台そばのトビウオの彫刻と…

叶崎黒潮展望台を出発してすぐ歩道の手摺にトビウオの彫刻が続いていた。 これを見て自転車遍路記念にと一緒に撮影する。 この先、午後になれば伊予に入り菩提の道場入りをする。 引き続き気持ちを緩めずに前に進もう。

叶崎黒潮展望台の先、脇ノ川トンネルを抜けて大浦分岐まで海岸線を走行。 ここから321号線で内陸に入り、緩やかな登りが6kmと長い区間が続く。 建物がポツンと点在し、車の通りも少ない寂しい道路を自転車を下りてトボトボと歩く。 蒸し暑く汗が目に沁み、気が滅入ってしまいそうな時間が長く感じた。

自転車のギヤをローに入れて時速6〜8km位の速度で歩道を走るが、また歩いてしまう。 土佐路の歩道には舗装の隙間から逞しく雑草が1m近く成長している。 分岐して4q弱でトンネルが見えた。

地図で見ると姫の井トンネルだ。 トンネルを二つ連続して通過すると朴崎の月山神社から来る道と合流した。 そして姫の井を過ぎると下り坂になり、自転車は楽に走れるようになった。 この先に道の駅大月があるはずだ! ペダルに力が入り快適に走っていると道の駅ふれあいパーク大月まで1qの案内を発見! 急に力が漲った。

姫の井第1トンネル
 8時58分 姫の井第1トンネルと第2トンネルが続く 道の駅ふれあいパーク大月まで1km

走行して来た歩道の反対側に道の駅ふれあいパーク大月を見つけた。 立ち寄ろうと思ったが土佐路最後の札所、延光寺に早く到着したい気持ちが強かったので通過。 さらに大月町役場前を通過して一本松に到着。 宿毛湾に流れ出る福良川を渡り、すぐ左折して大海分岐点では宿毛湾が見えるようになった。 車の通りも多くなりカーブの多い道路の歩道をヨタヨタ走る。 やがて反対側に道の駅宿毛を見つけたが車の通行量が多く通過する。

 10時16分 福良橋…福良川を渡り左折して宿毛へ

松田川大橋を渡り…
道の駅すくもを通過…

松田川の上流方向の景観

その先、松田川大橋を渡り松田川の土手沿いを走り、 高架の土佐くろしお鉄道宿毛線の東宿毛駅をくぐり国道56号線に出る。 ここから土佐くろしお鉄道宿毛線を見ながら新宿毛大橋を渡り、緩やかな登り坂を約7km走り東押の川を過ぎて札所案内を見つけ小路に入り延光寺に到着。

松田川大橋を渡り土手沿いに… 新宿毛大橋

厳しい土佐路「修行の道場」の最後は、亀がシンボルの延光寺です。 疲労感を言い出したらきりがないが、最後の土佐路を飾る走行でした。 今朝、大宮の人から戴いた草餅を食し昼食の代わりとする。

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■第39番札所 赤亀山 寺山院 延光寺■
     宗 派: 真言宗智山派
     本 尊: 薬師如来
     開 基: 行基菩薩
     創 建: 神亀元年(724年)
     真 言: おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
     御詠歌: 南無薬師諸病悉除の願こめて
          詣る我が身を助けましませ
★彡 第39番札所 延光寺の拡大映像

第39番札所 赤亀山
 寺山院 延光寺
  11時38分
仁王門 境内

仁王門をくぐった右手に大赤亀の背中に梵鐘がのった石像がありました。延光寺には竜宮城伝説があります。 平安時代に、竜宮に棲んでいた赤亀が、背中に銅の梵鐘を背負ってきたという。お寺では奉納して、山号、寺名を赤亀山延光寺に改めたという。 梵鐘は高さ33.6cm、口径23cmの小柄な鐘で国指定重要文化財になっている。亀は縁起物だから道中衣に初めて納経印を戴きました。(200円)

大赤亀の背中に梵鐘がのった石像

本堂

納経所
鐘楼

大師堂

道中衣に延光寺の納経印

延光寺から国道56号線に出て宿毛まで打ち戻りの形になる。 今度は緩やかな下り坂で楽ちん。 休憩と昼食を兼ねて休憩処を探そうと土佐くろしお鉄道線に沿って走り、その終点、宿毛駅前のコンビニで大休憩した。 お握り2個買ってベンチで食す時、歩き遍路の若者に出逢う。

若者は長時間歩いた後、靴を脱いで裸足で休憩すると足の疲れがとれて気持ち良いと云う。 その気持ち、充分に分かる。
私も大地に寝転んで地面の感覚を味わったことを話す。
暫く話して記念撮影し再スタート。

土佐路の札所から伊予路の最初の札所、第40番札所観自在寺を目指す! とりあえず愛南町の指標を次の目標に…。

 13時4分 靴を脱ぐと気持ち良いそうです 髭オヤジで〜す

国道56号線をひたすら走り、愛南町の40番観自在寺までは約30kmあり山間も走ります。 国道56号線の宿毛トンネルを抜け県境に向けゆるやかな登り走路が続く、野地地区の田園風景は若い稲穂が伸びている。 一本松トンネルを抜けて県境を越えた事に気が付く。 トンネルも結構続いたが歩行通路は広く安心して通過できた。途中で一本松トンネル内工事中の映像を撮影、心にゆとりができたようだ。

土佐路から伊予路へ
 13時17分
野地地区の田園風景

一本松トンネルは工事中 14時40分
一本松トンネル

ピンボケ映像

道は緩やかな下り坂で、登ってきた分、快走を楽しめます。 今は愛南町として行政が一本化されているが一本松を通過し、蓮乗寺トンネル、城辺トンネルと続く。 トンネル走行は恐怖を感じるが、新しいトンネルは歩道が幅広く多少は気持ちが楽になった。

一本松地区 城辺トンネル

途中遍路道を外れているのに気が付く、蓮乗寺トンネルと城辺トンネルの間の深浦小学校辺りで右折するところを通過してしまった。 なるべく歩き遍路道を通りたい。 56号線から僧都川を渡って299号線に戻り、愛南警察署の前を通過。 観自在寺の看板を見つけた時はほっとした。

 14時49分 城辺トンネルを出て道を外れた事に気が付く 僧都川を渡って…

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ 菩提の道場 伊予路 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

伊予路に入りました。菩提の道場。煩悩を断ち悟りを得る、迷いから目覚める菩提の道場に入ります。 発心の道場、修業の道場を経て、ようやくたどり着く菩提の道場は、豊後水道と穏やかな海の瀬戸内に囲まれ、 多くの城下町、由緒ある古い町並みに温泉町がある。 その伊予路には、西日本最高の霊峰石鎚山をはじめとして、多くの山岳霊場があります。

愛南町は美しいリアス式海岸の宇和海に面した最南端に位置し、足摺宇和海国立公園の景観を望めます。 その観自在寺は愛南町の中心にあり、中央を僧都川が海へ流れる出る位置にある。境内は芝生が多い庭園の美しいお寺でした。 また1番霊山寺から一番遠くにあり、四国霊場の裏関所とも呼ばれている。

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■第40番札所 平城山 薬師院 観自在寺■
     宗 派: 真言宗大覚寺派
     本 尊: 薬師如来(伝弘法大師作)
     開 基: 弘法大師
     創 建: 大同2年(807年)
     真 言: おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
     御詠歌: 心願や自在の春に花咲きて
          浮世のがれて住むやけだもの
★彡 第40番札所 観自在寺の拡大映像

第40番札所 平城山
 薬師院 観自在寺
  15時10分
仁王門

手水舎と鐘楼

宝聚殿八角堂

庭園から見る大師堂
美しい境内



本堂

大師堂

← 17時38分…(近所のスーパー店内で撮影)

納経後、41番龍光寺までの遍路状況を教えて貰う。 野宿できそうな場所と温泉施設などを聞いていると、後ろから歩き遍路の青年が境内での野宿を求めてきた。

お寺の人が「テントより通夜堂があるから利用して下さい」と話した時、 先に進むより、初めての通夜堂泊を経験したい気持ちがあったことを話した。 二人で通夜堂の使用を了解して貰う。(感謝!)


青年と自己紹介をしたら、自衛隊出身で、退官後、歩き遍路に挑戦していると聞く。 細身だが筋肉質の鋼の様な肉体を持っている。 いろいろな話題を話したが非常にマナーの良い若者の印象を受けた。


青年と二人で荷物を通夜堂に置き、自転車は駐車場の隅っこに置く。 近所のスーパーへ買い物に行くとスーパー内は簡易テーブルもあり、ここで食事できます。 四国に来て気が付いたのは、店舗内に多くのテーブルがあり、スペースが広いことです。 他の地方はどうなのだろうと思う。

スーパーで夕方の割引価格でお弁当や惣菜を買い、のどごしで喉を潤す。 通夜堂では禁煙、禁酒のため、店内の簡易テーブルで飲食した。

フランス語の般若心経

 20時17分…
通夜堂に戻ると、今夜はもう二人同宿することになった。 部屋の広さは6畳足らずで、後から来た二人の内一人は通夜堂前にテントを張り、通夜堂には三人で寝ることになった。

後から来た二人は、60回以上遍路している先達とフランス人のペアでした。 初めは米国、英国?と思っていたらフランスの人と判りました。 高野山で修行するため四国遍路修行しているとのことで、流暢な日本語で話すから日本文化に深い興味を持っていると感じた。

持っていた般若心経はやっぱりフランス語で書かれていました。撮影させてもらい記念にした。

話が盛り上がって私がトイレに行った時に、もう一人の方に「寝るまで皆でお話ししましょう」と通夜堂にきてもらい談笑を続けたが、 急に遍路や自然界について厳しい口調で青年に遍路講釈を始めた。
厳しい講釈を横で聞くが、人それぞれ持論はあるが強制してはいけないと思う。 ともあれ時間が9時近くなり、先達は講釈を終えてテントに戻った。
後は三人とも寝袋に包まって…。おやすみなさい。

厳しい遍路講釈…通夜堂
修行の道場から菩提の道場へ!    …四国自転車遍路 TOPへ…
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