■ 「菩提の道場 (愛媛県)」 ■

菩提(ぼだい)= 煩悩を断ち悟りを得る、迷いから目覚める「菩提の道場 (愛媛県)」と云われる伊予路に入りました。
発心の道場、修業の道場を経て、ようやくたどり着く菩提の道場は、豊後水道と穏やかな海の瀬戸内に囲まれ、 多くの城下町、由緒ある古い町並みに温泉町がある。 その伊予路には、西日本最高の霊峰石鎚山をはじめとして、多くの山岳霊場もあり、その数は26札所ある。


■5月22日(火)天候 快晴■     自転車 Odo 1073.6-1124.1km (走行キロ50.5km) 

ホテルを出発する前にお接待で、新しい豆を焙煎していい香りのコーヒーを御馳走になった。(感謝!)
店内にコーヒー店特有の焙煎するコーヒー豆の香りが充満して気持ちが覚醒する。 普段は毎日飲んでいるコーヒーだが遍路旅に出てコーヒーを飲む機会が無くなり嬉しかった。 ご主人にお礼を言い、朝6時半に出発して、高架になった今治駅の下を通過する。

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最近、台湾の自転車メーカーが駅前に「GIANT」店を出店した事をテレビで知っていたが、今日そのお店前を通るとは思わなかった。 しまなみ海道は、サイクリングコースとして多くの人々に憧れに似た気持ちを起しているらしい! GIANTはそのブームになり、今治がもっと元気になって欲しいと思う! WEB編集中に自転車遍路で知り合ったぐるっと、しんごさんが自転車の故障で寄ったことを知った!
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ともかく56番泰山寺まで、道は一直線で約3kmです。 甲子園でよく知る今治西高校前を通ると、校門には先生が登校した生徒に声掛けしている。 子供達は自転車通学が多く、一本道付近は自転車の通行で賑やかだった。 その中1人、道中白衣を着た髭オヤジが走り抜けていく。

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■第56番札所 金輪山 勅王院 泰山寺■
     宗 派: 真言宗醍醐派
     本 尊: 地蔵菩薩(伝弘法大師作)
     開 基: 弘法大師
     創 建: 弘仁6年(815年)
     真 言: おん かかかび さんまえい そわか
     御詠歌: みな人の詣りてやがて泰山寺 来世の引導たのみおきつつ
★彡 第56番札所 泰山寺の拡大映像

泰山寺は住宅地を過ぎて田園地帯に囲まれた静かなお寺だ。 自転車を道路の反対側にある駐車場に寄せる。宅地の間の狭い道を入ると、 石垣に囲まれた高台にあり、新しい白い漆喰塀と石垣が美しい。 石段を上ると石柱門があり境内になります。 右側に鐘楼、大師堂。左側に本堂が建ち、正面に寺坊、納経所が並んでいます。 朝一番で境内には誰も居なく、朝日を背に受けて私一人の納経をする。


第56番札所 金輪山
 勅王院 泰山寺
  6時59分
この反対側の駐車場に自転車をおく

本堂


大師堂

栄福寺へは泰山寺から約3km、今治駅から一直線の道をさらに進み、 天満宮の所を左折して田園風景を眺めながら蒼社川を渡り、すぐ右折。 暫く進んで左折すると小道になり栄福寺の案内板があったが、それを見落として、先に進んでおかしいなぁ? どんどん畑の中に来てしまった。 人がいないので暫く周辺をウロウロして、 農家の納屋から出てきた人を見つけて聞いたら行き過ぎたことを教えて貰い引き返した。 引き返す方向からは案内板がよく見えた。このような経験はよくある。

栄福寺は山裾にあるお寺で小路を上って行く。 門が無く、永福寺の大きな石柱門があった。 自転車を転がして境内の奥へ進むと、お寺の家族が幼児を遊ばせていたので、 「おはようございます」と声をかけて、突き当りの納経所前に自転車を寄せた。 栄福寺は山の中腹につづら折れの様な細長い境内が続き、一番奥に本堂があり手前右側に大師堂があった。 本堂の左下はお寺の入口になる。 遍路人は私一人だが子供達の声が境内に木霊していた。

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■第57番札所 府頭山 無量寿院 栄福寺■
     宗 派: 高野山真言宗
     本 尊: 阿弥陀如来
     開 基: 弘法大師
     創 建: 弘仁年間(810年〜824年)
     真 言: おん あみりた ていせいから うん
     御詠歌: この世には弓矢を守る八幡なり 来世は人を救う弥陀仏
★彡 第57番札所 栄福寺の拡大映像

第57番札所 府頭山
 無量寿院 栄福寺
  7時46分
入口、突き当りが納経所

本堂
弘法大師像

大師堂

58番仙遊寺までは距離は3km。 距離は短いが地図と道路がうまく合致しない。一度境内に戻って道を聞いて出発。
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それでも緩やかな丘に広がる畑地を眺めながら進むが、目印が無いから方向感覚がくるってしまった。 適当に登り道を自転車を押しているとタオル会社前を通った。

ここで聞いて遍路地図上で現在地が判明、冷たいお水を戴き、会社の敷地に自転車を置かせて貰えないか聞いた。
快く了解を戴き、事務所横に寄せる。(感謝!)

鐘楼

タオル会社事務所からは歩き遍路に…。 田圃の中を大型バスが通って行った。 登りが続くし、自転車を置かせてもらえば身が軽い! あとは納経バックを持って仙遊寺まで歩き遍路をする。
犬塚池を通って、登り道ではアブの集団に頭上を囲まれ困惑したが、背をかがめて慎重に通過し仁王門に到着。

犬塚池は栄福寺から仙遊寺にくる時、途中にあった池で文化4年(1807年)に完成した池で、 仙遊寺と栄福寺の使い役をした犬の供養池だそうです。

眼下に犬塚池

車道は駐車場に登って行くが、仁王門からは、門をくぐって境内に登る石段がある。 標高280mまでの遍路道は、鬱蒼とした樹林に覆われた石段を登っていく。 歩き遍路の人も大変だなぁと心に思った。

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■第58番札所 作礼山 千光院 仙遊寺■
     宗 派: 高野山真言宗
     本 尊: 千手観世音菩薩
     開 基: 越智守興
     創 建: 7世紀後半
     真 言: おん ばざらたらま きりく
     御詠歌: たちよりて作礼の堂にやすみつつ
          六字を唱え経を読むべし
★彡 第58番札所 仙遊寺の拡大映像
境内に入り、息が整うまで境内を撮影する。 最初の頃、ぜいぜいハーハーの状態で読経をして、満足を得る事ができなかった。 納経だけはゆっくりしたい! 納経所は本堂の中に設けられていた。

第58番札所 作礼山
 千光院 仙遊寺
  8時46分
仁王門

鐘楼
境内への上り口

本堂、右奥に納経所がある
御砂踏霊場とは、修行大師が四国霊場八十八ヶ所の御本尊石仏をお祀りし、足元に各札所の御砂を埋めた石板を安置してある。
大師堂 御砂踏霊場

納経を済ませて、歩きだしたら土佐路の室戸市で知り合った立川のTさんとすれ違う! Tさんはユーラシア大陸を自転車で横断した強者です。 その装備は小奇麗に整理整頓されていて、テントから食器まで準備してあり、 今回は遍路しながら日本の里巡りをしている。

自転車遍路の私が歩いているから驚いた様子だった。訳を話したら大笑い! この坂はもうしばらく続くと情報を話し別れた。 タオル会社まで戻り、自転車に荷物を積み直してお礼を言い、再スタート!

境内

お寺からの景観が良かった。 高い場所から眼下の景観を見るのが楽しみでもある。 肉眼でしまなみ海道の橋梁が伸びているのが見渡せたが300*200の映像では見えない。
次の59番国分寺まで約8kmの距離。 犬塚池の分岐点までは登りが続き、自転車を押して歩いてゆく。

分岐点で自転車に乗ろうとしたら、後ろから来た車に呼び止められた。 助手席から女性が降りて、手作りした遍路人形を頭陀袋に付けてくれた。 「手作りした遍路人形です。道中の安全を祈っています」と言われ、 運転席のご主人と奥さんに「有難う御座います」と頭を下げた。

しまなみ海道の橋梁が… 手作りした遍路人形

分岐点から吉祥禅寺まで緩い下り坂で、ここから歩き遍路道に入る。 吉祥禅寺を通り過ぎて暫く進むと広い道になり市街地に入った。 この一本道を真直ぐ進むとJR伊予富田駅にでて、156号線のT字路を右折する。 JR予讃線を横切り、並行して走ると頓田川を渡り、さらに走ると59番国分寺の案内板を見つけた。

この先下り坂を快走… 国分寺入口の案内板

各地にある国分寺は天皇が各地を鎮撫するため、建立を命じた寺院だから、山中より当時の最良の地にある。 広い敷地にお堂がゆとりを持って建立されている。 入口に両側に大きな石灯籠が置かれている。 幅広い参道は石畳の先に石段があり、最近造営された印象がある。 自転車の置き場所が無く、人が見当たらないので歩いて回りこむと駐車場があり、多くの人がいてひと安心。 取りあえず納経所まで行って自転車を寄せる。
境内に握手修行大師があり、手で握手することができる。 この握手修行大師像は訪れる人から握手攻めされるから手が黒くなっていた。

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■第59番札所 金光山 最勝院 国分寺■
     宗 派: 真言律宗
     本 尊: 薬師瑠璃光如来
     開 基: 行基菩薩
     創 建: 天平13年(741年)
     真 言: おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
     御詠歌: 守護のため建ててあがむる国分寺
          いよいよめぐむ薬師なりけり
★彡 第59番札所 国分寺の拡大映像
伊予の国府があったこの地域は伊予文化発祥の地とも云われたが、幾世紀にもわたる 度重なる戦火で、堂宇は灰燼に帰し、本格的な復興は江戸時代の後期に入ってからという。

第59番札所 金光山
 最勝院 国分寺
  10時26分
入口

鐘楼
納経所

本堂

納経所で、縁起を聞いた時「歩きか」と、聞かれ「自転車です」と話すと地図を出して、この先の遍路順番を教えてくれた。(感謝!)

札所の順番通りに走ると走行距離が長くなり、 効率よく走るには61番香園寺、62番宝寿寺、63番吉祥寺を打ってから60番横峰寺に向かうと距離的に短いと教えて貰う。
そのため地図を出して新しい経路をマーカーペンで走らせた。 納経所での語らいは楽しみの一つです。

大師堂
156号線を走って町中を抜けると196号線に合流する。 道の駅今治湯ノ浦温泉まで来ると人家は少なくなり車の走る量が多い。 道の駅に寄ろうと考えたが道路の反対側にいたのでパスした。
 11時10分 道の駅今治湯ノ浦温泉

道の駅を過ぎて順打ちで計画した分岐点に来た。 前の国分寺で、ここを真直ぐ行くように教えて貰った。 分岐点を過ぎると今治市から西条市になり海が見え隠れするようなった。 今日のスタート時は横峰寺の山岳霊場を心していたのでチョット違和感がある。 広がる田園地帯を走り、壬生川付近では海岸線も見えた。

 11時22分 西条市に入る

西条市河原津地区

壬生川付近

コンビニでお握り1個と初めて野菜ジュースを買い昼食とする。 別に急いでいるわけでもないが、今日は12時を過ぎて4ヵ所のお寺を打つ事ができそう。 途中で大休憩した方が良いと思うが適当なところが無かった。 また大休憩すると再出発の時に身体がなかなか反応しない! 道の駅今治湯ノ浦温泉も反対側の歩道を走っていたので通り過ぎただけで、要はタイミングだなと自分に言い聞かした。

 11時53分 東予付近 コンビニで昼食休憩

広江川を渡り、中山川の大橋を渡ると伊予小松に入る。 幾分、山が近くなったような気がする。 196号線は国道11号線と合流する地点に新宮の鳥居があった。 この鳥居から市街地を抜けて香園寺の案内板を見つけてホッとする。
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香園寺の入口は門が無く石柱がある。 石柱は二対あり立派なものです。 正面の森に向かって進んで行くと境内がコンクリートでどこかの大学の中に踏み込んだような感覚だ。 正面に立派な建物がある。

香園寺までもうすぐ!
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■第61番札所 栴檀山 教王院 香園寺■
    宗 派: 真言宗御室派
    本 尊: 大日如来
    開 基: 聖徳太子
    創 建: 6世紀後半
    真 言: おん あびらうんけん ばざらだどばん
    御詠歌: 後の世を思えば詣れ香園寺
         止とめて止まらぬ白滝の水
★彡 第61番札所 香園寺の拡大映像

第61番札所 栴檀山
 教王院 香園寺
  12時33分
香園寺入口

超近代的な大聖堂
境内はどこかの大学のイメージが…

鐘楼

境内の大木の横に自転車を寄せて、燭台で蝋燭を灯していると地元のおばさんが話しかけてきた。 「何処からきたの?」、「東京の板橋」、「歩き遍路?」、「自転車遍路です」と会話が始まった。 東京板橋から来たと聞いたおばさんは、息子が北区の浮間に住んでいると言う。 親近感がわく。 おばさんは「香園寺の名と建物のイメージが結びつかない」と話していた。 訪問前は寺名から想像すると京都のお寺をイメージしていたが…。 帰りがけにお茶のボトルをお接待して戴いた。(感謝!)

子安大師堂 本地堂(本地仏の釈迦如来を本尊、脇仏に地蔵菩薩、観世音菩薩)
祈念室(1階) 2階の本堂入口

61番香園寺は聖徳太子の開基という四国霊場屈指の古刹でありながら、一方境内には本堂と大師堂を兼ねた超近代的な大聖堂がありました。 4階建のビルに相当する大聖堂は、講堂、祈念室(1階)、本堂(2階)がありました。 ただ1階の祈念室は掛け軸と額があるだけで、本尊は2階にある大日如来像だ。 薄暗い広い講堂内に大日如来像が一際輝いていた。その他にも多くの像があり、直近で観れるので有難かった。 撮影禁止の札が無いので堂内を撮影した。 外に出て大きなため息! そして納経所へ向かう。

ここで靴を脱ぐ

大日如来像 大きな声で読経
中に入って圧倒された!

外に出て大きなため息、そして納経所へ
香園寺を出発し宝寿寺まで約1km、自転車に乗らず歩いて行く。 196号線と国道11号線の新宮交差点を右折してすぐ宝寿寺の案内板があり、JR伊予小松駅の手前を左折して到着。 歩いて10分ちょっとでした。
国道11号線に出て 街中を歩くのも久しぶり
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■第62番札所 天養山 観音院 宝寿寺■
     宗 派: 高野山真言宗
     本 尊: 十一面観世音菩薩
     開 基: 聖武天皇
     創 建: 天平年間(729年〜749年)
     真 言: おん まか きゃろにきゃ そわか
     御詠歌: さみだれの あとに出たる玉の井は 白坪なる一宮かわ
★彡 第62番札所 宝寿寺の拡大映像

第62番札所 天養山
 観音院 宝寿寺
  13時12分
手水舎、奥の堂宇は立ち入り禁止 本堂

かつては伊予三島水軍の菩提寺として、また大山祇神社の別当寺として栄えていたが、明治初期の廃仏毀釈によって廃寺となった。 明治10年に再建されたが、JR予讃線の開通で移転し、国道11号線の開通で敷地が小さくなったというから時代の流れに翻弄された運命を感じた。 正面の本堂は修復中のようで現在は仮本堂で納経する。 隣の大師堂も堂宇が小さかった。

大師堂 この付近から石鎚山の文字が目に付く

宝寿寺から吉祥寺までは約1.5km、国道11号線沿いに走る。 石鎚山の看板が目に付く。 伊予氷見駅前で吉祥寺の案内を見つける。西日本最高峰の石鎚山の登山口の案内も見つけた。 機会を見つけて石鎚山とあわせて四国カルストに行ってみたい!といっても四国トラストは反対側から向かわなければならない。 そんな思いを振り切った頃、吉祥寺に到着した。

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■第63番札所 密教山 胎蔵院 吉祥寺■
     宗 派: 真言宗東寺派
     本 尊: 毘沙聞天
     開 基: 弘法大師
     創 建: 弘仁年間(810年〜824年)
     真 言: おん べいしらまんだや そわか
     御詠歌: 身の中の悪しきひほうを打ちすてて
          みな吉祥をのぞみいのれよ
★彡 第63番札所 吉祥寺の拡大映像

八十八霊場中、吉祥寺のみが毘沙聞天が本尊だそうです。 山門前にあるユニークな象の石像が印象に残った。 門わきに自転車を寄せて、門をくぐると右手に納経所があり、左手に本堂、大師堂がある。 本堂には中に入って本尊の毘沙門天を見ることができた。 大師堂は格子戸が閉まり、お賽銭受付の小窓しか内部を見ることができなくてガッカリする。


第63番札所 密教山
 胎蔵院 吉祥寺
  13時39分
山門 鐘楼
豊臣秀吉による四国攻めの争乱で全山を焼失し、江戸時代に末寺の檜木寺と合併し、現在地に移り再建されたが、 吉祥寺も宝寿寺と同様に、国道11号線とJR予讃線に挟まれ、寺域は道路と鉄道によって狭められた。
本堂 大師堂

これから標高800m近い60番横峰寺へ向かう。 納経所で地図を確認すると、142号線を登り松山自動車道をくぐり、黒瀬峠から瀬戸内バス横峰寺バス乗換所へ、 そして平野林道を通って横峰寺に向かう。 平野林道は自転車の通行料は無料と聞いた。さぁ!出発!
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吉祥寺からスタートして氷見市街地を抜けて松山自動車道が見える辺りから登り坂になった。 自転車のチェーンが切れるんじゃないかと思うほど登りがきつくなり降車する。 疲弊した筋肉を最大に発揮して登るが、やっぱり途中からひたすら自転車を押し続ける。

納経所

このような展開は撮影の機会が無くなる。 氷見の市街地が見渡せるようになり、高速道を車両の走るのがよく見える。 やっと黒瀬峠の分岐点に到着して大休憩。 その先の瀬戸内バスが営業する横峰寺バス乗換所を目指して、再び自転車押しを続けた。

14時半に横峰寺バス乗換所に到着。 ここには温泉旅館京屋がある。 飼い犬が砂利の上で昼寝をしていた。 顔だけ上げて私の方をじっと見ている。 地図を広げて残りの距離を計算すると約8kmあった。 17時まで残りの8kmを自転車押しで行ける自信がなかった。 乗換所の運転手にバスは運行しているか聞くと往復1700円だという。 横峰寺までバスを利用することにした。

横峰寺バス乗換所
  14時55分


自転車をバス乗換所に置き、貴重品と納経バッグ、カメラバックを担ぎ、切符を買う。 先頭のマイクロバスに乗車して待っているように言われ、30人乗りのバスに乗り休憩する。 マイクロバスは3時定時に出発し、お客は私一人だった。
約8kmを狭い山間の道路をバスは縫うように登って行き、私一人の為にマイクロバス1台を専用しちゃった! この先、道路は分岐点で平野林道となり途中に料金所があった。 擦れ違いできない道は所々に待避所があります。 対向車と出会うと待避所で路肩いっぱいに寄せるから冷や冷やした。


駐車場を出発してバスの乗車時間は30分だった。 帰りのバスの時間を聞くと、お客さんが戻ってきたらと言ので、なんだか申し訳ない気分になる。 いつものように納経してくればいいと云われたが、自然に速足になり横峰寺へ向かう。 駐車場が標高790mにあり、横峰寺は標高715mだからお寺へは山道を下りていく。 一度境内に入り、本堂を過ぎて下の納経所まで下りてゆく。

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■第60番札所 石鉄山 福智院 横峰寺■
     宗 派: 真言宗御室派
     本 尊: 大日如来
     開 基: 大日如来(伝弘法大師作)
     創 建: 白雉2年(651年)
     真 言: おん あびらうんけん ばざらだどばん
     御詠歌: たて横に峰や山辺に寺たてて あまねく人を救ふものかな
★彡 第60番札所 横峰寺の拡大映像

第60番札所 石鉄山
 福智院 横峰寺
  15時30分
駐車場の裏参詣道から向かう

さらに速足になった

鐘楼(ピンボケ)


境内が見えてきました

大師堂

速足で仁王門に向かい、再度境内に戻った。 仁王門から本堂に向かうが修復中でちょっと残念に思う。 山岳信仰の霊地であり、修験道の道場として空海が入山して大日如来を刻み、本尊としたが、明治に廃仏毀釈で廃寺になった。 以後、明治42年(1909年)に再興されたという。 少なからず石鎚山に縁のあるお寺で石鎚山には最短距離にある。

本堂(修復中)

境内
納経所

仁王門

納経して駐車場まで戻るが、急坂も楽に登って行く自分に驚いた。 知らないうちに足腰の筋肉と身体の余分な脂肪が取れているようです。 俺の体重は家を出る時は72〜73kgあったが、今はどのくらいだろう? 自宅に帰ってからが楽しみである。 …遍路後の体重は63sで持病の腰痛が消えた。

16時過ぎに駐車場に戻りバスに乗車、麓目指して発車した。 途中、次便のマイクロバスとすれ違ったが、こちらは団体で満員だったので驚いた。 こっちは客が1人で再度、申し訳ない気持ちになる。 今度はショベルカーとすれ違い! キャタピラ回して要領よくすれ違い! 両運転手の腕の見せどころです。 帰りはバスから黒瀬湖が見渡せたので、バスの振動に合わせて何枚か撮影した。 晴れているがガスがかかっている。

 16時 5分 横峰寺駐車場

バスから撮影
ショベルカーとすれ違い!

バスから撮影(黒瀬湖)

4時20分にバス乗換所に到着。 登りが30分、下りが15分と往復でも大分時間が違った。 自転車に荷物を積み直し出発した。 今4時半、次の64番前神寺まで間に合うか判らないが走ってみた。 黒瀬峠の分岐点で黒瀬湖の撮影をして、あれだけ苦労した登り坂をゆる〜りと下りて行く。 あまりにも楽ちんなので降りるのが勿体ない気がした。

バスから撮影(黒瀬湖) 黒瀬湖(黒瀬峠の分岐点で撮影)

氷見市街地まで下りて国道11号線の手前の遍路道に入る。 ここから点在する民家を通って約3km走り前神寺前に到着。 山門をくぐり手水舎の所に自転車を寄せる。 墓参りの人が桶や柄杓を片付けていた。

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■第64番札所 石山 金色院 前神寺■
     宗 派: 真言宗石派(総本山)
     本 尊: 阿弥陀如来(伝役行者作)
     開 基: 役行者小角
     創 建: 7世紀後半
     真 言: おん あみりた ていせい からうん
     御詠歌: 前は神後は仏極楽の よろずの罪をくだくいしづち
★彡 第64番札所 前神寺の拡大映像
最初に納経所に行くと、まだ開いていたので先に納経をして貰っても良いか聞くと、快く了解してくれた。 その後、17時過ぎに本堂、大師堂と回り、境内の堂宇を参拝した。

第64番札所 石山
 金色院 前神寺
  16時48分
山門

17時を過ぎると誰も居なくなった
鐘楼

64番前神寺は、立派な堂宇が石鎚山の麓に樹林に囲まれて素晴らしかった。 寺はもともと石鎚神社の別当寺であったが、明治初期に廃寺となった。 その後明治11年に現在地に移して再興された。 以来、石鎚神社とともに石鎚信仰の修験道の根本道場として、石鎚山の山開きには前神寺に集まり、 ここから山頂の石鎚神社まで登るから修験道の人々で行列ができ賑やかになるそうです。

本堂は石段を上がり…

鳥が翼を広げて包み込まれるようです

護摩堂
本堂

大師堂

薬師堂

前神寺から11号線を走り、65番三角寺へ向かうかたちでビジネスホテルを探します。 伊予西条市内に多くの宿があるので、何処か見つかるだろうと走りました。 国道沿いのコンビニの後にホテルイレブンがあった。 宿泊を聞くとOK!タイミング良く宿が確保できた。 素泊り4000円。早速、自転車の置き場を確認して荷物を卸し部屋に運んだ。 フロントに戻ると御主人が撮影した写真を見せてくれた。 趣味で撮影しているそうで、様々な写真が撮りたい被写体を良く捉えていた。

 17時54分

ホテル玄関前には花壇があり、この時期の花がバラを中心に綺麗に開花していたので撮影。
御主人、自分の大切にしているものを褒められたから嬉しそうだった。 人間って、認め合う事が大切だと実感!


自転車置き場に行って自転車の整備。 走行距離が1000kmを超え、転倒や海岸線を走行したので、錆が心配でブレーキやタイヤをチェック、清掃と注油をして整備に費やす。 整備後、コンビニに食事の買い出しに…。    ホテルに戻り、お風呂に入り、入念に肩から太ももにかけてマッサージ! 入浴後、東京から持ってきた筋肉の消炎剤を全部使い切った。 身体のケアが終わったら胃袋にガソリン(のどごし)を注入! 生き返った!

今日の走行ルートを確認して、つくづく思った事は、59番国分寺から60番横峰寺と順打ちすれば良かったと思った。 妙谷川に沿って147号線を登って標高300mの遍路小屋まで行き、 そこに自転車を置いて、残りの2kmを歩いて登るコースの方が、私が考えていた遍路に近かった。 あるいは吉祥寺で宿泊し、翌朝、横峰寺に向かう手もあり、いろいろ考えてしまった。

今日は納経したお寺の数が多かったので、後で記録帳に書くのが長くなりそうだ。
また、日本を、ぐるっとみてこよう!の30歳の若者(仮名ぐるっとしんごさん)もここに宿泊したことを後で知った。

         …四国自転車遍路 TOPへ…
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