■ 「発心の道場(徳島県)」 ■

発心(ほっしん)= 悟りを求めようと一念発起する、発心の道場(徳島県)と云われる。 阿波の国は、弘法大師が苦しむ人々の救済を発願をしたことから、「発心の道場」と云われます。 所願成就を願っての修行の旅の始まりです。

四国の東部に位置する徳島県は県内に二十三寺が点在し、遍路の基本的な事に気づかされ修得する道程である。


■5月10日(木)天候 晴れ■   自転車 Odo 139.3-192.3km (走行キロ53km)

翌朝、朝食の時間にはN僧はすでに出発した後でした。 朝食後、皆さん別々に遍路を再スタート! その前に、すだち館のご主人が記念撮影をして、その場でプリントして各自に持たせてくれました。(感謝!) 焼山寺登り口、鍋岩のすだち館を7時に出発しました。

 7時 すだち館のご主人が記念撮影を…

自然がいっぱい…
川のせせらぎが聞こえる

農家も点在…

昨日、通った43号線、道の駅神山温泉、神山町役場を通過し、鮎喰川に沿って緩やかに下ってゆく20号線は、この日は自転車走行の最良の日です。 昨日、景観を楽しむ余裕がなかったが、今日は自分が少し変わったように思えた。 昨日、道を教えて戴いた阿野郵便局で、お礼の言葉と思ったが9時前に通過し、郵便局はまだ開いていなかった。

鮎喰川の景観

緑豊かな渓流

美しい景観が…
 8時11分

今日初めての喫煙タイム
遍路人形は地域愛が伝わる

もうすぐ大日寺

鮎喰川に沿って緩やかに下り坂が続き、13番大日寺には約26km走行して、9時過ぎに到着しました。
大日寺は山門を入ると中央に極彩色のしあわせ観音像が迎えてくれます。 本尊は十一面観世音菩薩が祀られている。 神仏習合の時代のお寺の歴史を知る。

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■第13番札所 大栗山 花蔵院 大日寺■
   宗 派: 真言宗大覚寺派
   本 尊: 十一面観世音菩薩
   開 基: 弘法大師
   創 建: 弘仁6年(815年)
   真 言: おん まか きゃろにきゃ そわか
   御詠歌: 阿波の国一宮とはゆうだすき かけて頼めやこの世のちの世
★彡 第13番札所 大日寺の拡大映像

第13番札所 大栗山
 花蔵院 大日寺
  9時12分
山門

本堂

水子地蔵と子安地蔵尊
極彩色のしあわせ観音像

大師堂


9時45分
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大日寺から次の常楽寺へのルートは、鮎喰川に沿って神山町から徳島市内に戻るルートです。  昨日頑張った分、大師様のご褒美のように思った。

また大日寺から14番常楽寺、15番国分寺、16番観音寺、17番井戸寺は比較的距離が近く、遍路の基本的な事を修得しく。

常楽寺は大日寺から鮎喰川の一の宮橋を渡ったそばにあり、せせらぎや田園風景が見える小高い丘にある。
門柱のある石段を登ると、境内は奇形な岩盤の断層が重なる上にあり、各堂宇が岩盤の上に建立されていた。 本堂前にあるアララギの大木は天然記念物で周囲が柵で囲まれている。

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■第14番札所 盛寿山 延命院 常楽寺■
   宗 派: 高野山真言宗
   本 尊: 弥勒菩薩
   開 基: 弘法大師
   創 建: 弘仁6年(815年)
   真 言: おん まい たれいや そわか
   御詠歌: 常楽の岸にはいつか到らまし 弘誓の船に乗りおくれずば
★彡 第14番札所 常楽寺の拡大映像

第14番札所 盛寿山
 延命院 常楽寺
  10時
石柱門から石段をあがる

本堂に向かう

大師堂
奇妙な岩盤上の境内…鐘楼

本堂とアララギの大木

大師像

15番国分寺まで細い小道を約1km走って到着!
四国霊場には四県にそれぞれ国分寺があり、徳島には阿波国分寺がある。 仏教に篤く帰依した聖武天皇は、国家安泰、五穀豊穣、文化の向上を祈って、勅命で日本各地に国分寺、国分尼寺を創建した。
山門をくぐると広い境内に堂宇が点在し、特徴ある重層入母屋造りの本堂が印象に残った。

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■第15番札所 薬王山 金色院 国分寺■
   宗 派: 曹洞宗
   本 尊: 薬師如来
   開 基: 行基
   創 建: 天平13年(741年)
   真 言: おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
   御詠歌: 薄く濃くわけわけ色を染めぬれば 流転生死の秋のもみじ葉
★彡 第15番札所 国分寺の拡大映像

第15番札所 薬王山
 金色院 国分寺
  10時32分
山門

重層入母屋造りの本堂
鐘楼

大師堂
七重大塔を備えた大伽藍を誇っていたが兵火で焼かれ、当時の繁栄を物語る七重塔の心礎石が残っていた。
七重塔の心礎石

…国分寺から観音寺へ向かう


頼りになります!

途中の道しるべは何種類かあるようで、歩き遍路用、車遍路用と、大きさと貼ってある場所の高さにも、 目線が合うように気を配ってあります。自転車のスピードで見逃してしまうと厄介な問題になります。 「四国遍路を世界遺産に!」の看板も時々目に付きます。

観音寺は昔の阿波国の中心地で、塀の替りに寄進額を彫り込んだ石柱を見る事ができた。 境内はこぢんまりとしていて、鐘楼門を入って前に本堂、右手に大師堂、 本堂と大師堂の間に地蔵尊が祀られているだけです。 堂宇は江戸時代初期の建築様式の感じです。

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■第16番札所 光耀山 千手院 観音寺■
     宗 派: 高野山真言宗
     本 尊: 千手観世音菩薩
     開 基: 弘法大師
     創 建: 天平13年(741年)
     真 言: おん ばざらたらま きりく そわか
     御詠歌: 忘れずも導きたまえ観音寺 西方世界弥陀の浄土へ
★彡 第16番札所 観音寺の拡大映像

第16番札所 光耀山
 千手院 観音寺
  11時16分
鐘楼門

大師堂
本堂

八幡総社両神社

観音寺から井戸寺までも約3kmと近く、国府町府中地区の住宅が密集した所を通過します。 町中では遍路の矢印マークに注意しながら走りました。 見落とすととんでもない所に行ってしまう。

住宅地を離れてのどかな田園から、やはり道を間違えて駐車場の方から入ったので、朱塗りの大きな仁王門は後から見学した。 仁王門を正面から見ると本堂を真正面に見ることができる。
本堂の手前左側にある日限大師堂にある面影の井戸は持ち帰る事ができると記されていた。 でも水筒は満タン状態だったので喉を潤した。(持ち帰りできなく残念!) 

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■第17番札所 瑠璃山 真福院 井戸寺■
   宗 派: 真言宗善通寺派
   本 尊: 七仏薬師如来
   開 基: 天武天皇
   創 建: 天平年間(729年〜749年)
   真 言: おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
   御詠歌: 面影をうつしてみれば井戸の水 結べば胸のあかやおちなん
★彡 第17番札所 井戸寺の拡大映像

第17番札所 瑠璃山
 真福院 井戸寺
  11時52分
仁王門

本堂

日限大師堂(面影の井戸)と十一面観音像
広い境内

大師堂

護摩堂本尊不動明王

それぞれのお寺では境内も閑静でゆっくりと読経できました。 それでも般若心経は中々流暢にはいかなく時々詰まってしまう。 井戸寺を打って(打つとは遍路したことをいう)吉野川に流れ込む鮎喰川を渡る手前に神社があり、 神社のベンチに腰かけて、すだち館で持たせてくれたお握り弁当を食しました。 お菓子付きの心温まるお弁当でした。宿のご夫婦の笑顔が思い浮かんだ。(感謝!)

 12時34分
鍋岩のすだち館は1泊3食付4000円でした


18番恩山寺まで18qの石柱案内

上鮎喰橋を渡る

阿波踊り会館前の新町橋2丁目交差点

上鮎喰橋を渡って、徳島市内中心部に入り、徳島大学病院の裏道を走り、 阿波踊り会館前の新町橋2丁目交差点を通り、JR牟岐線のにけんや駅を過ぎてから国道55号線に入る。 冷田川の橋上で小休止。久しぶりの喫煙を楽しみました。 四国に来てから極端に喫煙本数が激減した。 チャンスがあればやめたいところだが、なかなかやめられない自分がいる。 5月半ばになり田圃には苗が植えた直後のようです。 四国遍路の終盤には苗も成長していると思う。

 13時22分 徳島市街を走行 冷田川橋上で小休止

17番井戸寺から18番恩山寺までは、徳島市内中心部を走行するルートを選択。 市内住宅地と商店の混在した狭い道路をのんびりと走ります。 遍路を知るには途中の経路も意味あると思う。 急ぐ遍路より、自分を見つめたり、今日をどう生きるか、途中の印象が残らない遍路では、その意味を失うと思った。

冷田川で小休止…亀の甲羅干し(冷田川) 田植えも始まりました

…14時6分

なるべく歩き遍路のコースを走り、市内中心部では眉山や徳島城跡などの名所旧跡は後回しです。 勝浦川橋目指して国道55号線を走ります。

この55号線は、この後1週間近く、目印の道として、また時として恐怖の道として走ることになります。 徳島市内を通過して55号線は小松島市に入り、警察署を過ぎたところで、恩山寺への道しるべを見つける。 55号線を外れ、地方道に入り、小松島市郊外の小高い山の樹林に向かう。

恩山寺へ入る道しるべ (1.8q)

18番恩山寺の仁王門は道路から離れていて、下を向いて走行していたら見逃すところだった。 そしてこの仁王門、恐ろしく古い門で今にも倒れそうな感じがした。 仁王門のそばに天然記念物の「びらんじゅ」があり、その木肌が赤茶色しているので印象に残った。

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■第18番札所 母養山 宝樹院 恩山寺■
   宗 派: 高野山真言宗
   本 尊: 薬師如来
   開 基: 行基
   創 建: 白鳳2年(673)
   真 言: おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
   御詠歌: 子を生めるその父母の恩山寺 訪らひがたきことはあらじな
★彡 第18番札所 恩山寺の拡大映像

第18番札所 母養山
 宝樹院 恩山寺
  14時14分
仁王門 天然記念物「びらんじゅ」

ここから参道を登って恩山寺入口に到着、古刹を感じる雰囲気。 寺は兵火で焼失したが、江戸時代になり阿波藩の庇護を受けて繁栄し、現在の本堂や大師堂は1800年代頃に再建された建物です。 また、大師が修行時に、母が讃岐から訪ねて再会したと云われ、ここに母が出家した時の髪が納めてあると知る。

駐車場脇から石段が続く

鐘楼

本堂

大きな修行大師御尊像
境内で手水舎に…

鐘を打ち石段を上る

大師堂

朽ちた堂宇

恩山寺から再び5kmほど走って19番立江寺に向かう。 四国八十八寺の中で4ヵ所あるという関所の一つで、阿波の関所寺と云われています。 静かな境内に多くの人がいて、人それぞれの読経が聞こえる。 般若心経の読経も流暢にできて心が洗われるようです。

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■第19番札所 橋池山 摩尼院 立江寺■
  宗 派: 高野山真言宗
  本 尊: 延命地蔵菩薩
  開 基: 行基
  創 建: 天平19年(747年)
  真 言: おん かかかび さんまえい そわか
  御詠歌: いつかさて西のすまいのわが立江 弘誓の舟に乗りていたらむ
★彡 第19番札所 立江寺の拡大映像

第19番札所 橋池山
 摩尼院 立江寺
  15時25分
仁王門

大師堂
本堂

観音堂

19番立江寺から次は難所の20番鶴林寺です。 標高30mから500mの山にあるお寺です。 今日は平地に点在する札所を順調に打つ事ができた。 無事故で通し打ちを完遂するために感謝しなければならない! 携帯を持参せず俗世から切り離された遍路は、スタンプラリーと違って純粋な四国の自然と人々のふれあいの旅でもある。

明朝一番で鶴林寺に向かう為、直前の勝浦町にある道の駅に野宿する予定で走行…。「喋楽さ〜ん!」 「あれ?」確か、私より先行していたはずの、30歳の若者(仮名ぐるっとしんごさん)に後方から声を掛けられた。 話を聞くと、途中マクドナルドで、持参しているパソコンで「日本一周の旅」のブログの更新をしていたそうです。
発心から準備期間、そして東京から出発して東海道を走って来たから、日々のブログ更新も大変である。

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 「なぁ〜んだ!」と云う事で、今夜は同じ道の駅で野宿することに決定! 自転車走行中の姿を撮影して貰ったので、今度は、私が彼の走行映像を撮影。 そしてポケットに入れたと思ったら「ガシャ〜ン、おょょょょ〜!」 自分の自転車の30kg程の荷物の載った後輪で、コンパクトデジカメを轢いてしまった。

一瞬背筋が凍る雰囲気。凹んだデジカメを起動して映像と動作を確認して、ほっと一息。 今までの映像もお釈迦になるところでした。 さすが世界の大手カメラメーカー、耐久性も実証した一件でした。 結願した後でも凹んでいるが立派に使え、今後も大事にしたい!            (撮影後、デジカメを落下!)
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ともあれ近くのコンビニで食料を買い込み、道の駅併設の遍路小屋で夕方から「かんぱ〜い!」 ただ風が強く、道の駅の自販機前のスペースを利用して野宿することに変更する。閉館後、暗くなるまで遍路小屋で近況の報告会です。 遍路小屋には布団や毛布があり、寝る時は床に敷くだけでクッションの役割をしてくれる。

ぐるっとしんごさん(仮名)は東京から自転車で来ているし、パソコン持参で日々、ブログ更新しながら日本一周の旅の途中。 四国の遍路旅はその一部で、私から見れば、彼の日本一周自転車旅に畏敬の念を感じた。

いつも飲む「のどごし」で乾杯〜い!惣菜を分け合いながら夕景の鑑賞と談笑です。 毎日飲めば某ビールメーカーの売り上げに寄与します。(笑い!)

ぐるっとしんごさん(仮名)はテントも持参していて、風よけや防虫の役割もします。 やっぱりテントを用意すればよかったと旅の準備のお粗末さに自己批判した。 寝袋と銀マットだけでは素人旅の未熟さを露呈した。



夕方には人気の少なくなった広場で、お互い明日の鶴林寺の山を指さして「明日行くぞ〜!」と声を出したが返事はなかった。

17時8分
道の駅到着
勝浦町にある道の駅 明日目指す!鶴林寺…ぐるっとしんごさん
…番外編の6映像…ぐるっとしんごさんから戴いた私の映像を追加。
颯爽というより、心もとない走り!

この後デジカメを落とした!

大分日に焼けてきた!


デジカメを落としてチェック中!

…番外編の6映像…ぐるっとしんごさんから戴いた私の映像はここまで…

人気が無くなり、自販機前のテーブルとベンチを工夫して野宿の準備! 彼が自分のテントを「今夜はご老体に譲ります。」と泣きたくなるような言葉を戴きました。 自分の息子に聞かせてやりた〜い!


18時50分  道の駅「よってネ市」
自販機前で寝床を作る
お互いもう少し飲んでおやすみなさい!      …四国自転車遍路 TOPへ…
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