■ 紀伊山地高野山霊場と参詣道 ■
四国遍路と云えば、八十八霊場の札所をお参りすることを云うが、結願するとお礼参りして満願成就するとあります。 お礼参りは厳密な定義があるわけでなく1200年も続く歴史の中でその時代時代に合った作法がおこなわれてきた。
何が正しいかは別として、四国遍路には多様性があってしかるべきと思う。 特に近年は遍路の目的も手段も多様化してるから、遍路する人々の心の思いの数だけ満願成就への思いがある。

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■ 清浄心院から金剛三昧院へ ■
中の橋駐車場のレストランでは1時間ほど食事と休憩を楽しんだ。 月曜日で混雑が少なく、お店でゆっくりしてくださいと言われ甘えてしまった。 レストランを出て、参詣道の入口の広場でベンチがあり、多くの観光客が休んでいた。 心地よい風に吹かれながらベンチに座り、妻はデザートのソフトクリームを頬張っていた。 苦手なデザートは遠慮してベンチに腰かけていると睡魔に襲われそうになる。 家族連れ、グループ、欧米の人、インド人も参詣道を通るのを見て、高野山が多様化しているのを実感する。

車に戻ると向かいにとめた人がエンジンがかからないと携帯で連絡していた、というより怒鳴っているように見える。 旅先に来て故障とは何とも運の悪い人だと思う一方可哀想に感じた。 暑さの厳しい時間に故障している車を横に見て、まだ訪問していない清浄心院に向かう。

■ 高野山真言宗 別格本山 清浄心院 ■
   本 尊: 廿日大師像
   開 山: 弘法大師
   創 建: 828〜834年(天長年間)
   縁 起: 弘法大師により草創され、初期は喜多坊と称し、後に勅命により清浄心院に改めた

本尊の廿日大師像は入定前日に彫刻され、秘仏として毎年4月20日だけ御開帳となる。 像の背後に「微雲管」の三文字が記されている。 江戸時代には上杉家、佐竹家などの諸大名が檀家となる。 奥の院の上杉謙信霊屋は本院で管理している。 本堂で般若心経を読経して気持ちがすっきり!

清浄心院山門

清浄心院入口門

清浄心院本堂
清浄心院

清浄心院寺坊

清浄心院宿坊

清浄心院の先に密厳院、苅萱堂が見えたので、妻と相談し午後3時過ぎにはお寺に戻ろうと中の橋駐車場に戻った。 結局、車を移動し金剛峯寺前駐車場に戻り、再度、壇上伽藍と金剛峰寺を歴史散歩を堪能した。
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■ 高野山真言宗 別格本山 金剛三昧院 ■
   本 尊: 愛染明王
   開 山: 北条政子(発願)
   創 建: 1211年(研暦元年)
   縁 起: 北条政子の発願により源頼朝菩提のために禅定院として創建された。
1219年(承久元年)源実朝菩提のため禅定院から金剛三昧院と改称し、以後将軍家の菩提寺として信仰された。 1223年(貞応2年)北条政子が禅定如実として入道し、源頼朝と源実朝の菩提を弔うための多宝塔(国宝)、経堂などを建立した。
☆彡  金剛三昧院 の拡大映像 ☆彡

金剛三昧院鐘楼門

鐘楼門は文政年間(江戸時代後期)に建立され、門額には毘張尊と書かれている。 鐘楼は国指定重要文化財で、1207〜1210年の銘が書かれていることから、現存する鐘楼では16番目に古いものと云われている。

六本杉(毘張杉)…
金剛三昧院境内に樹齢400年とも云われる杉の大木がある。 根元のほうを見ると3本の木のように見えるが、上にいくと6本に分かれているので六本杉と呼ばれている。 また別名の毘張杉とは、金剛三昧院の守り神である毘張尊師と呼ばれる天狗がこの杉の木に舞い降りてきたことに由来しているそうです。 毘張尊師は火災や盗難除けの神様として、毎年10月10日前後にお祭りする大般若転読法要を修している。


六本杉(毘張杉)

多宝塔(世界遺産、国宝)修復中…
多宝塔は仏教建築の仏塔のひとつで、外観は二階建てに見れるが実際は一階建てです。 高さはおよそ15m、屋根の一辺はおよそ9m。 多宝塔の内部は須弥壇が設けられ、その前に仏師運慶作と伝えられる五智如来(国指定重要文化財)像が安置されている。 修復中の囲いの枠を通して部分撮影した。

多宝塔の側面の扉

多宝塔の正面の扉


経蔵は多宝塔と同じく、金剛三昧院と改められた時に建立された。 建立は1223年(貞応2年)頃で、建築様式が奈良にある東大寺正倉院などと同じ校倉造りをしていて、 鎌倉時代初期の校倉造りの建立としては現存状態が非常によく重要文化財に指定。 経蔵に近づいて撮影。

経蔵 経蔵

本堂の本尊は愛染明王で憤怒の表情をして、人の欲望を悟りの心に変えるという仏様で、誓願の中に、良縁や安産、子孫繁栄といった、 女性の願いごとを叶えてくれるものが多く、子孫の安泰を願う気持ちが込められている。 金剛三昧院の愛染明王像は、源頼朝公の等身大の念持仏で、仏師運慶の作であると伝わり、 本尊の脇には源頼朝公、北条政子、足利尊氏公、足利直義公の位牌が安置されていた。

護摩とは、四所結界を張った護摩壇の中央部に炉を備え、その炉に細く切った護摩木を入れて燃やし、 さらに炉に様々の供物を投げ入れ、天上に運ぶことにより、天からの恩恵を授かり祈願が成就されるという。 護摩堂に安置されている不動明王は、弘法大師空海の甥にあたる智證大師の作で、国重要文化財です。

本堂

本堂前の庭園
本堂(本尊は愛染明王)

本堂前の庭園

大広間の襖絵(重要文化財)…
室町時代中期に活躍した小栗宗丹が描いたもので、金地著色梅花雉子図と言われる図柄が描かれている。 金剛三昧院の大広間の襖と壁面をあわせ、14面が重要文化財に指定されている。 千手観音像、不動明王像、愛染明王像とあわせてすべて撮影禁止でした。

寺坊

寺坊
客殿

寺坊の正面玄関(境内から望遠レンズで撮影)
金剛三昧院に宿坊して本堂、護摩堂、寺坊内の多くが国重文が多く、撮影禁止の所が多く致し方ない。 それでも文化財の多くをお朝事の終了後にゆっくり見学できることが良かった。
鐘楼門 金剛三昧院宿坊

金剛三昧院鐘楼門を出ると反対側に宿坊があります。 宿坊は木々に囲まれ、雰囲気はお寺の境内に居るようです。 ここの山内地すべてが金剛三昧院で規模の大きさを実感しました。 午後3時過ぎに宿坊に戻り、今日はその雰囲気を楽しもうと云う事で備え付けの下駄を履いて庭を散歩します。

部屋から見える景色も楽しみ、お風呂も一番風呂を…。 そして冷えたビールを飲みながらパソコンを…。 夕方にもう一度お風呂に入り、夕食の時間に精進料理を堪能した。
食後の宿坊内の休憩所で同宿の人々との会話も楽しかった。

金剛三昧院宿坊 金剛三昧院宿坊
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8月7日(火)8時半…
2泊お世話になった金剛三昧院を後にして高野山を九度山に向かう。 途中で高野町石を撮影し、次の目的地は九度山の真田庵で、 高野山に向かう時に通ったが、オープン時間が9時で訪問できず、高野山参詣後に寄ることにしていた。

県道370号線は冬季は凍結してチェーン規制がかかり、混雑時は九度山から大門まで数珠繋ぎの渋滞になる道は、今日は快晴で車の混雑も無く快適に走ります。

高野町石
県道370号線

四国自転車遍路のお礼参りで高野山を訪問し、満願成就して気持ちは一区切り付いた。
この経験をどのように生かしていくか、今後の人生の大切な時期と思う。
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