■ 西ゾーンエリア ■

自宅から小金井公園までの距離は約20km弱。 自転車で約1時間の走行だ。 地図は持たず、そのルートを頭に描いての出発です。 途中の富士街道までは走行した記憶はあるが、実際に自転車で走るのは初めてです。 ようやくたどり着いた都立小金井公園は小金井サイクリングロードの入口でした。 サイクリングロードは次回にして、今回は東京江戸たてもの園を目指して走る。


サイクリングロードのスタート地点で地元の人と思う柔軟体操している人に聞くと、 この先1.5km先に目的地への看板があると聞いてサイクリングロードをのんびりと走った。

サイクリングロード入口

大輪のひまわりが…

歩行者と自転車のコースが分離



ここが小金井公園への道

武蔵野サイクリングロードから分岐して小金井公園へ向かう。 公園内の地図を見て、たてもの園の場所を確認して園内を走るが、これほど自然が保全されている公園に驚いた。 今までのイメージでは園内各所でゴミが多かったが、久しぶりに気持ちの良いサイクリングです。 同じ都立公園でも、こうも違うと住民のマナーが問われるのではないか。

江戸東京たてもの園に到着




江戸東京たてもの園は、園の周囲を水辺で囲まれ、清涼感を感じさせてくれる。 水辺に沿って自転車を押していくと江戸時代の様な大きな門構えを見た。 この大きなも門前で自転車を撮影する。 いつの時代のものかは中に入ってからが楽しみです。 樹木の枝が伸びていて、ここが格好の日陰になっているから、自転車走行してきた身体を冷やすには絶好の場所だった。 一休みして正門前に向かい警備員の人に自転車の置き場所を確認。 園前の芝生に沿って自転車を駐輪して、まずは園前の散歩道を少し戻って正門を撮影。 この門も歴史的建造物「光華殿」を改修したビジターセンターになっている。



園内への入口には日本の手拭が展示
江戸とうきょうたてもの園の正面

江戸東京たてもの園は江戸東京博物館の分館として平成5年に建設された。 趣旨として、東京の歴史を振り返ると、江戸の昔から火災、水害、震災、戦災で多くの重要な建物が失われた。 こうした中で、文化遺産を現地保存ができない歴史的建造物を移築し、復元、展示することで文化遺産を次の世代に継承していくという。 都立小金井公園の中にあった旧武蔵野郷土館の場所に引き継がれ、その貴重な資料も見れる。


ビジターセンターの旧光華殿は昭和15年に皇居前広場で行われた紀元2600年記念式典で建設された式殿で、翌年、ここに移築された。 建物の中は中央にインフォメーションセンター、左手に多目的ホール、右手にミュージアムショップなどに改装され天井が高〜い!

入園料は団塊の世代に嬉しい半額です。 撮影について尋ねると、ほとんどのものはOKで、フラッシュや三脚はお断りです。 中に入って暑かった身体を冷やしてからスタート。 入口にこれがニッポン!という、手拭が展示してある。 昨今、タオルが全盛時代だが、昔ながらの手拭も貴重な文化だ!

芸術的な感じの手拭い
午砲 園内のスタート地点

ビジターセンターを抜けると広場に大砲が展示してある。 この大砲、案内書には午砲とある。 明治4年から、皇居内旧本丸で、この大砲により正午を知らせる空砲が発射されていた。 午砲による正午の知らせは、現在の東京都23区の殆どに聞こえた。 正面に暑さを和らげるミストシャワーがあり、これから園内をスタートするお客が楽しんでいる。 向かってみるとシニアのボランティアガイドがいたので、園内を回るコースを聞いて、西ゾーンからスタート。 最初に向かうのは田園調布から移築された西洋風のの家です。

大川邸(田園調布)

庭のテラス


垣根の庭ごしから見る建物は西洋風です。 大正14年に建てられ、居間を中心に食堂、寝室、書斎が配置され、当時としては珍しい全室洋間でした。 何処か避暑地の建物のように感じる。 まぁ、当時の田園調布といったら多摩川に近い、緑多い郊外といった感じか!

玄関

食堂
書斎

台所

お隣の住宅に向かう。 外観は切妻風の立派な日本建築です。 庭先からはたくさんの部屋がありそうだったが、中に入ると中央の居間は吹き抜けの天井でした。 建築家の自邸で、昭和17年に建てられた。 この時期は大戦直前で、資材の調達が困難のようで外観に比べて中は質素に造られていた。 品川の大崎にあったにも拘らず、戦災を免れ、ここに移築された。

前川國男邸(品川区)



高い吹き抜けのある居間

次の建物は大正14年に建てられ、文京区にあった小出邸で、ヨーロッパから帰国した建築家が設計した建物です。 庭の方から見ると日本建築ですが、玄関に回ると西洋風の玄関です。 和洋折衷という感じで中に入ってみた。 和室の障子の中央が開放できて、ここから見える外の景色も落ち着きのある空間です。 畳に寝転ぶと外気温の割には涼しい事に気が付く。

小出邸(文京区)







品のある障子

都営の乗り合いボンネットバスがある。 中に入ろうとしたが鍵が掛かっていて乗車できなかった。 昔懐かしいバスの展示には説明が無いのでいつの時代か判らない! 多分1950年代以前の形式ではないかと思う。


園内には若者のグループが多い。 よく見ると時々熟年の人から説明を受けている。 多分どこかの大学の建築科の学生かも知れない。 学生達が撮影する箇所が風景撮影とは異なり、興味深かった!

ボンネットバスの隣にある建物は洋風建築です。 外観はコンクリート造りのようだが仔細に見るとモルタルのような感じです。 昭和12年に建築された板橋区の常盤台写真館の住宅です。 1階は、入口の奥は住宅部分で和室仕様になっている。 昔の建物は窓枠には必ず障子の枠が造られているから春夏秋冬に対応している。

常盤台写真館(板橋区)

1階の奥は生活空間


入口からすぐ階段があり2階に上がると、そこは写真館だった。 入口の説明を確認しないで入館したから…。 昭和初期の写真屋さんの仕事場を拝見することになった。 今どきの写真館には入ったことが無いが撮影場所は大きな摺りガラスの窓があり、採光が均一に取り入れられるようになっている。

2階が仕事場


ここを出た所に休憩所兼喫煙所があった。 自宅を出発してから喫煙していなかったので、灰皿を見たら喫煙の欲求が増してきた。 あぁ!私は禁煙できない運命にあるのかなぁ! 喫煙しながら休憩していたら学生達がドカドカやってきた。

奥のベンチに移動するが学生達の話が聞こえてくる。 建築の撮影だけでなく、文化遺産の建築物の部屋の中で結構、ツーショットを撮影していた! 遊び心も必要と思う!
と云う訳で、学生達と時間をずらして見学を再開。


次の建物は門構えが立派です。 両側に石柱が建ち、案内を見ると三井八郎右衛門邸とある。 港区西麻布に昭和27年に建築され、客間と食堂は京都で明治30年に建築されたもので、それを移築した。 付帯する蔵は明治7年の土蔵で、戦後、僅か数年でこれだけの建物を造れる家があるんだと思った。

三井八郎右衛門邸(港区) 正面の石柱門

庭への門柱


建物の中に入る前に、庭が立派なので庭園に向かった。 建物の外観を撮影。 立派な庭園と左には大きな蔵がある。 こんな芝生でバーベキューをしてみたい! 撮影後は玄関に向かった。 当時の状況下を考えたら立派な表玄関です。 玄関は重厚な板張りで美術品が飾られている。



玄関


玄関を入るとすぐ階段があり大きな屋敷の様でルートの立札があった。 2階への階段を上がると廊下前の正面に襖があり、花鳥の絵柄の入った部屋に入ります。 大きな屋敷の割に、2階の部屋数は二部屋でした。 2階から眺める庭園の景観が素晴らしく明治時代の屋敷には見えない。






書院造りの和室
      




部屋の造りは書院造りの部屋とベットのある洋室です。 廊下の部分に豪華なシャンデリアがあり、ガイドの話によると天井部分が2段になって、当時としては大変珍しいとのことで、シャンデリアはガラスのクリスタル製です。 1階に降りて食堂と客間を見学。 部屋に入ると昭和と明治の違いが明らかです。 手摺から襖の隅々まで木材の加工に重厚感が溢れていた。



客間
天井の造りが珍しい

食堂

食堂と土蔵に向かうと、食堂は明治のモダン空間です。 当時としてはモダンな洋式の造りでした。 母屋と連結してある土蔵には外観からは判らない3階建てです。 各階の高さが低いもののしっかりした木造の造りになっている。 教授、学生達と一緒に各部屋を回ったが、ガイドの説明とは違って建築様式の詳細な説明を講義している。 その話を横から聞きながらの見学です。\(*^o^*)/

台所

蔵の中2階
蔵の最上階

食堂

広い部屋をぐるりと回って玄関まで戻った。 玄関横の小部屋は小応接室なのか凝ったつくりの部屋です。 細い枠の窓枠から見える植樹も涼しい感じ。 外は結構暑いがこういう部屋は中が涼しい。 板の間の玄関もあらためて見ると厚い木材で艶がありいい感じ。 玄関を出て改めて母屋と繋がっている土蔵の方に向かった。

1階の廊下

外から見た蔵
小応接室

三井邸土蔵の横は園内唯一の喫煙所です。 またベンチも設置してあり休憩所としても多くの人達で賑わっている。 学生達も建築の話より他の話でワイワイガヤガヤ賑やかです。 喫煙して暫く経過したらベンチも空きが…。 ベンチに座り時計を見ると12時半を回っていた。

リュックから水筒、お握り弁当を取り出して一人でベンチを占有した。 私のお気に入りは自宅で造ったお握り飯です。 とにかくどこの料亭より旨い! サイクリングのスタートはお握りから始まる。 日帰りだろうと長期間だろうと最初の食事はお握りが最高!

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