■ 五重塔(国宝) ■
東寺のシンボル五重塔は、合わせて古都京都のシンボルにもなっている。 JR京都駅からもその高さを確認でき東西南北の指標にもなる。 木造の塔としては高さ約55mあり、日本一の高さを誇っている。 創建は空海によって826年(天長3年)に着手されるが、実際には空海が没した後の9世紀末であった。 現在の塔は1644年(正保元年)、徳川幕府三代将軍家光の寄進によって五代目の五重塔が竣工された。 その間に四度の焼失を繰り返したがその都度再建された。


■ 東寺の歴史をみる ■
これまで慶賀門から入り、大日堂、大師堂、南大門から金堂、講堂、食堂(じきどう)とその歴史を見学してきた。 この後は、堂宇の横にある瓢箪池から五重塔、八島社、灌頂院、本坊と見学します。 まず最初に拝観受付所から入ってすぐ目の前に不二桜があるが、その石と紅葉を背景として五重塔を撮影した。 通路に沿って瓢箪池があり逆光ながら五重塔のシルエットを撮影してみた。





五重塔の姿も境内の場所によって様々に変化していく姿はとても美しい。 一般的に五重塔は上層部に向かって屋根が小さくなるが、その変化が少ないのが東寺の五重塔です。 小さくなる率が少ないため遠近で見た時の姿が不自然にならない。 全体の形も良く細部の木組みは和風建築で江戸時代前期の秀作です。

五重塔の拝観出入口 出入口の反対側

今回の歴訪では運が良かった! 初重内部が特別に公開されており拝観できたことです。 その初重で出入りが無い時に東面の阿しゅく如来像を望遠レンズで撮影でき私の宝物になった。 観光客が少なくなって初重の内部を拝観します。

初重内部に安置されている仏像は以下の通り。
東面…阿しゅく如来像、弥勒菩薩像、金剛蔵菩薩像
南面…宝生如来像、徐蓋障菩薩像、虚空蔵菩薩像
西面…阿弥陀如来像、文殊菩薩像、観音菩薩像
北面…不空成就如来像、普賢菩薩像、地蔵菩薩像

望遠レンズで阿しゅく如来像を拝仏


初重内部は心柱を『大日如来』に見立て、 その周囲の須弥壇上に『阿しゅく如来』、『宝生如来』、 『阿弥陀如来』、『不空成就如来』の金剛界四仏と、四仏の両側に八大菩薩が安置してあった。 心柱の四方に四天柱があり須弥壇を形成している。 四柱には剥落しているが金剛界曼荼羅諸尊が描かれている。 外陣内側の四方の扉には護法八方天が、扉の左右の柱には八大龍王が描かれ、 四方の壁の上部には真言八祖像、下に蓮池が描かれている。 天井は折上小組格天井で極彩色の紋様で装飾されていた。 まさに内部に入ると、どの方向を拝見しても手を合わせ続けたい気持ちだった。

瓢箪池の紅葉美







瓢箪池の紅葉もいい時期に訪問できた

…五重塔の耐震構造
四度の焼失を経ているが地震で倒壊した記録が無く、塔身が各層ごとに軸部、木組み、軒を組み上げて最上階まで積み上げている。 従って地震のエネルギーは各層の接合部で吸収され、復元力が大きいためという。 心柱は三本が繋ぎ合わされ、繋ぎ部分は周囲に補強材を当て心柱と共に締めてある。

瓢箪池と五重塔 八島社と五重塔

…灌頂院 (国重文)
東寺の伝法灌頂は真言密教の奥義を師匠から弟子に伝える儀式のことをいう。 後七日御修法などの儀式をおこなう為の堂で、内部には何も無く床が石畳になっていて土足厳禁の院です。

…空海も唐に渡海して密教の第七祖の唐、長安青龍寺の恵果和尚から修行を受け、大非胎蔵の学法灌頂、金剛界灌頂を受けた。 胎蔵界、金剛界の灌頂で曼荼羅の大日如来に結縁し、伝法阿闍梨位の灌頂を受け、 大日如来(この世の一切を遍く照らす最上の者)を意味する遍照金剛の灌頂名を与えられたという。

灌頂院東門

灌頂院北門
灌頂院

本坊の塀

この門の看板に『真言宗総本山教王護国寺事務所』と書かれている。 WEBで調べると長い歴史を実感する。 寺号は東寺と教王護国寺の二つの名称がある。 東寺で調べても、教王護国寺でも、同じ所にいきつく。 宗教法人としての登録名は『教王護国寺』でした。

小子坊の門

真言宗総本山教王護国寺事務所の門
真言宗総本山教王護国寺事務所の門

中に入らないでの案内がある

…宝蔵(国重文)
慶賀門の近くにある堀に囲まれたエリアに建立され、平安後期建立の校倉造り倉庫で東寺最古の建築物です。 外観からは距離があるから最古の建築に見えない。 この様式は奈良の正倉院と同じ様式です。

灌頂院から寺坊、毘沙門堂、大師堂(西院御影堂)へ続く塀は同じ形式の塀が続き、 一見美しく見えるが土台や一部の塀は修理跡があり、長い歴史を感じさせてくれる。

本坊、事務所への通用口

食堂(じきどう)
食堂(じきどう)

宝蔵(国重文)

宝蔵は慶賀門から近く、堀で区切られているが駐車場前から見られる。ここには何が収めてあるのだろう? こんな不思議を思った。午後12時半を過ぎて次の目的地、平等院に向かう。

途中のコンビニでお弁当を買って昼食を…。 時間にして1時間必要と計算したが、平等院の近くは大渋滞で、原因は平等院に向かう車が各方面から押し寄せるというものだった。 平等院前に2時間以上費やして到着すると平等院は入場制限していた。 しかも駐車場はどこも満車で駐車と入場待ちで、これだと夕方の閉院時間になってしまうだろう。

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