■ 阿寒湖遊覧船とマリモ展示観察センター ■

北海道の旅も7日目になり道東に入りました。 今日は阿寒国立公園エリアですが、行政上は釧路市に入るという。 阿寒国立公園は1934年、大雪山国立公園、日光国立公園と共に日本で2番目に指定された国立公園です。 阿寒地域は大昔、激しい火山活動で阿寒湖、屈斜路湖、摩周湖の3つのカルデラを有する広大なエリア。


阿寒湖付近は、雌阿寒岳、雄阿寒岳、阿寒富士などの山々が聳え、現在の阿寒湖はどことなく北海道の地形に似ている。 雌阿寒岳の麓には秘湖と呼ばれるオントネーがあり、雄阿寒岳の麓にもパンケトー、ペンケトーの秘湖があり、 陸路で湖に向かうには困難と云われている。

食後、再び遊覧船乗り場に戻り乗船券を購入。 桟橋では観光客が乗船中で船員が誘導していた。 一番最後に乗船したが出航はまだ時間前です。 桟橋に「まりもの里桟橋」の標識があった。 1時間前に乗り遅れた時に、遊覧船でなくモーターボートを勧められたが、係員に私達の目的は景観の撮影ですと断っていた。

遊覧船はマリモの里桟橋が起点になる



まりもの里桟橋

ボートだとスピードがあり揺れがあるので撮影には不向きと思う。 そのボートも船体は流線型で美しく撮影の対象だ。 遊覧船上から周囲の景観を撮影。 その時、モーターボートが高速で桟橋に戻ってきた。 その一瞬を撮影。 ここを出航すると隣の幸運の森桟橋に寄り、さらに乗船客を乗せると放送があった。 桟橋方向も望遠で撮影したが逆光だ! 遊覧船が湖上に出ると陽光の位置が気になる。



マリモの里桟橋

幸運の森桟橋方向
モーターボート乗り場

宿泊するニュー阿寒ホテル

遊覧船の船内は客室が2層になっている。 1、2層とも室内と室外のシートがあり視界は良好です。 大きな船体ではないが小回りが良さそうと思った。 この後、遊覧船に乗船してこの船体が丁度良いと知る。 暫くして遊覧船は静かに出航した。 さぁ!撮影開始です。 満足できる映像が撮れればいいなぁと思う。

…1層甲板の客室の映像



マリモの里桟橋
…2層甲板の映像



雄阿寒岳

出航してすぐ隣の幸運の森桟橋に向かい。 ここで乗船客が乗り込み再出港した。 船上から見る幸運の森桟橋は逆光でした。 雄阿寒岳と雌阿寒岳の撮影をしたが陽光は対照的な映像となった。 小型ボートが疾走してきた。 明らかに漁船で漁が終了して帰港するようだ。

順光の雄阿寒岳

漁船が疾走…
逆光の雌阿寒岳

幸運の森桟橋

阿寒湖には特別天然記念物のマリモや紅サケの湖沼残留型(陸封型)のヒメマスが生息し、ワカサギ釣りも楽しめるという。 湖畔の周囲はエゾマツ、トドマツなどの亜高山帯針葉樹と広葉樹が混ざった深い森が広がっている。 この時期の湖畔は紅葉期が終わりかけていたが、何とか映像に残すことができそう。 雌阿寒岳の映像は乗船してる間に良いものが撮れないか順次撮影する。



雌阿寒岳方向に数隻の遊覧船が係留してある
雌阿寒岳の方向

雄阿寒岳の映像が良くなってきた

阿寒湖の面積は約13.3平方q、周囲約30qで最大水深は45mのカルデラ湖です。 冬季は氷結するが、一部湖底からの温泉で緩む所があるという。 大島、小島、チュウルイ島、ヤイタイ島の4つの島が点在する。 その中でチュウルイ島にはマリモ展示観察センターがあり観光の目玉にもなっている。 北海道ならではの四季折々の自然を堪能できる地域で、ラムサール条約登録湿地となった。



小島


ズームアップで見ると同型船

湖上の遊覧船は最初に雄阿寒岳方向に向かっている。 小島を通過し、徐々に大島に向かうにつれて雄阿寒岳の雄大な山体がはっきりしてきた。 それにつれて山体の植物の分布模様もよく視認できるようになり、撮影スピードも上がる。 合わせて湖畔の針葉樹、広葉樹の色具合が混在して美しい景観になった。



雄阿寒岳の山頂をズームで…
雄阿寒岳も湖畔の景観が変化すると…

古い時代の古阿寒湖はカルデラ湖として誕生した。 しかし外輪山の雌阿寒岳の噴火によって一度は埋め尽くされたという。 しかし1万年ほど前に雄阿寒岳の噴火活動によって堰止湖が誕生した。 その後も雄阿寒岳は噴火が続き山体が成長し古阿寒湖は分断されてしまった。 それが現在の阿寒湖で、そして東にあるペンケトー、パンケトーが誕生した。 8qほど離れた雌阿寒岳は現在も活動中で、噴火警戒レベルは2だという。 現在の雄阿寒岳の標高は1371m、雌阿寒岳の標高は1499m、阿寒富士の標高は1476mです。

依然として雌阿寒岳はシルエット模様

大島の先端部を通過

大島を通過

雌阿寒岳は依然としてシルエットだが阿寒湖畔の景観の変化で映像の面白さがうかがえる。 湖畔に近づき、針葉樹、広葉樹の景観がはっきりしてきた。 緑と紅葉とのマッチングが変化して面白い景観が続く。 映像と実際の見た目では、実際の見た目の方が素晴らしかった。 私の撮影モードの設定が間違っていたようだ。 まだまだ発展途上の撮影技術です。

陽光の位置でまだまだシルエットの雌阿寒岳



雄阿寒岳の山容が変わってきた

遊覧船は小島、大島を通過して阿寒湖の東側の十九列島という湖畔を目指している。 その後、滝口という入り江に向かっている。 両岸に湖畔の樹林が迫り、近くで湖畔の景観を見れるようになる。 近づくにつれて湖畔の紅葉が迫るようで非常に美しい景観に変わった。 自分の撮影場所が船尾の端で去りゆく紅葉の景観を見るか、撮影するか、判断に迷った。



艦尾の端で撮影した去りゆく景観


妻は喜んでいるが、カメラはぶら下がっている。 「お〜〜ぃ! お前も撮影してくれよ〜!」と笑いながら久々の連続した紅葉を楽しむ。 遊覧船は阿寒湖の滝口に向かって進み、両側に湖畔が迫ってくる。 水面下が見えそうになり座礁するんじゃないかと思うほど、水深が浅くなるのが判る。 それでも遊覧船は何事も無い様に静かに進んでいく。 滝口の所で入り江は行き止まりになり、船体が停止した後、ゆっくりと転回してゆく。 こんな狭い場所で上手に転回する操船技術に万歳!

ここが滝口という入江の最奥 滝口は行き止まり

船体がゆっくりと転回


非常にゆっくりと弧を描くわけでなく、時計の針の様に操船している。 景観が面白い様に横長の一枚の紅葉図を見ているようだ! ファインダーから眺めているとそんな感じになる。 いつの間にか雄阿寒岳の富士のような山頂が、別の山に間違うほど変貌しているのに気が付いた。






転回が終わり遊覧船は徐々に速度が上がって行く。 まだ幅の細い水路をゆっくりと進んでいく。 転回後の船首の展望を初めてとらえ映像に残していく。 この地の紅葉はモミジが無いから黄色系の濃淡と針葉樹の緑系の混じり合いです。 京都のような派手さはないが、これが自然の造りだした紅葉美と思う。






この後、遊覧船のコースは雄阿寒岳を右に見ながら、雄阿寒大崎という場所を通過してチュウルイ島に向かう。 このチュウルイ島までは変化する雄阿寒岳とまだシルエットの雌阿寒岳を遠景で見ながら、 阿寒湖の周囲はなだらかな山並みが良く見える。 滝口からチュウルイ島までは桟橋から滝口までの距離より長く、湖岸の変化も少なく少し退屈気分。

まだシルエットの雌阿寒岳



雄阿寒岳

徐々にチュウルイ島に近づくが島というより平坦な浅瀬という感じでどこに桟橋があるか見えない。 島を半周するように弧を描いて見えなかった桟橋が現れた。 このチュウルイ島にはマリモ展示観察センターがあり、阿寒観光汽船が運営している。 一旦下船して15分間の猶予でマリモ展示観察センターを見学できる。 乗船料金にはこの料金も含まれている。

チュウルイ島を回り込む

桟橋が見えてきた


桟橋には係員が待機して迎えてくれた。 桟橋から島に入ると特別記念物 阿寒湖のマリモ展示観察センター入口の立札がある。 手作り感タップリで神秘なマリモに期待感がアップ。 最初に複数の記念撮影場所を指し、見学後にどうぞと教えてくれる。 それも背景が雄阿寒岳と雌阿寒岳なんて地元の人々の苦心が窺える。



雄阿寒岳を背景にした記念撮影場所
雌阿寒岳を背景にした記念撮影場所

マリモ展示観察センターは半地下式の建物で地下に入ると円形スペースの壁に阿寒湖の湖底を再現した大きな水槽が幾つも並んでいる それぞれ観察すると天然のマリモが静かに着底している。





マリモは球状集合体を作る淡水性の緑藻の一種を云う。 特に阿寒湖に生息するマリモは美しい球体を作っている。 その球体がマリモの一つ単位でなく、球状を構成する糸状体の細い繊維が一つの単位で、球状のマリモは糸状体の集合体と云う訳です。
日本では1897年、札幌農学校の川上氏が阿寒湖で発見し、その形からマリモ(毬藻)の和名をつけた。 マリモについて調べているうちに、札幌農学校の名を見つけた時は嬉しかった。 現在では、札幌農学校の知識が増えたことを素直に喜んだ!

世界規模では北半球の地域で見られるが、球状集合体が見られるのは阿寒湖とアイスランドのミーヴァトン湖だけという。 特に美しい球状集合体は阿寒湖だけという。 これは阿寒湖の形成の歴史がマリモの生息に最適な自然があると云う事を物語っている。

現在の阿寒湖の生息域には堆積した土砂や遠浅の砂浜が広がり、周囲の湖畔から流れる清水や湖底から湧き出る温泉水などの条件が揃っている。





他の球体に比較して巨大なマリモ


■マリモができるまで…
マリモは光の届く水深2〜3mの湖底で光合成して生息している。 球体上のマリモは光合成で外側に向かって成長して大きなマリモになっていく。 その成長過程は人間の成長と異なる長〜い年月を要するという。 阿寒湖には約6億個も存在するが、その中で25p以上のマリモは3000個程度という。 各水槽の中で小さなマリモが球体になる前の状態から湖底を湖水の流れで転がり球体に変化していく過程のマリモがあり興味は大きく膨らんだ! 出口屋外には阿寒湖に生息するイトウやアメマスなどを観察できるコーナーもあった。


観光客は流れるように観察しては出口に向かう。 撮影する分、時間を要した様で気がついたら私達だけになった。 外にでた所で記念撮影しようと、乗客全員が乗船するまで後ろに付いていた係員にシャッターを頼んだ! 三脚使うより速い。 係員も協力してくれ3枚ほど背景を変えて撮影してくれた。(感謝!) 桟橋に向かうが道は誰もいなかった。 乗船して手を振ったら相手も返してくれ顧客満足度が上がった。

速足で桟橋に向かう

雄阿寒岳
桟橋を離れた

マリモ展示観察センターから一路、幸福の森桟橋に向かう。 時間は13時を過ぎて雌阿寒岳の山麓が微かに見えてきた。 元々、雌阿寒岳は阿寒湖から約7q離れているから山麓の景観は中々条件が厳しい。

阿寒湖の3点を周遊する形の遊覧船は最後の1/3の航路をスピードを上げて走っている。

湖上では風が強くなり船内に退避して景色を見守る。 幸福の森桟橋でお客が下船し、マリモの里桟橋では乗客が下船してる様子を上から撮影して阿寒湖の撮影は無事終了。

切符売り場で係員に次の観光推奨地を聞くと、アイヌ民族村を勧めてくれた。 可愛いお嬢さんだと妻が話していた。 阿寒観光汽船の社員は、どの担当の人も親切で対応も素晴らしかった。 仔細な事でもお客を大切にしてる気持ちが伝わった。 ここから湖畔に沿って温泉街を横切る形でのんびり散策していく。 途中でお店に寄ってもいいかな!

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