■ 阿寒国立公園 川湯温泉の晩秋 ■

川湯園地の駐車場に車を止めた場所に正方形の建物があった。 この建物の正面に回ると大相撲の幟がある。 正面入口に大鵬相撲記念館と記してあり、横の芝生に横綱大鵬関の銅像が立っている。 私の世代が少年の頃「巨人、大鵬、卵焼き」が流行になった懐かしい時代を彷彿させた偉人です。 「そうか、大鵬関はこの地の出身力士だったんだ!」と改めて往時を思い浮かべた。 名横綱大鵬関が少年時代を過ごした故郷がこの川湯温泉だった。


優勝32回、全勝優勝8回、連続優勝は六場所続けて2回も達成した。 連勝記録は45と、相撲史上、数々の金字塔を打ち立てた偉業が館内に展示、掲示されている。 現在の横綱も凄いが、昔の横綱は横綱相撲を取っていた。 今は、勝負に勝つだけの相撲になっているが、昔は下位力士のあたりを立ち合いを正面で受けて立ち、その後、横綱相撲で勝つ。 だからこそ懐かしく熱い時代が現在を支えている。 今の相撲は勝てばなんでもありの世界だ!

川湯温泉へ

川湯園地駐車場
川湯温泉街

大鵬相撲記念館

園地の端からデジカメだけ持って散歩。 紅葉がまだ十分に残り、温泉地の地熱の影響もあるのかな? 遊歩道も整備され、落ち葉を踏みながらの散策に妻は大変喜んだ! ドライブの時間が長かったし、運転手より同乗者の方が疲労が出やすいかもしれない。 私自身、何時間も何もしないで同乗してたらと思った。










全てが紅葉してるわけでなく、針葉樹と混ざり合った色彩感が丁度良く、前だけでなく振り返ったりしながら歩く。 梢の間から町の建物も見え、木漏れ日が降り注いで旅の疲れが取れてます。 それでも、ここは北海道の自然の中、ヒグマとバッタリ出合うなんてないだろうな、と思いながら時々深い森の中を注視する。 「観光客がヒグマに襲われ重傷!」なんて記事が報道されたら…。










スタートした園地を逆に歩くと、つつじヶ原、硫黄山へ続く自然探勝路になっている。 駐車場にあった案内板を思い出した。 硫黄山へ向かう道路と並行して探勝路があり、その先は摩周湖まで続き、大自然を楽しめる仕掛けだ。 遊歩道も終わりに近づいたのか、環境省川湯自然保護官事務所や町並みが見えてくる。






遊歩道は自然公園財団川湯支部の建物前に出た。 立ち寄ると、「やすもっと」の看板があり、無料休憩所になっている。 その先に「川湯エコミュージアムセンター」があり、休憩と川湯を知るうえで立ち寄ってみる。

■川湯園地 自然探勝路…(案内板から記載)
川湯園地は四季を通じて森に親しめる場所です。 5月にはサクラ、キタコブシの花が咲き、北国の遅い春を見れ、夏にはノリウツギの白い花が引き立つ。 8月には秋の気配が…、10月初旬から紅葉を楽しめる。 冬には霧氷、ダイヤモンドダストが見れ、気温は-25度にもなる。 川湯エコミュージアムセンターでは自然情報を紹介している。 硫黄山までは約2.5qのつつじヶ原自然探勝路があり、イソツツジやハイマツを抜けて雄大な自然を感じ取れる。

自然公園財団川湯支部 川湯エコミュージアムセンター

川湯エコミュージアムセンターは川湯の自然や歴史、文化を紹介する施設です。 阿寒国立公園内の川湯エリアの美しい自然が判りやすく解説と展示物で見所が紹介されている。 また家族連れのために子供から大人まで楽しめる工夫があり、館内は広いオープンスペースになっていた。 特に、暖炉や読書などもでき、窓からアカエゾマツの森を眺めることもできた。 散策の後の休憩にもピッタリの場所です。

川湯エコミュージアムセンター正面 川湯園地 自然探勝路の説明

館内を見て回ると、森、湖、火山が主なテーマの特徴です。 硫黄山、屈斜路湖、摩周湖の自然と川湯温泉の特徴がブースごとに分かれて展示、説明されている。 この地域の植生についてもブースで紹介され自然探勝路と連動して紹介してある。 森の中の動物や野鳥、自生してるアカエゾマツの森の木の一生について判りやすく解説してある。 観光客への説明は、この地の人々の工夫を感じられた。

アカエゾマツの特徴について説明 ハイマツの森林限界について説明

■自然探勝路…
川湯温泉から自然探勝路を歩くと、イソツツジの群生が見えてくる。 この群生を抜けると硫黄山が近づきハイマツ帯の群生になる。 この一帯は酸性の土壌のため強いハイマツが群落している。 アカエゾマツ、イソツツジ、ハイマツ帯を作りだした硫黄山の成り立ちを知ることができる。 硫黄山によって始まった明治期から川湯の開拓の歴史、温泉街の成り立ちも時系列に知ることができます。

子供にも判りやすいアイヌについて説明 下方の川湯から上の硫黄山へ続く探勝路

屈斜路湖のブースでは湖の詳細や生息魚類などの生物の紹介、屈斜路湖の一年を通じた景観など知ることができる。 特に、子供向けの説明も興味を持ちやすいように工夫され、孫たちにもいつか来た時寄ってほしい所だ! 子供たち夫婦もまだ北海道には訪れてないから、今回の旅は次回の旅の参考に大いになるだろう。

 大噴火と大陥没に
 よってできた屈斜路
 カルデラの説明


2階にギャラリーがあり、今回は近隣の人々が応募した写真作品が世代別に展示してある。 どの作品も一年を通して、その時しか撮れない映像が多かった。 この様な作品を見ると羨ましく思う。





2階のギャラリーは写真だけでなく、パッチワーク展や創作活動の発表の場として、この地の人々に開放されてるそうです。 窓からはエゾアカマツの森が見渡せ、変わりゆく四季の変化を楽しめる。 2階には屋根付きのベランダもあり家族連れも楽しめます。

窓からエゾアカマツの森が…




2階から1階のコーナーを見ると明るい場所でクラフト作りが楽しめる。 また硫黄山とこの地の人々との関わりについても詳しく時系列的に説明してあった。 一斉に芽吹いたアカエゾマツの森と動物たちの共存について子供達にもわかりやすい説明になっていた。

クラフト作りが楽しめる

芽吹いたアカエゾマツの森と動物たちの共存
硫黄山とこの地の人々の関わり

阿寒国立公園の立体地図

屈斜路カルデラの断面を標高差が判りやすいように断面図で描かれていた。 屈斜路湖と摩周湖の高さの位置関係が理解しやすい。 藻琴山、美幌峠、中島と、かぶと山、硫黄山からつつじヶ原、摩周湖展望台、摩周岳との位置関係。 また摩周岳の噴火口の深さも見ていて面白い。


屈斜路カルデラの断面

1階奥にラウンジがある。 ここは片隅に暖炉があり、温かみの感じがするスペースです。 ちょっとした森の中のカフェ気分と思えるスペースと云えるでしょう! 子供達と一緒に時間を過ごせるスペースです。 動植物や昆虫、魚類、環境などに関する図鑑、本や絵本の他に木のおもちゃ人形、輪投げ、ベビーベットなどが設置されている。 まさに家族で寛げるスペースです。



川湯温泉地域の案内図


館内を一回りしてWEB作成の資料を受付で戴く。 お話しした時、近くに川湯温泉の源泉と足湯がある事を教えてもらう。 妻が館内で待つ間に川湯園地の駐車場までひとっ走りして車を移動した。 エコミュージアムセンターを出た正面に川湯の森がある。 この森が紅葉の真っ盛りでした。






川湯の森の案内板を見て小道に足を踏み入れる。 軟らかい土に落ち葉があるからフワフワしてとても気持ち良い。 木漏れ日が差して明るいが周囲を見渡すと林に囲まれている感じだ。 とても川湯の中心とは思えない。 目指す源泉の湧出口はなかなか見えない。 途中、広場にベンチもあり宿泊客には結構いい感じの森です。














川湯温泉マイナスイオン探訪の看板を見つけた。 そこには地表から湧き出る紅葉樹の散策林は、ストレスを和らげ抵抗力を高める作用があると記されている。 面白いのは、東京都心の8倍のマイナスイオンと書かれていたこと。 丸の内より郊外の住宅地と比較した方が、普通の観光客は納得できる。 その下に、硫黄泉、源泉の湧出地が5m先、と書かれ矢印があった。

湧出地はどこだ!5m先は柵を越えて林の中にあった。 そして見つけたのが、右の映像です。 落葉のある木の下の低くなった部分から白い源泉が湧き出ていた。

湧出場所から、その先の映像です


右に行くと…

右の階段下からも湧出している

流れ出る白っぽい温泉を辿り散策路に戻る。 ここから目測で歩いて行くと小さな橋があり、川になって広がっていた。 橋の手前で下に降りる階段の下からも源泉が湧き出していた。 橋上から源泉の湧出方向を撮影したが湧出場所は見えなかった。 橋を渡ると道道に出る。 歩道から全体を撮影してから左方向に小さな建物があり、そちらに向かう。(足湯かな?)



温泉街を湯の川が流れている
馬頭観世音菩薩

湧出部と足湯の川が合流して道道の下を通っている。 遊歩道を足湯方向に向かってみる。 木の樋から源泉が流れ出て湯の川になっていた。 つづら折りの遊歩道を遊びながら足湯に向かう。 温泉生成碑の先に数人の人が足湯の準備をしていた。





川湯温泉生成碑

■川湯の名と泉質は…
アイヌ語の「セセキ(熱い)とベツ(川)」を意訳したそうだ。 高温の源泉が流れる温泉川の源流の湯元を中心に20軒ほどのホテル、旅館、お土産店、飲食店で温泉街をつくってる。 町中に湯の川が流れ、湯けむりと硫黄臭が漂う温泉地です。 無料の足湯と有料の共同浴場がある。 湯量が豊富だが強酸性泉のためすべての施設が掛け流しという。






足湯で同世代の人達と出会う。 道内の観光客だが、結構、賑やかな会話で仲間に入れてもらった。 妻は盛んに東京から2週間の予定で旅してる。 旅の思い出を話して、アドバイスをもらいたい様だ! これから先の日程では的確なアドバイスをもらって、観光ルートの一部変更も検討した。 まさに旅の楽しさを感じるひと時だった。(感謝!) 一緒に入ろうと思ったが、何も持参してないから諦めた。 最後は写真を撮らせてもらいエコミュージアムセンター前に戻ることにした。





■川湯温泉の歴史…
大正時代までこの地に1軒だけ営業を続けていた宿があった。 昭和に入り、自動車道路の開通に続き、昭和5年、釧網本線が開通した。 昭和9年には阿寒国立公園と指定され湯治客は激増したという。 戦後になり震災に見舞われたが、大ヒットした映画の撮影地になって観光客が増えたが、 鉄道の廃線と冬季は道路閉鎖が多かったので観光需要は減ってしまった。 その後、除雪体制や道路整備が進んで現在に至っている。






足湯からエコミュージアムセンターに戻り、足湯のある交差点の向かい側が今日の宿です。 欣喜湯(きんきゆ)というホテルで旧川湯ホテルプラザで、WEB検索した時、呼び名がなかなか難しかった。 ここに決めたのは2階建て吹抜けの大浴場が珍しかった。 車で2〜3分でホテル前に移動して荷物を整理する。チェックインしたのは午後3時。

お宿 欣喜湯

食事はバイキングで妻はこの方がのんびりマイペースで食事できるとお気に入り。 私はビールを飲みながら食事できればどこでも可。 チェックインして部屋に荷物を入れ、明るいうちからゴクゴク飲むビールは格別。 パソコンでデジカメの映像を分類保管し、各バッテリーを充電する。 後はフリータイムで、妻が風呂を希望したので川湯の源泉を楽しみに行く。 のんびり湯につかりながら温度の低い順に浴槽を移動。 入浴後のビールが頭の中に浮かび極楽湯です。 部屋に戻ってテレビで今日の映像をチェックしながらビールが美味しい!

源泉メモ…
酸性、含硫黄、鉄ナトリウム-硫酸塩、塩化物泉の源泉。 特徴は酸味のある硫化水素臭で、源泉かけ流しだが2階の浴場には真湯(皮膚の過敏な人のために真水の湯がある。)と 源泉58度の源泉が42度、40度、38度の浴槽に別れている。また飲用可能に希釈してありコップが用意されていた。 PH値は1.73で強酸性。

…2階の浴場 …1階の浴場
夕食の時間になりレストランに足を運ぶ。 ビールで大分出来上がった状態で夕食を摂る。 寿司よりも刺身を好む私にとってはさらに酒量が上がった。 こうして旅プランの半分を経過したが、妻にとって旅プランの評価は80点という所。 飲み過ぎとクレームがついた。「ごめんなさい!」
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