■ 知床観光船オーロラ号で知床半島の断崖クルーズを観光 ■

北海道東部の知床半島は世界自然遺産、知床国立公園は大自然の残る秘境で人を寄せ付けない原始林や動植物が生きている。

その大自然を観光船から眺めることができる。 200mの切り立つ断崖や奇妙な形の海食洞、オホーツク海に流れ落ちる多くの滝も眺められる。 四季折々の知床半島は彩り豊かに観察でき、一回の観光で終わりたくない感動を与えてくれた。


ホテルのフロントに「本日の観光船は予定通り」の看板が出ている。 天気も昨日と打って変わり青空が見える快晴だ! 準備万端でホテルを出発した。
知床は野生動物の楽園でもあり、ヒグマ、エゾシカ、キタキツネなどの獣類やオジロワシ、オオワシ、 シマフクロウなどの鳥類が独特の生態系を築き、この地の人々と長い間共存してきた。 海にはアザラシ、イルカなどが生息し、断崖近くではオオセグロカモメ、ウミネコ、ウミウなどの群生地がある。 観光船から眺める雄大な景観は季節を変えて幾度も訪れてみたい。

僅かな時間でフェリー切符売り場に到着、そして昨日行った駐車場に入る。 すでにバスが数台、乗用車が10数台駐車してる。 観光船が埠頭に横付けし乗客が乗船中だった。 船の前で記念撮影してタラップを昇り船内を一回りする。

砕氷観光船オーロラ号

ウトロ港
この波浪で漁船も大きく揺れる

大漁の様だ!

観光船を、小型か大型か迷ったが、なにぶん初めての知床観光で大型船に乗船することにした。 小型にもそれなりのメリットがあるが次の機会にした。 観光船のオーロラ号は初めから観光用に設計された世界最初の流氷観光砕氷船です。 また南極観測船しらせと同様の船型です。 砕氷船は氷海で船体の重みで砕氷しながら進むタイプと紋別のガリンコ号の様に、船首にドリルがあるタイプで方式が異なる。

■オーロラ号メモ…
全長45m、全幅10m、深さ4.8m、喫水3.7m、最大船速14.3ノット、総重量491t、最大砕氷能力約80p、 最大定員450名の観光船は日本鋼管(株)楢崎造船所で造られた。


出航

オーロラ号は、知床半島の突端の陸路が無く、船でしか見れない景観を楽しめる知床岬航路と、カムイワッカ滝で折り返す硫黄山航路がある。 前者は3時間45分、後者が1時間30分の所要時間になっている。 私達が訪問した時は8時発の硫黄山航路で観光した。 船内にはトイレ、売店、自販機が設置され知床岬の歌も流れていた。 座席も広くゆったりとした船内です。

プユニ岬

出航して間もなく前方を小型観光船が通過した。 船名を確認すると、カムイワッカ88号と記されている。 この船は軽合金で造船されている。 20トン未満で長さ16m、最大船速20ノットで馬力に物を言わせてスピード感がある。 ただ左右、前後に大きく揺れているので観光客は座席の手摺に必死につかまっているように見えた。 目的地に着くと船速を落としてくれるという。 後で気が付いたが小型船だと断崖にもっと接近できるから、もっと良い映像が撮れるんじゃないかと思った。

 カムイワッカ88号



知床連山には雲海が…

快晴のつもりだったが、港に着いたら海は快晴、山側には低い雲海が立ち込めていた。 ちょっと不安になる。 プユニ岬が次第に大きくなりその先は見えない。 陸地側は知床自然センターがその先にあり、昨日見たフレペの滝が見えるはずだ。 陽光が陸地側にあるから海上から見る断崖は日陰になり色彩感が少ない。



プユニ岬


プユニ岬を回り込み暫くすると見慣れた断崖が見えてくる。 多分ここだろうと撮影の準備をして待機した。 やがてフレぺの滝の入り江が見える。 入り江と云っても早朝は潮が引いてるから砂利の陸地が現れている。 フレぺの滝は川が無く知床連山に降った雨や雪が地下に浸透し、垂直に切り立った断崖の割れ目から流れ落ちている。 流量が少ないため霧のように細い筋状のカーテンがかかっているようだ。 地元では乙女の涙とも呼ばれている。

 フレぺの滝 まだ見えない…

ズームで撮影しても色彩感が少ない


上からは見えなかった入り江が陸地だったのは意外だった。 滝の落差は約70mほどか? 逆光の映像で色彩感が無かった。



赤い丸の所が地上の展望台

プユニ岬、フレぺの滝を過ぎると異様な断崖模様を目にする。 断崖の波打ち際に大きな浸食された海食洞が次々と現れる。 それぞれが一見して人間の目や鼻の穴を連想する不気味な海食洞です。 逆光で色彩感が無く暗く、断崖の色彩と合わせてレンズで覗いていると人間の死後の世界を見ているようになる。










断崖の異様な造形を過ぎると、一転して知床連山が見えてくる。 視界が広がり連山から断崖へ続く山並みが良く見えてきた。 それでも逆光は続き紅葉の残照の景観は映えない。 断崖の入り江で陽光が差し込む日差しを撮影したが良いとは言えない。 一か所だけ海岸線が現れ人工物が存在した。





ここだけ海岸線が現れた

海岸線を過ぎると遠方に連なる知床連山の山並みが良く見える。 そろそろ硫黄山に近づいたようだ。 山並みの陰影の濃淡が知床半島の大きさを感じる景観だ。 断崖の割れ目から一条の細い滝が筋状に流れ落ちている。 カムイワッカの滝か!と思ったが別の滝だった。 知床にはこのような滝が幾つもあるという。



カシュニの滝

カシュニの滝




舷側の観光客の様子

やがて遠方に断崖の中程から筋状の小さな滝が見えてきた。 船内放送で観光船はここでUターンするという。 今まで半島側にいた観光客がぞろぞろ反対側の舷側に移動する。 カムイワッカの滝はカムイワッカ湯の滝の約1q下流にあり、カムイワッカ川が直接断崖からオホーツク海に流れ落ちている。 落差は約30mで幅広の姿の滝は今まで見た滝とちょっと違った。

舷側の観光客の様子 カムイワッカの滝

陸路で近づくのが困難で、観光船でしか見ることができないという。 秘境の知床を代表する滝の一つだ! 昔は滝のそばで硫黄を採掘してた小屋跡が残っている。 一旦観光船はカムイワッカ滝を通り過ぎてからUターンするようだ。 暫く同じ舷側から撮影を続けた。 そして反対の舷側に移動して観光船が最接近した頃を見計らって撮影を再開する。 カムイワッカ滝は手前側と奥側にも筋状の滝があり、全景を上手く撮れた。

…1/40秒で撮影で連写

海上は穏やかで波が少なく大きな揺れは感じなかった。 口コミでは天候次第で大きく揺れる時もある。 出発前の観光客は、展望デッキで左右の舷側にばらけていたが出航してから折り返すまでは右舷に集中した。 知床の景観を撮影するには早目に舷側に陣取る必要がある。 その中で3人ほどが大望遠レンズで何もない海上にレンズを向けていた。 きっと、イルカなどの撮影チャンスを待っていたのではないか。






帰路のとき、多くの観光客は風を避けて船内に入る人が多かった。 ベンチが空いたので妻と二人で腰掛けていたら、近くにいた人が記念撮影をしましょうかと声掛けをしてくれた。 お礼を言って船上での記念映像が増えた。 人から声を掛けられるのは嬉しいことだ!

 プユニ岬




プユニ岬を回り込むと岬に陽光が当たりよい映像が撮れました。 天気は良いがオホーツク海の風は非常に冷たく、フード付の防寒着を用意して正解だった。 船尾で一人老人が佇んでいたので、今度は私の方から記念撮影を声掛けした。 老人は笑顔して喜んだ! 旅はちょっとした気配りが楽しい思い出に発展する。





プユニ岬

■一口メモ…
観光船による観光は大型、小型ともそれぞれ良さがあります。 下船して聞いた話しでは、小型船では岸の近くから自然観察、復路は少し離れて知床連山の景観を眺めることができるという。 ヒグマやイルカなどと遭遇したときは特別に時間を取り観察することができるという。

小型船では船長がその場その場で知床の解説をしてくれるそうです。 定員も少ないから一人ひとりの希望に合わせてくれるから嬉しい! 高速で走るが必要ならば減速して写真撮影も安心!

観光船が埠頭近くなりプユニ岬に向かう道路が良く見える。 下船後、プユニ岬から再度、景観を撮影してみる。 その後、知床五湖に向かう。 天候がさらに快晴に向かう事を祈りながら。
inserted by FC2 system