■ 仁和寺境内歴訪 ■
中門から入る境内には多くの重要文化財が点在している。 特に前述した金堂(紫宸殿)は国宝。 その他に観音堂、御影堂、鐘楼、経蔵、九所明神、五重塔、中門などの国重要文化財、最後に名勝御室桜と境内は見応えのある広いエリアだった。
本坊表門をでて仁王門前に出て、直線路の境内が中門まで通っている。 その途中で、御殿内で見学した勅使門前を通る。 本坊表門前から中門に向かって撮影し、勅使門では遠景と近景を撮影した。 ここで振り返ると荘厳な仁王門も見ることができる。


勅使門は1913年(大正2年)に竣工した国重文で亀岡技師が設計した。 檜茅葺屋根の四脚唐門で前後が唐破風、左右の屋根を入母屋造りになっている。 また細部は鳳凰や牡丹唐草、宝相華唐草文様や幾何学的な文様など細部に至る彫刻装飾は素晴らしい見ごたえある檜茅葺門といえるでしょう。

中門も国重文で仁王門と金堂の中間に位置し五重塔や観音堂の伽藍中心部に向かう門です。 切妻造り、本瓦葺き、柱間三間の八脚門で、側面の妻部には二重虹梁蟇股が飾られている。 向って左側に西方天、右側に東方天が安置されている。

真っ直ぐな境内

勅使門(国重文)
左手に勅使門

中門(国重文)

中門をくぐるとその先に金堂が見える。 両側の林に遮られて良く見えないからもう少し進んで全容が見えてきた。 中央に大きな燈籠があり、まず一枚撮影する。 その後、燈籠前に出て金堂全体を再撮影。 金堂には仁和寺の本尊の阿弥陀三尊が安置されている。 慶長年間造営の御所、内裏紫宸殿を寛永年間に移築された建物です。 当時の紫宸殿を伝える建築物として国宝に指定されている。 堂内には四天王像や梵天像も安置され、壁面には浄土図や観音図が極彩色で描かれている。 堂内を見学できなかった事は残念に思う。

 金堂(国宝)

金堂


金堂(紫宸殿)…国宝

金堂を前にして境内は左右に分かれている。金堂の左方向に歩く。 強い日差しを浴びて発汗が多い、タオルはすでに濡れた状態でベトベト感もする。 右手に朱色の堂宇が樹の隙間から見えてきた。 鐘楼堂だ! 鐘楼堂は入母屋造り、本瓦葺きで国重文です。 楼とは元来、二階建ての建物をいい、階下は袴腰式の黒板張りの覆いが特徴です。 階上は朱色で高欄を周囲に廻らせている。 このため鐘は外部から見ることができない。

金堂…優美な建物を斜めから撮影

金堂の左方向
金堂の右方向

鐘楼

鐘楼堂の脇に一本道の細い小道が奥に続いている。 奥の正面に小さな祠が見えた。 ここからでは判らないから向かってみる。 水掛不動尊の案内がある。 近畿三十六不動霊場の第十四札所です。 石造りの不動明王が安置され、不動明王に水をかけて祈願する事から水掛不動と云われている。 数人の観光客がいたが祈願して立ち去ったので参拝、撮影。

右に鐘楼堂、左に御影堂、中央が水掛不動尊 水掛不動尊
再び境内に戻ると隣は御影堂です。 塀の中から「ブォ〜」と大きな空気音が聞こえる。 御影堂の入口門前に佇んだ。 この門も国重要文化財だ! 中に入ると御影堂の敷地内で枯れ葉だけをエアーで集めて清掃中。
御影堂入口(国重文)

御影堂

御影堂


御影堂(国重文)…
御影堂は寛永年間に下腸された清涼殿の一部を賜り、金具なども清涼殿の物を利用している。 約10m四方の堂で檜皮葺きの外観は落ち着いた感がする堂宇です。

中には弘法大師像、宇多天皇像、仁和寺第二世信親王像が安置。 ここで般若心経を読経して気持ちもスッキリ。 読経中も額から汗が滴るが気にならなかった。何故だろう?

御影堂から金堂の前を通り過ぎて向かうと経蔵がある。 経蔵は寛永年間に建立され、宝形造り、本瓦葺きで正面は両開きの板唐戸になっている。 左右に花頭窓があり禅宗様で統一されている建物です。 内部は見れないが、案内では釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩など六躯が安置され、壁面に八大菩薩や十六羅漢が描かれている。 内部中央に八面体の回転式書架(輪蔵)があり各面に96箱、総計768の経箱が備えてある。

花頭窓が左右に確認できる経蔵 経蔵(国重文)

経蔵を拝観した後、すぐそばに九所明神がある。 そこで、いきなり本殿前に入らず鳥居まで移動した。林が多くなり妻は日陰で小休憩、その姿を見て大休憩しようと思った。 心の中で、もう少し頑張って!

足早に境内を移動し石造りの鳥居前に佇む。 撮影し、一礼して鳥居の端からくぐり、参道の端を進み拝殿前に。 拝殿は黒塗りの社で神社のイメージとはちょっと違和感がある。 現在の建物は寛永年間に建立された。 こうして仁和寺を見学して思ったことは、江戸時代の寛永年間に最大の整備事業がおこなわれたと感じた。

九所明神鳥居

九所明神拝殿

九所明神社殿
九所明神参道

九所明神社殿

九所明神社殿(国重文)…
仁和寺の伽藍を守る鎮守社です。 社殿は中央の本殿には八幡三神(石清水八幡宮)が祀られている。

左殿には賀茂下上(下賀茂神社、上賀茂神社)、日吉大明神(日吉大社西本宮)、牛頭天王(八坂神社)、稲荷大明神(伏見稲荷大社)が、 右殿には松尾大明神(松尾神社)、平野大明神(平野大社)、小日吉大明神(日吉大社東本宮)、木野嶋天神(木嶋坐天照御魂神社)、 計九座の明神が祀られている。

五重塔(国重文)…
九所明神社殿の見学で境内を往復したが、目の端にチラチラと林の隙間から五重塔が見えていた。 九所明神社殿の次は五重塔の見学だ! 妻にはすぐそばに休憩処があるからそこで休むように伝える。 水分補給にアクエリアスを2本、自販機で買いゆっくり補給する様に伝える。 五重塔は林の中にあるから撮影構図もたくさんある。 離れた位置から一回りしながら良い構図を探していく。 東寺の五重塔のように美しい塔です。

1644年(寛永21年)に建立され、高さが約36mある。 緑樹に囲まれた五重塔は各層があまり変わらず非常に美しい姿だ。 東寺の五重塔も同様で、正面映像の入口には大日如来を示す梵字の額を見れる。 塔の内部には大日如来、その周りに無量寿如来など四方仏が安置され、塔の中心に心柱、心柱を囲むように四本の天柱が塔を支える。 その柱や壁面には真言八祖や仏様、菊花紋様が細かく描かれている。

 五重塔の景観


五重塔の撮影が最後で、一般者の見学はフルコースで終了。 歴史ある仁和寺の参拝は非常に有意義のある歴史散策だった。 妻のいる休憩処にいって大休憩。 ドリンクをまず1本、もう1本は時間をかけて…。 妻は休憩処で地元のお婆ちゃんと楽しい会話を…、お婆ちゃんは毎日の日課で散歩コースにしているという。

休憩中に気が付いたのが、シートに覆われて見学できなかった観音堂の修復工事の事業が案内されていた。 その事業の映像が掲示してあり撮影して、ここに紹介します。

境内中央にある休憩処 観音堂(国重文)の映像

観音堂(国重文)…
建物は入母屋造り、本瓦葺きで前後に向拝が付き、軒の高い建物です。 本尊は千手観音菩薩で脇侍として不動明王、降三世明王、その廻りに二十八部衆が安置され、 須弥壇の背後や壁面、柱などに白衣観音や仏様が極彩色で描かれている。 内部は非公開で、仁和寺に伝わる法流の相承などに使われている堂宇です。

観音堂保存修理事業案内映像

観音堂の礎石の補強映像
観音堂の修理前の内陣映像

観音堂の屋根を支える小屋組組立て映像
現在10時半、仁和寺の見学は2時間弱を要した。 駐車場に戻る途中で境内から美しい仁王門を撮影。 駐車場の手前に御室会館があり冷房の効いた室内で休ませてもらう。
観音堂の新材の加工映像
御室会館でパンフレットの確認する。 次は石庭で有名な世界遺産龍安寺。 距離にして約500m。 車で移動するか歩くか迷った。
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