■ 白神山地十二湖 ■

早朝まだ薄暗いうちに広島の若者は青森に向かって走り出した。 交通事故に注意して無事帰宅できるように話をして別れ、 私も6時頃に道の駅を出発した。 約60qの距離で小1時間走った。 何度か通ったから道路状況は良く判っている。 不老不死温泉から白神山地十二湖は近かった。 道路標識もしっかりしている。 国道から脇道に入り十二湖ミュージアムセンター前を通過。


車をどこに止めて撮影に入るか考慮しながら林道を走る。 所々に擦れ違いができないような道幅があるが、観光バスが入るのか結構舗装状況は良い。 約2q程走って最初のT字路で定点撮影してから奥の駐車場を目指す。 道路左端で最初に確認できたのが「二つ目の池」です。 T字路の右端の八景の池は通り過ぎてしまった。 道端から二つ目の池を撮影し、先に進むと王池がある。 王池は西湖と東湖とあり奥で繋がっている。 その東西の湖の真ん中に王池駐車場がある。 現在7時で駐車場はガラガラで出口近くに駐車。

後で知るが、この手前にも八景の池がある

王池駐車場
…T字路の先、左手に「二つ目の池」がある

王池西湖(駐車場から撮影)

防寒対策してデジカメと三脚を担いで駐車場の奥から王池西湖に向かってブナ林の中を歩く。 チラチラ西湖の湖面が見えるが、枝が邪魔。 なるべく良い構図を探したい。 下り坂になり、さらにつづら折りに西湖に下りて行く。 最初の一枚は小道の行き止まりで撮影。 二枚目はそこから湖岸まで下りて撮影。 枝が邪魔で左手でつかんでの撮影だった。



さらに下りて行く

王池西湖


王池西湖

西湖から東湖に向かう

天候は相変わらず曇天だが昨日よりは良さそう。 時々朝日が射してくるから期待した。 小道を登って尾根の反対側にある小道を探して東湖に向かう。 下りきった所が細い水路上で行き止まり。 西湖、東湖は繋がっていることを知る。 東湖の小道を探して湖岸まで下りた。 陽光が順光になり西湖より鮮やかに撮影できた。 暫くして対岸の白い物に気が付く。 白鳥か?ズームで確認すると人間だった。 それも釣り人。 禁止ではないのか? 何枚か撮影して駐車場に戻った。

中央部に釣り人
駐車場で、この先、車で行ける所まで行ってみようと思い、再出発したらすぐ越口の池が見渡せる所を通った。 ラッキーと思いながら道端に寄せ撮影。 道路端から見通しがいいから映えた映像が撮れた。
越口の池




世界自然遺産の白神山地は世界最大級のブナ原生林が生い茂っている。 その中で十二湖は白神山地の一角で多数の池、湖の総称で12の池や湖があるわけでない。 これらの湖は崩山が能城地震(1704年)で崩壊してできたといわれている。 また水を含む役目をブナ林があるからちょっとした低地に池ができやすいのではないかと考えた。 自然の造ったダムと考えたら理解しやすい。

■中の池…
車をゆっくりと走らせる。 十二湖に来て一度も車両と出合わない。 車道から中の池の看板を見つけて車を止めデジカメ持って付近を行ったり来たりして湖岸への入口を探したが見つからない。 結局、道路からの撮影になった。

■落口の池…
中の池の先に、落口の池がある。 先程まで陽光が映えていたのにいつの間にか曇天模様になった。 天候の変化が激しいようだ。 雲海が風でどんどん流されていく。 最高の紅葉美の時期なのに…。 映像はこんな感じになり色彩感が無くなった。

ブナ林の土壌だから自然の浄水装置があるように水質が綺麗で透明です。 海抜約200mから300m付近の台地上に点在する湖の総数は約30ヶ所位あるという。
白神山地は青森から秋田にかけて広がり白神山は約1000m級の山岳地帯にある。 世界文化遺産は多いが、自然遺産は少なく屋久島とともに1993年に自然遺産に登録された。

落口の池




落口の池からパンフレットに「がま池」が見えるはずだが、ゆっくり走らせているのに一向に見えない。 いつの間にか車両通行止めの標識になった。 カーブを曲がると右手にレストハウスがあった。 ここが森の物産館「キョロロ」だった。 と云う事は、パンフレットにある道路の最終端まで来たことになる。 車を入れると管理人が、この上に有料駐車場があるから、そこを利用してくださいと云われた。 ここまで来れて500円の料金は安い。 お爺ちゃんに料金を支払い、物産館を撮影。 駐車場出入口でコピーした地図を貰って散策コースを確認した。 お爺ちゃんに白神山地の撮影ですというと、幾つかのコースがあるようで説明を受けた。 約1時間のコースを選択して出発。

森の物産館「キョロロ」(赤色の◎)

この先通行止め
赤い矢印が車で走行したルート

通行止め標識から先が散策コース。 落葉の積もった幅広い道を歩いて行く。 暫く歩くと左手、林の先に鶏頭場の池が見えてくる。 鬱蒼と茂るブナやミズナラの広葉樹林に囲まれ迫力ある鶏頭場の池です。





白神山地のエリアは約170kuあり、そのうち75%が青森県、残りが秋田県にある。 世界遺産登録エリアの外側にも広大な山林があり一般的にその地域外も含めて呼ばれることが多い。 その中で特に林道などの整備が全く行われていない中心地域が世界遺産に登録されている。 別れ道で鶏頭場の池に沿って道が細くなり池面が良く見える所がある。

別れ道で左手に下って行く

鶏頭場の池
別れ道にある鶏頭場の池の標識

池岸が近くなり撮影枚数が多くなった。 ここまで歩きだして約400mぐらいで。 そろそろ池の端が近づいた。 世界遺産地域は遺産地域と周辺の緩衝地域に分かれている。 緩衝地域は世界遺産登録後、開発がおこなわれず現状のまま保護されている。 緩衝地域は以前から登山道以外には路は無いという。 そして今後も整備予定はないという。 中心地域には道は皆無という。

鶏頭場の池




鶏頭場の池の南端で遊歩道も突き当たる。 ここで左右に道は分かれた。 左手方向は大崩、崩山、白神岳への登山道になる。 右手方向は十二湖のひとつ「青池」への階段があった。 登山道方向は注意書きがあり本格的な登山の準備が必要だ。 ハイキングとは別物になる。 緯度が高いから1000m級といっても馬鹿にできない山岳だ。
木組みの階段を右方向に登り途中、青池の看板がある。 その先を見通すと池らしき場所が確認できる。 階段を登るたびに高さが上がり伝説の青池が見えてきた。神秘的だ!





■原則、立ち入り禁止?…
遺産地域は原則立入禁止。 青森県側は事前に森林管理署に届けなければならない。 秋田県側では入山禁止という。 林道さえない場所を踏破するには高度な技術が必要で、登録後に遭難事故も起きているという。 また禁猟区に指定されマタギによる狩猟も禁止。 自然保護のためマタギ文化の存続にも影響している。

青池が展望でき環境に配慮した木組みの展望台があった。 写真家が一人いて撮影をしている。 挨拶して撮影を始めたが、静寂の中で黙々とそれぞれ異なる思惑で撮影会が始まる。






創意工夫して多面的に構図を考え撮影した結果はご覧の通りです。 自慢するわけでないが天候が良くないから三脚を使い、 撮影時のブレが無い様に気を使ったが被写体深度が浅かったので我ながら情けないと思った。 再訪を期したい!





青池の撮影が終わり展望台から上に続く木組みの階段をさらに上がって行く。 キノコを見つけたが何のキノコか判らない。 自然豊かな証拠だ! そして上の大地に上がると、そこは自然豊かな大地です。 これがブナの森林か! これが自然遺産になった証か! と思うほど豊かな自然林を見せてくれる。 散策路はあるが周囲をブナ林やミズナラの広葉樹林が広がる。






この広場に屋根を設けた休憩所があった。 休憩所の壁際に、自然遺産の紹介が地域ごとに紹介されパネルとして掲示されている。 休憩所といっても喫煙はできない。 人間の習性は休憩と云ったら自分を甘やかす習性がある。 …我ながら情けない。 それではブナの原生林、いや自然遺産路を楽しもう!





■ブナの原生林…
元々ブナの木はシイタケ栽培以外にはあまり役に立たない樹だった。 そのため伐採はあえておこなわれなかったという。 さらにブナは小さな実を付け果樹と同様に寿命が短い。 長くて200年ほどで自然放置した倒木は他の樹木や生物の生存に欠かせない環境の循環がおこなわれる。 勿論、ブナに限らず自然林の環境循環だ!










休憩処から再スタートして原生林を歩きます。 足元はフワフワして歩きやすいし林の中を歩くが、所々陽光が射して気持ち良い散策です。 いつまでも歩けそうな感覚がする。 それほど優しい路です。 「秋を感じながら歩く散策路」、何か題名になりそうでひとりでに (・∀・) ニヤニヤついていた!

貰ったチラシの地図でもうすぐ沸壺の池になるはず。 落葉の絨毯を踏みしめながら下り坂を行くと散策道は岐路にぶつかる。 ここで右方向に向かいさらに沸壺の池を目指す。 遠方に人影が見え、久しぶりにここは散策道と実感した。 老夫婦が先を歩いていた。 その後を追う様に追随していくと左手に池らしき景観が見えた。 これが「沸壺の池」か! 青池と同様にブルーの池だ!














青池より色彩感が濃い感じがするが、陽光のせいか色彩感が映えている。 青池と違って細長い池で上流側から下流側へ流れがある。 散策道を少しづつ移動しながら撮影。 行ったり来たりしたが自然林の枝がどうしても邪魔をする。 これも自然相手の撮影。
再び自然林を歩く。 やや下りになっていると思ったら、前方にアスファルトが見えた。 案内図を見たら先程、車で通過した道路だ。





落口の池

世界遺産白神山地は名勝地のような美しい景観を楽しめる所ではない。 それほど驚嘆するほどの景観は無く、観光地ではないと云う事を実感した。 太古からある自然豊かな山地の景観を楽しみ、長い年月を体感する所と思う。 華やかさは無いが人為の影響を受けていない原生林を体感する所と思った。

道路に出た所は「落口の池」の所だった。 時間は9時過ぎで今日中に東京に戻る必要がある。 これで十和田から続いた東北の旅紀行は終了になった。 道路を森の物産館「キョロロ」に向かって歩いて行くと、朝方気が付かなかった「がま池」の案内を見つけた。

落口の池 「がま池」の案内

がま池には崖の斜面を下りて行く感じで下に向かう。 三脚を杖代わりに滑らないように下りると湿地帯でシューズがグシャグシャに水が滲みこんできた。 最後にして、シューズがドロドロになった。 落葉を踏むと水が溢れるように浸みだしてくる。 最後の撮影で踏ん張り映像をゲットしたが、こんなふわふわな落葉は底なし沼のように感じた。 それほど軟らかい軟弱の地盤上に小さな池があった。 これがブナ原生林か! 最後の最後で実感した白神山地は日本の誇るべき自然だ!

がま池



森の物産館「キョロロ」に戻った!

這いあがるようにして道路に戻り、森の物産館「キョロロ」に戻ると駐車場のオジサンに良い写真が撮れたか?と聞かれ笑顔を返した! 駐車場に戻ると広い駐車場は7割ほどで天候が回復傾向にあるから各地から多くの観光客が来ていた。 約1時間半の散策でした。

駐車場に戻り、今日二本目の喫煙をする。 現在10時で、これから自宅に向かって走ります。 能代市内で高速道に乗る前に給油。 能代南ICから秋田道に入り横手から東北道へ、北上からは東北道を南下して一路東京に向かう。 自宅に到着したのは夜半で22時を過ぎていた。 燃費もアップして出発から帰宅まで10.8q/L。

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