■ 秩父三十四ヶ所観音霊場 ■
秩父周辺は両側を山々に挟まれ、その間を国道140号線が埼玉から山梨に伸びている。 秩父三十四ヶ所観音霊場は市街地から山々に点在する霊場です。
山と谷の間を縫う様に江戸巡礼古道があり、ひび割れた舗装路と砂利道に苦労した。 しかし秩父の山村の風景も楽しめる現代人にとっては癒し効果のある巡礼路です。

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■ 2月 4日 第3番札所 常泉寺 〜 第6番札所 卜雲寺  (天候 晴)

光明寺を出る時、入れ違いに二人の僧と擦れ違った。 その姿が珍しく様子を見たら女性だったので吃驚した。 歩き巡礼してる様だ。 時計を見たら丁度12時で、空腹感が無いからこのまま先に進む。 麓の街中は車両の通行も少なく自転車走行には丁度良い。 のんびりと山村の風景を楽しみながら走行。

真福寺から約2.5qの距離があったが光明寺からだと1qほどだ。 横瀬川に架かる山田橋を渡ると、暫くして道路端に第三札所の案内を見つける。 路地の両側が拓けていて正面に第三札所常泉寺が見えてきた。

秩父の山村の風景 路地にお地蔵さんと指標

常泉寺は丘の中腹にあり静かな町を見下ろす場所にあった。 門柱の両側に石像の仁王像が迎えてくれるが、この様な石像は初めてだった。 観音堂は弘化年間に焼失したため1870年、秩父神社の薬師堂を移築したそうです。 宝形屋根、三間四面の観音堂で本尊は室町時代の作と伝わる聖観音の木彫り像です。 観音堂の向拝には大きな龍の姿を確認できる。彫刻技術の精緻さに驚きました。

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■第3番札所 岩本山 常泉寺■
   宗 派: 曹洞宗
   本 尊: 聖観世音菩薩
   開 基: 
   創 建: 1870年移築再建(秩父神社の薬師堂)
   真 言: おん あろりきゃ そわか
   御詠歌: 補陀洛は 岩本寺と 拝むべし 峰の松風 ひびく滝津瀬
丘に向かう直線路で遠くからでも見える 門柱の両側に仁王像(石造)

自転車を右手の納経所前に置いて荷物は本堂の縁側に置いた。 リュック、防水頭陀袋、ヘルメット等を纏めておく。 デジカメだけ持って撮影しながら境内を見学。 お寺によって本堂と一緒に祀られているか、本堂とは別に観音堂がある事を知る。 常泉寺の観音堂は本堂の左手にあり高い位置にある。 正面から全景が取れないから左右から撮影。

本堂

観音堂を左右から撮影
本堂左手の石段を上がると観音堂が…

丘を切り開いたようで境内は横に細長い。 観音堂と本堂の間の崖際に多くの石仏が新しいものから古い年代物まで横一列に祀られ供養塔もあった。 後が岩壁で神秘的な感じがする。

 石仏と供養塔 崖際に多くの石仏が…

供養塔


本堂

本堂、観音堂で読経して撮影が終わり納経所に向かう時、光明寺で擦れ違った二人連れの僧と出会った。 お互い自然に会釈したが、読経を始めたら早い! 普段から修行してるから当然だが、二人で交互に息継ぎして読経するから、初めから終わりまで一気に読経してるのをこの目で初めて拝聴した。 …納経所でご朱印を貰い常泉寺を後にした。

納経所

次の札所、金昌寺には1.5q位の距離にあり起伏が無いから楽です。 景色を見ながら、札所案内の看板を探しながらの走りになる。 先程、渡河した横瀬川を再び渡るが、「ふるさと歩道橋」のネームプレートがあった。 渡河中に河川が綺麗で映像に残しておく。 秩父の自然も楽しんでいます。



ふるさと歩道橋から横瀬川を
ふるさと歩道橋

初日の巡礼は四国自転車遍路と同様にトントンと霊場巡りができる。 ふるさと歩道橋から道路は緩い登坂になるが、一本道で気分的に楽だった。
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金昌寺の案内を見つけて、さらに山に向かって走り、緩いカーブを曲がって金昌寺が見えた。 遠くからでも良く判る大きな草鞋が仁王門の両側に掛けられている。

4番札所金昌寺入口を突当りまで…

秩父霊場の中でも屈指の仁王門は両側に吽形像、阿形像が睨みを利かせている。 本堂は三間四面の唐風様式の建物で江戸時代中期に建立されたという。 金昌寺は石仏のお寺で有名で、その数約1300体ほどの石仏があるという。 羅漢像、観音像、地蔵像、不動像、十三仏像と種類も様々です。 1600年代に住職が寺院興隆のため秩父、江戸を中心に寄進を募ったという。

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■第4番札所 高谷山 金昌寺■
   宗 派: 曹洞宗
   本 尊: 十一面観世音菩薩
   開 基: 
   創 建: 
   真 言: おんまか きゃろにか そわか
   御詠歌: あらかたに 参りて拝む 観世音 二世安楽と 誰も祈らん


仁王門をくぐり石段を
仁王門

石段上から納経所が

山に沿って金昌寺は建立されていた。 石段の途中で振り返ると、仁王門の上部にも隙間なく石仏が並んでいるので、これには驚き映像として残した。

振り返った仁王門の上部にも… …石仏が並んでいる

その位置から右手に細長い高い建物がある。 上部に丸い窓があり観音様のお顔が見える。 石段を下りた右手にも、雨除けに庇が造られ石仏がここにも並んでいる。 見渡す限り石仏を拝見できる。 入口まで行き、下から仰ぎ見る形で観音像が建屋に祀られ、ここから拝観できる。

背の高いお堂がある

丸い窓から観音様のお顔が拝見で…
お堂の両側にも石仏が…

…入口から観音像全体が拝観できる

仁王門から境内は右に緩く曲がりながら上方に向かっている。 どこの方向にも石仏が並び、一つひとつ表情が違う様に感じた。 この中に自分に似た石仏があるかもしれない。 本堂を横から拝見する形で、その手前に社があった。 中を覗くと亀の子地蔵尊とある。 色彩が剥がれているが柔和なお顔をしている。

先に進むとさらに石仏が並んでいる 亀の子地蔵尊

本堂は山の上から街中を向いて建立されていた。 その為正面から撮影できないので左右から撮影。 柱など、一部は色彩が剥がれて歴史観が窺える。

本堂

本堂正面、右手前に子育て観音が祀られていた。 赤子を膝に抱く姿で豊かな乳房を口に含ませようとする姿は、母親としての誇りであり、ごく当たり前の姿です。 その母親の表情も満足そうな笑みで赤子を見つめている。 私の妻も三人の息子を母乳で育てた。 三人の息子は幸せそうだったのを思い出す。

読経の準備をしてたら上から人が下りてきた。 1番札所から2番札所へ自転車押ししてる時に、追い抜かれた歩き巡礼者だった。 お互い顔を見合わせて暫く会話。 上に何があるか聞くと奥の院があるという。 夕方まで巡礼を続けるというから途中で再会するかもと話して別れた。

正面回廊の右端にある子育て観音 知り合った巡礼者

読経後、上の奥の院に本堂右手横から上に向かうが残雪が氷結して滑りやすい。 デジカメを落とさないように油断しないで向かう。 本堂の後に回り込むように道が続き、すぐ奥の院らしい建物が見えてきた。 近くに来て撮影できず、後戻りして撮影。 奥の院の先は山に登るハイキング道になり、砂利道が続いている。

本堂横は残雪が凍っていた

奥の院


丸い窓のある背の高い観音堂

納経所でお話ができた。 私を見て自転車で巡礼してると知ったようだ。 ここ金昌寺でも納経所の横に寝袋で野宿する巡礼者が時々お願いに来るという。 このあたりは夜半に狸がウロウロするようです。 それさえ我慢すれば許可してるそうです。 柔和な表情で巡礼者に優しい応対をしてくれた。 四国自転車遍路の話も少ししたが、知らないうちに時間が経過し、次の巡礼者が来て会話は終了した。 感謝の言葉で退去した。

次は第5番札所語歌堂で距離は約1.5q程で平地で楽な巡礼になった。 案内板に札所5番語歌堂、長興寺(納経所)の案内を見つける。

ひび割れた舗装路はタイヤの敵 語歌堂は直進、納経所の長興寺は左折

周囲は塀も無く、誰でも受け入れる感じの場所に語歌堂はある。 街中にさりげなく存在する札所です。 中学生らしき数人が境内でたむろしている。 小公園の感じだ。 仁王門横に自転車を横付けし観音堂の縁側に荷物を置いた。 撮影終了後、開経偈、般若心経、観音経を読経。 道路の騒音が耳に入らないほど読経に没頭できたことは自分の成長と思った。

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■第5番札所 小川山 語歌堂■
   宗 派: 臨済宗南禅寺派
   本 尊: 准胝観世音菩薩
   開 基: 本間孫八
   創 建: 
   真 言: おん しゃれい しゅれい じゅんてい そわか
   御詠歌: 父母の恵みも深き 語歌の堂 大慈大悲の 誓いたのもし
仁王門横の手摺に自転車を寄せる

左右から観音堂を撮影
仁王門

仁王門をくぐり正面の観音堂に相対する。三間四面の語歌寺の扁額が目についた。 この観音堂を建立したのは長興寺檀徒の本間孫八という人物で、和歌をたしなむ文化人でもあった。 この人物が慈覚大師の作と伝わる観音を得て、これを安置するために語歌堂を建立したと伝わる。

本堂の扁額や多くの札が…

仁王門には漫画風の仁王像がにらみを利かせていた。 普段見慣れない造りだったので格子沿いに撮影してみた。 意外に愛嬌ある仁王像だった。

 愛嬌ある仁王像


…納経所は、ここからすぐそばの長興寺で納経印を受けます。 案内板から数分で長興寺門前に到着した。

長興寺は、円福寺の竹印松岩氏が開山となり、1628年(寛永5年)根古屋の城谷から現在地に移ったお寺です。

長閑な山村の風景が心を和ませてくれる。 普段は、緊張した仕事に没頭する自分が、週末は心身を癒してくれる秩父で、汗かいてペダルを踏んでいる。


…4番札所金昌寺入口

山門へは石段を登るが自転車を担いで境内奥の納経所前に置いた。 まずはデジカメ持って見学と撮影を開始した。 それほど広いわけでなくすぐ終了した。

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■第5番札所納経所 長興寺■

本堂縁側に荷物を置いて納経の準備をする。 今回の巡礼は、現地で納経札に記入した。 平らな所が無く、大体はお寺の縁側かベンチで書き入れる。 木目の波板上で文字を走らせると記入した文字が躍っているようにも見える。 これも一つの体験! 汚い文字でも一枚一枚書き入れすることが大事と考える。

山門

観音像

本堂縁側
庫裡

庭園

本堂

…お賽銭  -----------------------------------------
今回の巡礼でも10円玉の確保に苦労した。 自販機で10円玉確保に飲料を買い、納経所で両替をお願いしたりして、初回の区切り打ちでは苦労した。 これも準備不足か!
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長興寺から第6番札所卜雲寺に向かいます。 約3q弱の道のりです。 語歌堂以降、車で巡礼してる軽車両を見かける。 ナンバーは群馬県で若い娘さんが巡礼してることに気が付いた。 別に話しかけたわけでないが、チョロチョロ車が目についた。

庫裡、納経所

歩き巡礼者とは札所で出合うが、私の読経と撮影の時間の関係で、少しばかり歩き巡礼者が早い。 私がお寺に着くと、彼は出発のタイミングになる。 卜雲寺へは緩い登坂が続くが車の通行が少なく、道路端を撮影しながらペダルを踏む。 運動場では子供達がスポーツを楽しんでいる。 長閑な山村の風景です。

緩い登坂が続く




卜雲寺の入口案内(左に入る)


ここを右に向かう

急坂の先、左側に卜雲寺

第6番札所卜雲寺は丘の高台にあり見晴らしが良く武甲山を眺望できる。 寺名は、この寺の開基とされる嶋田与左衛門の法号がト雲源心庵主であったことに由来する。 本尊は札所の開創時に武甲山の山頂の蔵王権現から荻野堂に移されたものです。

荻野堂に伝わる開基の縁起(1781年、天明元年)によると、 行基菩薩作と伝わる本尊の聖観音は、武甲山山頂の蔵王権現社内に祀られていたが、 村人がとが池の大蛇を退散させるため祈願し、その霊験があったのでとが池を埋め立て草堂を建立し、荻野堂と称し、 ここに武甲山の尊像を安置したと記されている。

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■第6番札所 向陽山 卜雲寺■
   宗 派: 曹洞宗
   本 尊: 聖観世音菩薩
   開 基: 嶋田与左衛門
   創 建: 天明元年(1781年)
   真 言: おん あろりきゃ そわか
   御詠歌: 初秋に 風吹き結ぶ 萩の堂 宿かりの夜の 夢ぞ覚めける
石段の先に本堂が… 斜め正面から本堂を撮影

本堂の左奥に薬師如来像が祀られてる堂宇がある。 こじんまりとした比較的新しい堂宇です。 眼病を治すご利益があると信仰されている。本堂左に稲荷大明神があり商売繁盛、繁栄などのご利益がある。 その手前に屋根付きのベンチがあり、訪れた巡礼者やこの地の人々の休憩処でもある。 さすがに今日は天気は良いが寒風が強く、手早く撮影して納経した。

薬師如来堂

休憩処
庫裡、納経所

稲荷大明神社

本堂前の石段そばに比較的新しい地蔵様がある。 信者が寄進したもので家内安全、交通安全のご利益があるという。 柔和な表情で思わず手を合わせた。

六地蔵 地蔵像

納経所を出て時間を見たら14時40分。 とうとうお昼抜きになりそうだ。 巡礼に没頭してるからそれほど空腹感は無い。 喫煙所で今日二本目のタバコ! 夕方の納経時間までにどこまで巡礼できるだろうか納経所で貰った地図を見た。\(*^o^*)/

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