■ 秩父三十四ヶ所観音霊場 ■
秩父周辺は両側を山々に挟まれ、その間を国道140号線が埼玉から山梨に伸びている。 秩父三十四ヶ所観音霊場は市街地から山々に点在する霊場です。
山と谷の間を縫う様に江戸巡礼古道があり、ひび割れた舗装路と砂利道に苦労した。 しかし秩父の山村の風景も楽しめる現代人にとっては癒し効果のある巡礼路です。

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■ 2月12日 第26番札所 圓融寺 〜 第29番札所 長泉院 (天候 晴)

ユニフォームを持ってトイレで着替える。 洗面を済まして車を道の駅の端に移動して自転車の組み立て開始。 7時半過ぎに道の駅を出発。 道の駅から26番札所圓融寺まで約7qの道のりです。 国道140号線を一直線に走る。 西武鉄道の高架をくぐって路地に入った。






早朝の巡礼路は人や車も無く静かな通りになり木材加工工場前を通過し、その先、暫く走ると案内板を見つけ狭い路地に入った。

ここにも木材加工工場があり朝日を浴びた木材を題に撮影。 この付近は木材加工工場が多い地区だ。

秩父鉄道の踏切を渡り狭い路地を走り、26番札所圓融寺に到着。

付近は木材加工工場が多い





この先を右折

圓融寺の観音堂は岩井堂だった。 それを間違えて本堂での参拝で終了してしまった。 観音堂は圓融寺から山道を300段ほど登った苔むした場所にあると後で知った。 非常に残念に思ったが致し方ない。

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■第26番札所 萬松山 圓融寺■
     宗 派: 臨済宗建長寺派
     本 尊: 聖観世音菩薩
     開 基: 
     創 建: 
     真 言: おん あろりきゃ そわか
     御詠歌: 尋ね入り むすぶ清水の 岩井堂
          心の垢を すすがぬはなし
圓融寺入口

本堂で開経偈、般若心経、観音経を読経して納経印を戴く。 案内によると観音堂は江戸中期の建物で山の尾根に向かって登りつめた岩場に建立されてるという。 圓融寺本堂の戒壇には鎧をつけた軍神姿の地蔵菩薩像、十一面観音像、毘沙門天像などが祀られている。 本堂全体が大きな建物で正面に佇むと後景には山の斜面が迫っていた。

臨済宗らしい堂宇 納経所

圓融寺から27番札所大渕寺までも同じ市街地を走ります。 距離にして僅か2q弱で、古巡礼路を走って到着した。 道が狭くなったり広くなったりして、この道でいいのか迷いもしたが地図通り走り切って正解です。 大渕寺も道路の左側にあり路地を曲がると大渕寺の正面が見えた。 陽光が斜面に遮られ身体はまだ冷え切っている。 もう少し走れば身体が温まってくるだろう。









大渕寺入口

大渕寺の山門に近づくと山門上方の山の上に大きな観音像が立っている。 遠方からその姿が美しかったので山門手前で撮影。 自宅に戻ってWEB作成中にその映像が露出不足で上手く映っていなかった。 残念! 昭和10年に建立された観音像で珍しく剣を持っている。 お寺の案内図では護国観音と記されている。

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■第27番札所 龍河山 大渕寺■
     宗 派: 曹洞宗
     本 尊: 聖観世音菩薩
     開 基: 
     創 建: 
     真 言: おん あろりきゃ そわか
     御詠歌: 夏山や しげきが下の 露までも
          心へだてぬ 月の影もり
大渕寺入口

大渕寺山門
観音像

境内

27番札所大渕寺は曹洞宗で本堂の建築に特徴がある。 本堂右横に観音像が祀られ、その横は山に上がる階段がある。 巡礼地図を見ると、26番圓融寺から岩井堂(圓融寺の観音堂)、護国観音経由でハイキングコースになっている。 階段を上がると観音堂があり、案内では月影堂と呼ばれている。

本堂 鐘楼

スロープのような階段を登って行くと横道を駆け上がる中学生らしき子供がランニング姿で山にかけ登って行った。 トレーニングだろうか、あまりにも身軽に駆け上がって行くので茫然と見とれてしまった。

本堂脇から月影堂(観音堂)に向かう

月影堂(観音堂)はかつて山の上にあったが1919年(大正8年)、汽車のばい煙によって火災が発生し焼失。 その後、本尊の聖観世音菩薩像は本堂に安置されてたが1996年(平成8年)に現在地に再建された月影堂に戻された。 月影堂(観音堂)で開経偈、般若心経、観音経を読経し、本堂でも般若心経を読経する。 月影堂では眼下にお寺や街の景色が良く見える。 気分一新して撮影。

月影堂(観音堂)

月影堂から市街が良く見える


納経所に向かって中に入ると受付にお知らせが貼ってある。 それによると28番札所橋立堂は12月11日から2月28日まで冬期休暇になるという。 巡礼寺が冬期休暇なんて聞いたことが無い。 それでも納経は27番大渕寺で代わりに納経してくれるという。 したがって大渕寺の納経所で2ヶ寺分のご朱印を戴く。

休憩処

納経所 橋立堂のお知らせ

大渕寺から28番橋立堂まで約2q弱だが巡礼路は判り難い道だった。 アッチ、コッチと路を間違え近隣の人に助けられた。 大渕寺からすぐ秩父鉄道の踏切を渡る。 車は通れないような細い道を自転車を転がし、ギブアップして市街地を走ることになった。 国道140号線にでてすぐ左折する。 ここからは山に登るように広い道路を自転車を転がした。 分岐点は右に入る細い道になった。

西武鉄道の秩父線乗り入れ

この後、巡礼路が判らなくなった



一旦市街地に出る

路面工事中のため自転車を転がす

分岐点に入ると今度は下りの急坂があり、しかも舗装が割れているから自転車は転がしたまま歩いた。 橋梁下を通過して、車が擦れ違いができない薄暗い路を進むと28番橋立堂の案内がある。 橋立堂の入口も石段で、ここでも自転車を担いで境内に向かった。

分岐点の先は谷に下りる形で…

薄暗い路

橋立堂入口

そそり立つ岩壁の真下正面に橋立堂があり、左手に納経所兼橋立鍾乳洞の受付がある。 右手は拓けていてお茶屋がある。 この時間帯はまだ開店準備のように見えるが、橋立鍾乳洞が観音堂と同じ期間だけ冬期休暇に入っているから付近は静けさが漂っている。

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■第28番札所 石龍山 橋立堂■
     宗 派: 曹洞宗
     本 尊: 馬頭観世音菩薩
     開 基: 
     創 建: 
     真 言: おん あみりとう どはんば
          うん はった そわか
     御詠歌: 霧の海 たち重なるは 雲の海
          たぐいあらじと わたる橋立
ここも自転車を担ぎ上げる。

岩壁は約65mほどあり観音堂前に佇むと岩壁が覆いかぶさっているように見え、少々怖い感じがする。 地震でもあったら一目散に逃げるが勝ちと云う雰囲気だ!


そそり立つ岩壁の真下にある橋立堂

橋立堂の左横には橋立鍾乳洞があり昔から胎内くぐりの霊場として巡礼者たちが訪れていた。 現在は一般にも知られ観光施設として知られている。 鍾乳洞の奥行きは130mほどで入口は高さ2mほどで幅も3mぐらいしかない。 内部は鍾乳石、石筍、石柱などの岩壁で覆われている。
弘法大師の後ろ姿像など奇石の洞内巡りは訪れる人々の魅力ある一時を見せてくれるという。

納経所兼橋立鍾乳洞入口

納経所は冬季閉鎖のため、納経印は
前の第27番大渕寺で戴いた。

観音堂本尊は馬頭観世音像で鎌倉時代の作と伝わる。 馬頭観世音を本尊とする札所は珍しく、日本百観音霊場の中でも、西国29番札所の松尾寺とここだけです。 古くから馬の守り本尊、農作業や交通安全として馬頭観世音は信仰されてきた。

橋立堂

観音堂は三間四面の堂宇で方形銅板葺きで流れ向拝を持つ、朱色の堂宇だが全体が剥げかかり江戸時代中期の建築物です。


橋立堂を見上げると…


本堂左側に奇妙な巨石があり…


…その天辺に謎の人物像

本堂の右手に馬堂という小さな堂宇がある。 中が良く見えて撮影したが、左甚五郎作と云われる二頭の馬の木像が目についた。 本堂には馬が描かれた絵馬や馬の銅像など馬に纏わるものが多かった。

馬堂

馬堂前から本堂を撮影

あらためて本堂と岩壁の奇怪さを強調しようと、下方から撮影したが最適なレンズが無くてこんな映像しか撮れなかった。

馬堂内部

橋立堂から29番札所長泉院に向かう時、古江戸巡礼路の岐路で、どちらに向かうか迷った。 思案して、この位置からさらに下って29番札所に向かうより上に登って向かう事を決断した。 脹脛がピクピクして痙攣をおこしそうで自分の年齢を感じた時です。 日差しの当たらない薄暗い道から解放され市街地に戻った。 陽光を浴びて生きていることを感じる。 それほど岩壁の小路は午前中とは思えなかった。

馬頭観世音 岐路は右方向に向かった

途中で老夫婦と出会い、橋立鍾乳洞はこの方向で良いか聞かれた。 方向は間違いなかったが、冬季休業中で鍾乳洞は閉鎖中ですと、教えると残念だと言って一緒に戻った。 老夫婦は駐車場で思案していたので、浦山ダム堰堤が近くにあると教えた。 私が妻と一緒に秋口に訪問したことを教え、ついでに秩父鉄道の蒸気機関車の撮影ポイントも教えたら旦那さんは喜んでいた。

生き返った感じで、気持ち良く走る



路地を走って…


…29番長泉院入口を左折

…長泉院に到着

長泉院参道入口には右に笹戸山石札道場、左に笹戸山長泉禅寺と刻まれた石柱がある。 石柱の後に参道に覆いかぶさるようによみがえりの一本桜と呼ばれる枝垂桜がある。 そばに篠戸山長泉禪院と彫った石碑、二十九番と彫られた台座に延命地蔵が迎えてくれる。

日本有数の石札が残ることから石札堂とも呼ばれ、本堂横の竹林も寺院の佇まいを醸しだしている。 本尊の聖観世音立像は平安時代の慈恵大師の作です。 本堂内の天井には江戸時代の地獄極楽絵図が描かれている。

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■第29番札所 笹戸山 長泉院■
     宗 派: 曹洞宗
     本 尊: 聖観世音菩薩
     開 基: 
     創 建: 990年(正暦元年)
     真 言: おん あろりきゃ そわか
     御詠歌: 分けのぼり 結ぶ笹の戸 おし開き
          仏を拝む 身こそたのもし
長泉院参道入口

納経所

水色シートの瓶はたぶん蓮だろう

29番長泉院は曹洞宗の寺院で、開山は990年(正暦元年)の平安時代中期という。 長い間、無住の観音堂だったが1571年(元亀2年)に皆野町の大通院から和尚を招聘、以降曹洞宗の寺院に列した。 堂宇はその後、幾度も火災に遭ったが現在の堂宇は場所を移して1833年(天保4年)に再建された。 本堂は間口7間、奥行き5間半の寄棟瓦葺きで天井が高い印象を持った。 正面の欄間に寺宝のひとつ、桜花の板絵額が飾られてる。 これは葛飾北斎の署名が残っている。

 変化に富んだ石庭

秋葉社


本堂

本堂の縁側に小さなお堂がある。 ショウヅカのおばあさんが祀られており、三途の川でお守りをしてくれるという。 最後に、納経所の丸いお洒落な窓から撮影した変化に富んだ石庭は大いに気に行った。

本堂



本堂縁側にある小さな堂宇




ご朱印を戴き時間を見ると10時半を過ぎていた。 今日の予定は時間を決めずに早朝から巡礼して午後には自宅に戻ろうと決めていた。

日曜日で午後から東京方面は混雑が予想され、29番長泉院を区切りとして終了する予定だった。 と云う訳で、道の駅ちちぶに戻って帰宅することにした。

道の駅ちちぶまで自転車を走らせる。 国道140号線はいつもの様に山梨方面からの貨物トラックが多かった。 狭い歩道エリアを軽快とは云わないが前日走行したルートを走った。


納経所の窓から撮影

道の駅に戻り、空腹感を感じ始めて道の駅内で昼食をすることにする。 自転車を収納、着替えを済ませ、この時の喫煙は旨かった。 昼食は秩父特産の豚丼、蕎麦、どれにしようか迷ったが、今回は蕎麦を選択する。 盛り付けは秩父特産のシャクシナを選ぶ。 シャキシャキした触感は野沢菜より歯ごたえがあり大いに気にいった。

帰路のコースは往路と同じで正丸峠を通り飯能市経由で所沢、板橋と自宅に戻った。 自宅に到着したのが丁度12時半過ぎで、その日はフィットネスクラブに行って炭酸泉湯で筋肉を癒した。 明日は仕事だ!頑張るぞぅ!(感謝!)\(*^o^*)/
秩父巡礼も29番まで終了し残りは5寺になった。 しかし山々に点在する残りの5寺は自転車巡礼でもっとも苛酷になるかもしてない。 来週は結願したいし良い思い出を残したい。

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