■ 中禅寺湖展望台から立木観音の歴史探索 ■

昨年6月に日光白根山頂に登山し翌日中禅寺湖展望台に向かった。 初日は快晴だったが翌日は曇天模様で展望台からの景観はガスがかかり良い映像は撮れなかった。

今回はどうだろう? そんな思いで中禅寺湖畔の歌ヶ浜まで戻ってきた。 立木観音前の駐車場は満車で観光客で賑わっている。 そこを通り過ぎてさらに山道を上っていった。


中禅寺湖展望台は半月山展望台と違って、八丁出島を付け根から見ることはできないが、天候さえ良ければなかなかの構図を楽しめます。 また、日本百名山に選ばれている男体山と日光白根山も眺望できる。
中禅寺湖は2万年前、男体山の噴火でできた堰止湖で一周約25qある。 北に男体山、北西に戦場ヶ原が広がる。 南側に八丁出島と呼ばれる半島が突き出て、紅葉の名所で有名だ。 千手ヶ浜は車両の乗り入れ禁止で、徒歩か遊覧船でしか行くことができない。

日光白根山

男体山

明治中期以降、観光地として脚光を浴び湖畔には今でもフランスやベルギーなどの大使館の別荘がある。 782年(天応2年)、僧勝道上人が男体山の登頂時に発見し、その後、湖畔に神仏を祀り、 784年に現在の日光二荒山神社に中禅寺を建立し修行ができる霊場をつくりあげた。 勝道上人が湖上で、その姿をみて製作したとされる千手観音(立木観音)が祀られた。


歌ヶ浜にある現在の立木観音は天台宗の寺院で、正式名を日光山輪王寺別院中禅寺である。 別称、立木観音と呼ばれ日光観光の名所でもあり、坂東33霊場の18番札所です。 中禅寺湖展望台から歌ヶ浜の駐車場に戻り満車に近い状態で空きスペースが出るまで暫く待機した。 10分ほどで駐車でき、立木観音歴訪の準備をする。 坂東33霊場は関東近県にあるから機会をとらえて札所巡りしていくつもりです。

入場料は大人500円で入口で支払い、正面の仁王門を撮影後、鐘楼を撮影しようとしたら完全な逆光で鐘楼がシルエットになってしまった。 仕方なく訳を説明して外側から撮影する。 仁王門の仁王像は全体が朱色で羽衣が金色だが剥げている所が目立っている。 また金網が無いから綺麗に撮影できた。






仁王門の先、右手にシルエットの鐘楼堂がある。 先程から鐘の音が盛んに聞こえる。 入口に内部が公開されていると立札(所願成就の梵鐘)があり、他の観光客の列に並び内部に入ってみた。 鐘楼堂の内部は狭く階段も一段が30p位あるから、薄暗い所を上を向いて足をあげると踏み板に足が届かない。 数人が入れ替わりで最上階に着くと中央に大きな釣鐘がある。 外に出ている撞き棒を打つと目の前の梵鐘が大きく鳴る。 下から上ってくる人が、大きな叫び声をあげた。

シルエットになった鐘楼堂

鐘楼堂を出て境内から仁王門を撮影
梵鐘

延命水の湧水

境内は細長く山裾に沿って奥に伸びている。 石楠花の開花が始まり境内が華やかに感じる。 石楠花の花の間に隠れるようにして石造の不動明王が祀られている。

石楠花の花群

石造の不動明王
石楠花の花群

石造の不動明王(拡大)

石楠花の花群の先にまっすぐ伸びた神木がある。 神木の正面に回り込むと地面から1mくらいの所に大きな瘤がある。 立札に「身代わり瘤」と記され、この瘤は皆様の病気を身代わりになって出来た瘤也。と付記されていた。 この瘤の正面に立ち、自分の悪いところ、痛いところを触ってから瘤に触れると、身代わりになってくれると云われている。 立木観音に来た時は悪いものを置いていって、ご利益を持ち帰りくださいというわけです。



中尊寺別所
御神木「身代わり瘤」




客殿

愛染明王堂と手前に愛染桂(二代目)は昭和初期、松竹映画の愛染かつらのロケ地だそうです。 初代の愛染桂の大木は落雷で枯れてしまい、現在は二代目(樹齢約30年)だそうです。 葉がハート形をして縁結びの木として有名です。

ご朱印所 愛染明王堂と愛染桂(二代目)

中禅寺の本尊は十一面千手観世音菩薩(国重要文化財)で勝道上人が湖上に千手観音様をみて、その姿を桂の立木に彫ったと伝わる。 観音堂前に堂内での読経はご遠慮くださいと張り紙があった。 その為、堂前で開経偈、般若心経、観音経を読経した。 お寺の人が気が付いて本堂の扉を50pほど開けてくれる。 有難い事だ。 薄暗い堂宇にぼんやりと立木観音像が見えた。

千手観音様のご利益は所願成就の仏様です。 桂材の一本彫りで42本の手は別材を寄せて造られている。 1902年(明治35年)夏の暴風雨によって男体山山麓が崩壊し中禅寺湖に流された。 その後奇跡的に浮かび上がり、現在の歌ヶ浜に安置されたという。 これにより苦難や災事を乗り越える力を与えてくれると信仰を集めたという。
本堂前に珍しい燈籠が一基ある。 「天邪鬼」といい、昔から心の中を探り意に逆らうと云われ、燈籠を持たされている。 この天邪鬼の表情が何となく憎めない表情です。

立木観音堂 天邪鬼(あまのじゃく)

立木観音堂は後背に五大堂が続いているが境内の奥に波之利大黒天堂がある。 仁王門前からここまで多くの旗幟が立てられ「吉祥天像」の文字を見かけてきたが、秘仏「吉祥天像」が初公開されてるという。 聖地日光の伝説、日光を開山した勝道上人が舟に乗り湖上で巡拝してると天よが降り立ち歌舞を奉じたという。 以来、この地を歌ヶ浜と呼ばれている。

手のひらに宝珠をのせ身の丈約60pの木彫りの吉祥天像。 堂宇内に入って思わずシャッターボタンを押してしまった。 僧侶にご遠慮下さいと云われ、ごめんなさい! その為映像をぼかして掲載。 木彫りの吉祥天像は勝道上人が見た天女と伝わります。 今回、日光開山1250年を向え、秘仏「吉祥天像」の初公開でした。 四国自転車遍路、高野山と満願し、現在日本100観音霊場を巡拝してます。と話したら僧侶がニッコリ、頑張ってくださいと言われた。

波之利大黒天堂 秘仏吉祥天像(映像をぼかしています)

波之利大黒天堂を出て、次は立木観音堂です。 丁度、10人くらいの観光グループが来て一列になって波之利大黒天堂内に入って反対側から出てきた。 そして立木観音堂に続いた。 僧侶から一緒に説明を聞いて下さいと言われ、日光開山1250年の歴史の説明を戴いた。(感謝!)
薄暗い堂内で立木観音像を上から下部まで、何度も何度も目を凝らして見ている自分がいる。 僧侶の説明を聞き逃さないように多くの人達と聞き入ってしまった。

20分ほど堂内にいただろう。 ここから立木観音像の後背に廻ると五大堂への上り階段がある。 つづら折りに階段を登り五大堂に入ると、広い天井に大雲龍が描かれている。 東照宮の鳴き龍の様に堂々とした威容を感じた。 ず〜っと見つめていると吸い込まれそうな気持ちになる。 そして正面には不動明王、降三世明王、軍茶利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王の五大明王が安置されている。 御祈祷の道場で金額で毎日、毎月…、と説明がある。 …ここで僧侶の説明は終了。

ここで解散のようで、各自バラバラに境内に下りて行きます。 最後の方から五大堂からの眺望を撮影していきます。 薄暗い堂内から出て中禅寺湖を望む景色、男体山の眺望、ここから見る景観は素晴らしかった。 その映像を境内に下りるまで順繰りに掲載します。

波之利大黒天堂、立木観音堂

五大堂から男体山の眺望



五大堂から直下の境内




五大堂

立木観音堂と後背に五大堂

五大堂から階段を下り撮影しながら立木観音堂まで下りた。 最後に観音堂と五大堂を重ねて撮影する為境内を移動。 何度か撮影しながら一番気に入ったのが最後の映像。 入場料を支払った切符の映像は歌ヶ浜の駐車場からの映像で、塀柵が映っている。 私は塀柵のない映像を選択。 \(*^o^*)/

駐車場に戻って時間は16時、今日の予定は終了。 早朝から歩き通して脹脛が硬くなっている。 ベンチに腰掛けて足腰の屈伸運動をしたり、歌ヶ浜を端から端までのんびり歩いてクールダウン。 さて今後の予定をどうするか、行き当たりばったりになった。 明日は前日光に行くか、群馬の吹割の滝にいくか?思慮する。…吹割の滝の決定!

inserted by FC2 system