■ 甲武信ヶ岳に挑戦!? ■

甲武信ヶ岳は山梨、埼玉、長野の県境に位置し標高2475mの山岳です。 三つの県境に沿って多くの山脈が連なるうちのひとつで、千曲川、荒川、笛吹川の水源の地でもある。

千曲川は新潟県に入ると信濃川になり、笛吹川は釜無川と合流し富士川になる。 有数の河川の水源の地でもあり、日本百名山のひとつです。


今回、甲武信ヶ岳への登山ルートは複数あり、西沢渓谷口の登山ルートを選択した。 自宅を金曜日夜半に出発し、秩父霊場と同じルートで秩父市に向かう。 正丸峠を真夜中に通過し、国道140号線を山梨県に向かって走行する。 夜間走行は通行車両は少ないがトラックが多く、登坂はゆっくりと走れる。 一般国道で日本最長の雁坂トンネルを通過すると、すぐ西沢渓谷への入口がある。 その先に道の駅みとみがあり、車中泊で仮眠した。
午前4時過ぎになると漆黒の夜空が薄明るくなり、出発の準備をする。 パン、お握り、飴玉、水は2Lと500ml、他に着替えを用意して出発する。 道の駅から直接西沢渓谷入口まで歩き渓谷入口から撮影開始! 車両通行止め標識の左横から舗装路を歩いて行く。 6時になれば登山者もチラホラ。 空は快晴模様で爽やかだ! 朝日を浴びて山裾が鮮やかだ。

西沢渓谷入口

車両通行止め標識


山之神神社で登山の安全祈願をしてトイレのある西沢渓谷口前に到着。 登山ルートは戸渡尾根コースでヌク沢を横断し近丸新道に合流し木賊山経由で甲武信ヶ岳を目指します。
写真の赤丸印が登山口です。 最初の尾根に到着するまで急傾斜の登りがつづら折りに続き、暫くして登りの傾斜も緩やかになった。



緩やかな斜面を…

登山口にあるガイドマップ


赤丸の所が登山入口

登山路が傾斜の強い所が多くなり、砂場の傾斜では通り道の幅が狭くなった。 バランスを失わないように慎重に進んだ! 西沢渓谷の滑落事故で命拾いしたが、慎重には、慎重を期す。 最初、撮影するよりもどの様に通過するか決めて、通過後に撮影するから映像が鏡像のようになる。

砂場はしっとりと湿っている

段々急登に…

ルートが判りやすい

帰路の目印として撮影


時々立ち止まり、周囲の景観と動物などの有無を確認する。 左側眼下にヌク川渓流が確認できる。 今の処、コースは間違っていないようだ。 土壌は湿り気があり、場所によっては水溜りがある。 小休憩で長袖シャツを脱いで半袖になった。 5時間半のコースだから水分補給してすぐ出発する。 ここの岩場と砂場の傾斜地にはワイヤーが張ってあった。 滑落しないように十分注意しながら通過するとホッとする。

熊にも注意しながら…

ここも通過後に撮影
土壌が湿っていて滑りやすい

樹林帯が密集してるが樹木の太さは細いから新しい樹木だと思う。 太い樹木が少なく、この傾斜ではがけ崩れで倒木した樹木も多い事だろう。 登山路はほとんどが樹林帯で展望の良い場所は無い。 石楠花が自生してるのか、アチコチで目にする。(石楠花の開花は5〜6月の時期。)

岩場と砂場の傾斜路が見えてきた。 撮影後、ワイヤーは張られてないからどのように渡るか思案する。 新しい足跡を見つけて、同じコースを辿るが両手、両足で支えながら蟹歩きになった。 そして通過してからもう一度撮影。

慎重に歩く

通過してからもう一度撮影

トロッコ軌道のレールを発見

細い道を進むとトロッコ軌道のレールを発見! これで少し安堵した。(西沢渓谷の帰路がトロッコ軌道を利用したコースだから…) それにしても軌道跡は結構荒れた登山路だ! ここでも水分補給の小休憩してすぐ出発。 なるべくなら体力の現状維持を目標にしてるつもりだが年齢には勝てなくなった。
2〜3分立ち止まれるのは大いに助かる。

トロッコ軌道跡はしばらく続きペースは速い








軌道跡が倒木や枯れ枝で埋もれ登山路が判り難くなった。 注意しながら歩いているつもりだが…。 軌道のレールが変形して傾斜地に埋もれたり、剥きだしたりしている。 再び崩落個所を見つけた。 倒木を越えると崩落個所があり岩場と砂場の混在で、上方から大きく雪崩落ちた形跡がある。





この先は…




…岩場と砂場の崩落個所

崩落個所の下方にヌク沢の渓流が見え、近くなった。 渓流まで下りられる所から渡河して対岸に渡り、近丸新道に合流してとりあえずの目標が木賊山山頂だ! 渓流が近い地点から先に進むと倒木があり、その先に砂場の崩落個所があった。 幸いにして新しい足跡がありストックを使って渡り終える。





一人の新しい足跡が…

途中でズルズルと下方に滑り出し両手両足で踏ん張りながら横移動したが、だんだん下方にずり落ちていく。 左足を踏ん張った時に足元に違和感があった。 ゆっくり登りながら横移動して横断できたが、左シューズの踵が靴から剥がれ登山靴の麻糸が切れていた。 リュックから針金を探し応急の修理。(大誤算!)

靴の修理後、周囲を見渡すと渓流に意外と近づいたことが判った。 渓流の撮影後、再び前進する。 この時引き返すことも考えたがもう暫く進んでみることにした。(現在8時)
暫く進むと渓流の先に大きな斜面から流れ落ちる滝が見えてきた。 この滝は幻の滝と云われ、どうやら登山コースをどこかで間違えたようだ。

沢登りの経験は無いし準備もしてない。 ヌク沢は木賊山や破風山を源頭とし、戸渡尾根と青笹尾根に挟まれた流域です。 ここはその中の左俣右沢付近で笛吹川流域屈指の人気のある登攀的な渓谷です。 渓流に沿って沢登りの登山で300mと云われる幻の滝の岩壁を登る登山ルートだ!









…300mに及ぶ幻の滝の最下部

渓流に沿って進むと、前方にヌク川の分流を見つけた。 右の斜面からヌク川に流れ込む滝の様な水流だ! 横切れそうな所を下方から上方に向けて登り、渡れそうな場所を探した。

何処で間違えたかルートを外れて幻の滝まできてしまった。 さらに滝の映像を欲しかったが、沢に下りる場所が見つけられなかった。 撮影して尾根ルートを見つけに斜面を登るしかないと思った。 落ち葉が腐葉土となりさらに上に落ち葉が重なるから腐葉土の様な斜面を登っていく。

目の前に斜面を流れる水流


完全に登山ルートを外した

幻の滝が良く見える
上方に向かって渡河できそうな場所を探す

尾根ルートを探して登るしかない

ようやく平坦な場所まで登り、装備を降ろして大休憩する。(現在8時半)
何か未知の世界から現世の世界に戻ってきたような気持ちだ! 登山の最重要の靴が破損して、一時は引き返そうと思ったが、暫く進んで幻の滝を確認できた。 このルートは自分の物にできた。

さてこれからどうするか? トロッコ跡の平坦地で大休憩する。 軌道跡を確認した時は本当にホッとした。 尾根の上部に登っても帰路のコースが判らなければ不安になるのは当然。 まだ早朝だがコースを誤って未踏の地に踏み込んで遭難したら最悪だ!

トロッコレール跡を見つけた。 この傾斜を登攀してきた

ここで大休憩!
トロッコ軌道跡を発見…

再出発したら先程渡った支流に…

尾根のトロッコ軌道跡に沿って下山を始める。 今回の甲武信ヶ岳の登頂は諦めた。 悔しいよりも準備不足だった自分を責める。 今回の挑戦で、また再度挑んでみたい気持ちが強くなった。

帰路のコースは緩やかな下り坂のコースで往路で通過した斜面を流れ落ちる水流を越えることになった。 その流れは弱く渡河は容易で楽だった。 ルートも容易で行きと帰りでは全然違った。 流れ落ちる水流も難なく容易に超えて帰路のペースははかどった。

斜面を流れ落ちる渓流

もう一つの斜面を流れ落ちる渓流
緩やかな下り坂

同時に、このルートで下山してどこに下りれるのか興味でもある。 トロッコ軌道跡を戻ることになった。 その軌道跡が崩落で危うい所もあり油断はできない下り坂でした。 その崩落跡の下方をよく見ると、往路で通過した場所が確認でき、このまま戻ればどこかで合流するはずです。



トロッコ軌道跡に沿って

崩落部の下方を撮影


崩落跡

見覚えある地点に到着し撮影したが、標識等無くハッキリとした分岐点ではない。 間違えやすい地点だ。 この後は一気に急坂を駆け下り、戸渡尾根コースの出発地点に戻った。 ヌク沢に架かる橋で渓流に下りて撮影。 激しかった渓流の流れは、ここでは緩やかになり何事も無かったように穏やかな流れです。

戸渡尾根コースに残るトロッコ軌道跡は戸渡尾根の中腹から採石された珪石を索道で降し、別のトロッコ軌道で塩山まで集めていた。 珪石はガラスや陶磁器などの原料に使用されていたが外国から安価な珪石が輸入され昭和46年に生産が中止になった。

ここが沢登りルートと尾根道の合流点

ヌク沢の渓流

ヌク沢に残る橋梁跡
ヌク沢の渓流

ヌク沢の標識

橋梁跡から見えるヌク沢

今回の登山の反省点は登山ルートを十分認識せず装備の不足だ。 日程に日帰りは無理だ。 戸渡尾根コースでヌク沢を横断し、近丸新道に向かうコースを外れて沢登りルートに入ったこと。 後で知ったが西沢渓谷入口の西沢山荘前から徳ちゃん新道の登山口から近丸新道に入れる事を知った。

西沢渓谷入口に向かってさらに進むとトイレや休憩所があり、一服する。 さて現在9時半過ぎで、どうする? ベンチで靴底の針金をまき直し固定を確認して思案した。 西沢渓谷を一回りすると約5時間半かかる。 これから再スタートしても夕方には戻れそう。

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