■ 海洋国日本の海洋技術 ■

展示は海上自衛隊の歴史や装備品の紹介があります。 1階は海上自衛隊の歴史について、2階では機雷の脅威と掃海艇の活躍、3階では潜水艦の歴史について、 実物、模型、そして映像などの資料で紹介している。 そして展示の目玉は国内では初めて、実物の潜水艦の屋外展示です。 この潜水艦は実際に海上自衛隊で就役していた、ゆうしお型潜水艦の「あきしお」 (SS-579) です。


門前に到着した時間は夕方4時半、門前では初めから案内員に駆け足で回らないと最後まで見学できないよ!と言われ、いきなり尻を叩かれた。 思わず苦笑い! 仕方なく1階の海上自衛隊の歴史については行かなかった。そのまま2階へ直行。


機雷とは何か?…実戦で使われるようになったのはクリミア戦争で、ロシア軍がバルト海を封鎖するのに使用した。 以降、アメリカの南北戦争、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラン・イラク戦争、湾岸戦争でも使用された。 近年テロ目的の機雷が各国により非常に警戒されている。 触発機雷のほか微弱な磁気や音を感知する感応機雷が自衛隊の掃海部隊を危険に陥れる。 日本、そして各国の石油輸送ルートを確保するため、自衛隊の掃海部隊が各種の機雷を除去するために出動した。



触発機雷

ロシア製のUdm機雷
ペルシャ湾で掃討したLUGM-145機雷

イタリア製のManta機雷

掃海とは何か?…水中に設置されて艦船が接近又は接触したとき、自動または遠隔操作により爆発する水中兵器をいう。 種類は触発機雷(接触により爆発)と感応機雷(磁気機雷、音響機雷、水圧機雷、UEP機雷、現在では複数のセンサーによる複合機雷がある。) があり、機雷を除去するには通常の船では難しくなった。 機雷の複雑化にともない、現在では掃海艇は機雷の掃海、掃討専門になっている。

複合機雷に対処するために開発されたのが、機雷探知機で超音波により水中の機雷の捜索、種類の類別を行う装置である。 探知した目標に自走して接近、爆発するホーミング機雷などが出現して、掃海も探知機に推進装置を付け発見し爆発処理する、科学技術のいたちごっこが続いている。

日本の自走式機雷探知機

機雷に接近処分する海中ロボット
機雷処理後、自分も被害を受けた

機雷処分も最後は最も危険な任務に従事する水中処分員で熟練した技術者でなければならない。 掃海をますます困難にする感応機雷の複合機能化。機雷と掃海技術の進化はイタチごっこ。

浮遊した機雷に直接射撃して爆破させる機銃



浮上掃海電線2型…イギリスで開発された磁気機雷掃海用の電線を使い磁気機雷を処分
海上自衛隊の処分道具…EOD



磁気機雷掃海用の電線をスムーズに海面へ流すための設備

日本の掃海艇の歴史をたどったパネルです。 進化する掃海艇の実力は世界一のレベルを御存知ですか? はつしま級も順次退役して、新型に変わりつつあります。 国内で不発弾が発見されるたびに陸上自衛隊が活躍し、海では掃海艇が日本の海の安全を守っています。

磁気に反応しない木造船から非磁性の船体

はつしま級の掃海艇の装備や内部構造

館内の様子



木造船の背骨にあたるキールと呼ばれる部分

海上から爆破するヘリコプター式爆破ロボット

掃海派遣部隊の「あわしま」は、34個の機雷のうち8個を処分する活躍をした。2009年3月退役となった。
海上自衛隊がペルシャ湾への掃海に派遣されたときは掃海艇は木造船も含まれていたが、 この掃海艇の特殊性を理解していなかった一部の新聞で「木造の旧式船を派遣させるとは」との否定的意見が掲載されていた。 …このような報道は新聞の信憑性が国レベルで差があるのを実感しました。


ここで案内員から早くしないと本物の潜水艦の中を見学できないよ!と催促されてた。 閉館の時間が迫っている。 ここから潜水艦のコーナー…潜水艦というと近年は原子力潜水艦が大国で採用され、海に深く潜って長期間の沈黙を守り、 隠された兵器のイメージがあるが、日本は防衛上の観点から通常動力型の潜水艦を保有している。

館内中央にある潜水艦の構造模型です。半分は外装で、残りは内部の構造が可視化してある。 戦後、潜水艦の運用は隠密性が抑止力と、静粛性が求められ、艦体が大分変った。 スクリューの音紋(回転する音)で潜水艦を特定できるほど、科学技術が発展した。

KNOW YOUR BOAT…己の艦を知れ。潜水艦乗りへの第一歩は己の艦を徹底的に理解することからはじまる。 海中での戦いは巨大な気圧との戦いで艦内の構造を熟知しておかなければならない、という生き残る為の教訓と思います。

潜望鏡が艦底から艦橋上まで筒状に設置

戦後は750tの潜水艦のおやしお

船体が涙滴型に変化した1850tの「うずしお」同型艦の「あきしお」は当館で展示

艦内の構造

旧海軍の潜水艦イ-58は最初の回天搭載艦

2代目は1100tのおやしお

「ゆうしお」…水中性能を重視した葉巻型潜水艦の第2世代で2200tと大きくなった

艦内の構造


実際に潜水艦の内部を見て見ましょう! 会館内に実物の模型が展示してある。 トイレやベット、そしてロッカーは所狭しに詰めてあり安眠は難しい。 集会用テーブルの腰掛の中も荷物室で日本人らしく隙間の運用はお手の物。 潜水艦の脱出用潜水具は死と水圧との戦いがある。

潜水艦設備の模型 戦後、アメリカから帰ってきた潜水艦

トイレ、隣はシャワー室

潜水艦の脱出用潜水具
乗務員のロッカーと寝室…ベットは交替で利用

集会用テーブルと腰掛の中の荷物室

艦橋の潜望鏡の模型展示

「そうりゅう」型の最新鋭の潜水艦の模型

昨年度から配備された「そうりゅう」型の最新鋭の潜水艦、水中排水量4200tは世界の通常動力潜水艦としては世界最大となる。 吸音タイルが艦全体に取り付けられ静粛性が向上。
またしても案内員から時間が無いからと急きたてられ館内を移動。 後ろを振り向くと警備員が指呼確認しながら、部屋の電気を消している。

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